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障害者グループホーム(共同生活援助)の処遇改善加算を解説|令和6年度(2024)報酬改定

コラム
更新日:2026年01月27日
共同生活援助(グループホーム)処遇改善加算報酬改定基本報酬各種加算の取得方法
目次
処遇改善加算とは?
処遇改善加算の目的
対象となるサービス
対象となる職種
【令和6年度(2024年度)】処遇改善加算の報酬改定ポイント
旧3加算の一本化
4段階の加算区分(Ⅰ~Ⅳ)
職種間配分ルールの統一
【令和6年度(2024年度)】共同生活援助(障害者グループホーム)の処遇改善加算
【種類別】障害者グループホームの処遇改善加算の加算率
実際の取得額を計算してみよう
新処遇改善加算の算定要件
キャリアパス要件Ⅰ
キャリアパス要件Ⅱ
キャリアパス要件Ⅲ
キャリアパス要件Ⅳ
キャリアパス要件Ⅴ
月額賃金改善要件Ⅰ
月額賃金改善要件Ⅱ
職場環境等要件
【令和6年度(2024年度)】処遇改善加算の申請方法
1.処遇改善計画書を作成する
2.必要に応じて体制届を作成する
3.書類を提出する
4.計画書に沿って施策を実行する
5.実績報告書を作成する
6.実績報告書を提出する
【注意】処遇改善加算の書類・資料は2年間の保存義務がある
【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの基本報酬
世話人の配置による区分の廃止
【介護サービス包括型】報酬改定後の基本報酬の単位数
【日中サービス支援型】報酬改定後の基本報酬の単位数
【外部サービス利用型】報酬改定後の基本報酬の単位数
【新設】退居後共同生活援助サービス費・退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費
【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの加算
【新設】人員配置体制加算
【新設】ピアサポート実施加算・退去後ピアサポート実施加算
【新設】集中的支援加算
【新設】障害者支援施設等感染対策向上加算
【新設】新興感染症等施設療養加算
【新設】高次脳機能障害者支援体制加算
日中支援加算(Ⅱ)の初日算定
自立生活支援加算の拡充
重度障害者支援加算の拡充
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充
【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの減算
【新設】業務継続計画未策定減算
【新設】情報公表未報告減算
【新設】虐待防止措置未実施減算
身体拘束未実施減算の見直し
記事のまとめ

「令和6年度(2024年度)の報酬改定で、グループホームの経営がどうなるのか不安…」と、開所直前や直後の経営者様は特に悩まれているのではないでしょうか?

令和6年度の報酬改定で、障害者グループホーム(共同生活援助)を含む障害福祉サービス事業所の処遇改善加算は大きく変わりました。

従来の複雑な3つの加算が一本化され、加算率や算定要件が見直されています。

事務作業の負担を軽減し、職員の処遇改善を改善するチャンスといえるでしょう。

新しい処遇改善加算を正しく理解し、人員配置体制加算など、ほかの加算もあわせて戦略的に取得することが、安定した事業運営の鍵となります。

この記事では、令和6年度(2024)報酬改定のポイントを、社会福祉士の宮島桃香がわかりやすく解説します。

加算の変更点から具体的な申請手続き、減算を回避し、収益を確保するための経営視点までをくわしく見てみましょう!

処遇改善加算とは?

処遇改善加算とは?

処遇改善加算とは、障害福祉サービス事業所で働く職員の賃金向上を目的とした加算です。

処遇改善加算は、基本報酬に一定割合を上乗せして支給されます。職員の待遇改善に直接活用される仕組みですね。

少子高齢化が進む日本では、福祉・介護の重要性が高まっています。

しかし、業界で働く職員の待遇は仕事内容に見合っているとはいえず、高い離職率が問題となっているのです。

こうした状況を改善するための施策の一つが、処遇改善加算です。

社労士 涌井好文のコメント:

少子高齢化が進展する我が国では、福祉や介護の重要性も年々増してきています。しかし、その重要性と比較して、福祉・介護業界で働く職員の待遇は決して恵まれたものとはいえず、結果として高い離職率が問題となっています。そのような状況を改善するための施策のひとつが処遇改善加算です。令和6年度の報酬改定によって、処遇改善加算が大きく変更されているため、変更点を把握し、職員の待遇改善につなげましょう。

処遇改善加算の目的

処遇改善加算は、福祉・介護分野における深刻な人材不足を解消するために導入されました。

令和3年度(2023年度)に行われた、独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターリサーチグループの調査によると、障害者グループホームを含む居住系サービスの85.8%が「生活支援員が不足している」と回答しています。

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、令和6年度に2.5%、令和7年度(2025年度)に2.0%のベースアップを実現できるよう加算率が引き上げられました。

障害福祉現場で働く方々の処遇改善がさらに進められているところです。

処遇改善加算を取得することで、職員の給与水準の改善やキャリアパス制度の整備、職場環境の改善、研修体制の充実、福利厚生の拡充にあてられます。

参照:独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループ「2023年度 障害福祉サービス等の人材確保に関する調査結果」p14
参照:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(福祉・介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」p1

対象となるサービス

処遇改善加算の対象となるサービスは、以下のとおりです。

分類

サービス名

居住系サービス

  • 共同生活援助(障害者グループホーム)
    • 介護サービス包括型
    • 日中サービス支援型
    • 外部サービス利用型
  • 施設入所支援
  • 自立生活援助

日中活動系サービス

  • 生活介護
  • 療養介護
  • 短期入所(ショートステイ)
  • 自立訓練(機能訓練)
  • 自立訓練(生活訓練)

就労系サービス

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労定着支援

訪問系サービス

  • 居宅介護
  • 重度訪問介護

その他のサービス

  • 同行援護
  • 行動援護
  • 重度障害者等包括支援

参考:厚生労働省「表1-2 サービス別加算率(令和6年6月以降)」p1

障害者グループホームでは、世話人や生活支援員など直接支援に関わる職員が提供するサービスが処遇改善加算の対象となり、利用者様のQOL(生活の質)向上に直結しています。

社労士 涌井好文のコメント:

処遇改善加算は、介護事業所であれば、訪問介護や通所介護などが対象となり、障害者グループホームであれば、共同生活援助や生活介護、就労定着支援などが対象となります。就労定着支援は、自立生活援助、就労選択支援とともに新たに処遇改善加算の対象となっているため、対象となる場合には取得手続きを忘れないようにしましょう。なお、障害児相談支援、地域相談支援、計画相談支援などの相談支援事業は、変わらず加算の対象外となります。

対象となる職種

処遇改善加算の対象となる職種は、以下のとおりです。

職種

主な役割・業務内容

配置される主な事業所

世話人

  • 障害のある人の日常生活上の支援
  • 食事の提供
  • 健康管理
  • 金銭管理の援助
  • 生活上の相談など

障害者グループホーム(共同生活援助)

生活支援員

  • 入浴、排泄、食事などの介助
  • 調理、洗濯、掃除などの家事援助
  • 創作的活動や生産活動の機会の提供
  • 身体機能や生活能力の向上のために必要な訓練
  • 相談援助など
  • 障害者グループホーム
  • 施設入所支援
  • 就労継続支援事業所
  • 就労移行支援事業所
  • 生活介護事業所

職業指導員

  • 障害者の就労に必要な知識・技術の指導
  • 農耕・園芸、陶芸、木工、紙工、織物などの作業指導
  • 下請け作業の指導
  • 生産活動での作業支援
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

就労支援員

  • 一般企業に就職した障害のある方や企業との連絡・調整
  • 就労に関する相談支援
  • 求職活動の支援
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

上記の職種に就いている職員(直接支援職員)は、正規職員やパートタイム、派遣社員など、雇用形態に関係なく処遇改善加算の対象となります。

一方で、直接支援業務に従事しない管理者やサービス管理責任者は、原則として処遇改善加算の対象外です。

ただし、直接支援職員と兼務している場合は、雇用契約書などの職務内容に明記されていることを条件に加算の対象となります。

【令和6年度(2024年度)】処遇改善加算の報酬改定ポイント

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、これまで複雑だった加算体系が一本化され、加算率も引き上げられます。

新しい処遇改善加算の仕組みを理解し、適切に申請することが、安定した経営と質の高いサービス提供のためには不可欠です。

特に障害者グループホーム(共同生活援助)は、利用者様にとっては「生活の場」となりますので、安定した経営が求められます。

報酬改定のポイントを押さえて、効果的な人材確保と処遇改善を実現していきましょう。

社労士 涌井好文のコメント:

従来の処遇改善加算は、3つの加算制度が存在しており、複雑なものとなっていました。複雑な制度では、利用者様の理解も得づらく、また事務手続きも煩雑なものとなってしまいます。そのため、処遇改善加算を一本化し、利用者様にとって理解しやすい制度とするとともに、事務手続きの軽減を図る変更が行われています。一本化によって、より制度を利用しやすいものとし、確実な職員の待遇改善につなげることが狙いです。

旧3加算の一本化

令和6年度の報酬改定では、これまで別々に運用されていた「福祉・介護職員処遇改善加算」「福祉・介護職員特定処遇改善加算」「福祉・介護職員ベースアップ等支援加算」の3つの加算が「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。

それぞれの加算については、以下の表をご覧ください。

福祉・介護職員
処遇改善加算

福祉・介護職員
特定処遇改善加算

福祉・介護職員
ベースアップ等支援加算

目的

福祉・介護職員の安定的な処遇改善を図るための環境整備と賃金改善

経験・技能のある介護職員に重点を置いた処遇改善、リーダー級の介護職員の給与を全産業平均年収(440万円)へ引き上げ

介護職員の収入を3%程度(月額9,000円相当)引き上げるための加算

区分

Ⅰ~Ⅳの4区分(令和6年度改定後)

ⅠとⅡの2区分

区分なし

算定要件

・キャリアパス要件

・月額賃金改善要件

・職場環境等要件

・福祉・介護職員への周知

・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得

・職場環境等要件に関する複数の取り組み

・処遇改善加算の取り組みの見える化

・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得

・賃金改善の合計額の3分の2以上は基本給または毎月支払われる手当の引上げにあてること

対象者

主に利用者様を直接援助する職員(福祉・介護職員)

・経験・技能のある介護職員(勤続10年以上の介護福祉士等)

・その他の介護職員

・その他の職種(看護職員、栄養士、事務職員等)

基本的には介護職員だが、事業所の判断により他の職員も対象に含められる

旧3加算の一本化は、障害福祉サービス事業所の事務負担の軽減を目的としています。

複雑だった加算制度がシンプルになり、より多くの事業所が処遇改善加算を活用しやすくなることが期待されます。

障害者グループホームの事業者にとっては、加算申請の手続きが簡素化され、職員への分配方法も自由に設定できるようになるでしょう。

4段階の加算区分(Ⅰ~Ⅳ)

新しい「福祉・介護職員等処遇改善加算」は、現行の各加算・各区分の要件および加算率を組み合わせた4段階の区分(Ⅰ〜Ⅳ)に整理されます。

この4段階の区分は、事業所の取り組み状況や職員の配置状況によって決まり、加算区分の内容は以下のように設定されています。

厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p6をもとに作成

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p6をもとに作成

障害者グループホームの事業者は、各事業所の状況に合わせて適切な加算区分を算定することが重要です。

加算区分が高いほど加算率も高くなりますが、その分要件も厳しくなる点に注意しましょう。

なお、令和7年度(2025年度)より、処遇改善加算をさらに取得しやすくなるように、要件の一部が緩和されています。

社労士 涌井好文のコメント:

旧加算制度は、3つの加算制度のもとで、複数の組み合わせが存在する複雑なものでした。一方、新加算制度ではシンプルな4区分に再編され、分かりやすい制度となっています。しかし、再編によって旧加算制度で取得できていた加算率に相当する区分が消滅している場合もあり、結果として旧加算制度より加算率が低下するケースもあります。このような場合に対応するため、激変緩和措置が設けられていましたが、2025年3月末で終了しています。今後は、本来の区分で算定しなければならないことに注意しましょう。

職種間配分ルールの統一

新加算では、職種間の賃金配分ルールも統一されました。

福祉・介護職員への配分を中心としつつ、「経験・技能のある障害福祉人材」を重点的に配分することが求められます。

【経験・技能のある障害福祉人材とは?】

  1. 対象となる職種
    • 福祉・介護職員のうち介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士または保育士のいずれかの資格を保有する者
    • 心理指導担当職員(公認心理師含む)
    • サービス管理責任者
    • 児童発達支援管理責任者
    • サービス提供責任者
  2. 勤続年数の要件
    • 所属する法人等における勤続年数10年以上の職員を基本とする
    • 他法人や医療機関等での経験も通算可能

参照:p9「新しい経済政策パッケージ」に基づく処遇改善について①,p10「新しい経済政策パッケージ」に基づく処遇改善について②

また、事業者の判断により、福祉・介護職員以外の職種への配分も含め、事業所内で柔軟な配分が認められます。

例えば、世話人や生活支援員だけでなく、サービス管理責任者や事務職員など、グループホーム運営に関わるさまざま職種に対しても、貢献度に応じた処遇改善が可能になります。

【令和6年度(2024年度)】共同生活援助(障害者グループホーム)の処遇改善加算

【令和6年度(2024年度)】共同生活援助(障害者グループホーム)の処遇改善加算

令和6年度(2024年度)の報酬改定により、共同生活援助(障害者グループホーム)における処遇改善加算も大きく変わります。

職員の処遇改善を進めながら、安定した事業運営を実現するために、新しい処遇改善加算の仕組みを理解していきましょう。

「制度を正しく理解し、賢く事業を伸ばしたい」とお考えの経営者様に向けて、事業拡大のロードマップや成功のポイントを凝縮した資料(無料)をご用意しました。本記事の内容と合わせ、ぜひ今後の経営戦略にお役立てください。

障害者グループホーム 事業拡大の手引き

【種類別】障害者グループホームの処遇改善加算の加算率

障害者グループホームの処遇改善加算は、グループホームの種類によって加算率が異なります。

令和6年度(2024年度)の報酬改定によって加算率が引き上げられ、より多くの事業所で活用されることが期待されています。

障害者グループホーム(共同生活援助)の加算率を、改定前と改定後で比較して見てみましょう。

介護サービス包括型・日中サービス支援型

介護サービス包括型・日中サービス支援型

参照:p1 別紙1・表1-1 サービス別加算率(令和6年4月及び5月)・表1-2 サービス別加算率(令和6年6月以降)

外部サービス利用型

外部サービス利用型

参照:p1 別紙1・表1-1 サービス別加算率(令和6年4月及び5月)・表1-2 サービス別加算率(令和6年6月以降)

ご覧のとおり、改定後の方がシンプルで分かりやすく、加算率も上がっています。

これらの加算率は、総報酬単位数(基本報酬の単位数と加算の単位数を足した数)に対して適用されます。

実際の取得額を計算してみよう

処遇改善加算の取得額を具体的に計算してみましょう。

計算方法は以下のとおりです。

  1. 1ヶ月の総単位数(基本報酬単価+処遇改善加算を除いた各種加算・減算)を算出する
  2. 総単位数に加算率をかける
  3. 算出された単位数に地域区分単価をかける

例えば、介護サービス包括型グループホームで、1ヶ月の総単位数が50,000単位、加算Ⅰ(14.7%)を取得している場合、以下の金額が取得できます。

  • 処遇改善加算の単位数:50,000単位 × 14.7% = 7,350単位
  • 地域区分が1級地(単価11.40円)の場合:7,350単位 × 11.40円 = 83,790円

上記の例を年間で考えると、約100万円の収入増となり、職員の処遇改善にあてられます。

このように、処遇改善加算は事業所の収益に大きく影響するでしょう。

新処遇改善加算の算定要件

新処遇改善加算の算定要件

障害者グループホームを運営する事業所が処遇改善加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

要件

内容

対応する加算区分

キャリアパス要件

キャリアパス要件Ⅰ

職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備

新加算Ⅰ~Ⅳ

キャリアパス要件Ⅱ

資質向上のための研修計画策定と実施

新加算Ⅰ~Ⅲ

キャリアパス要件Ⅲ

経験・資格等に応じた昇給の仕組みの整備

新加算Ⅰ~Ⅱ

キャリアパス要件Ⅳ

ベテラン職員1人以上の年額440万円以上の賃金保証

新加算Ⅰ

キャリアパス要件Ⅴ

介護福祉士等の配置基準を満たすこと

新加算Ⅰ

月額賃金改善要件

月額賃金改善要件Ⅰ

新加算Ⅳの1/2以上を月給改善にあてる

新加算Ⅰ~Ⅳ

月額賃金改善要件Ⅱ

旧ベア加算相当額の2/3以上を新たな月給引上げに充てる

特定条件を満たす事業所

職場環境等要件

職場環境・処遇改善の取組実施

新加算Ⅰ~Ⅳ(Ⅰ・ⅡとⅢ・Ⅳで要件が異なる)

これらの要件は、障害者グループホームに勤務する福祉・介護職員の処遇改善を目的としており、算定する加算区分によって満たすべき条件が異なります。

以下より詳しく見てみましょう。

キャリアパス要件Ⅰ

キャリアパス要件Ⅰは、福祉・介護職員の任用要件と賃金体系の整備について定めたものです。

障害者グループホームでは、世話人やサービス管理責任者など、役職ごとの職務内容や責任範囲を明確にし、それに応じた賃金体系を構築することが求められます。

キャリアパス要件Ⅰ

内容

要件内容

1. 職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定めること

2. 上記に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系を定めること

3. 上記の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、すべての福祉・介護職員に周知すること

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ

令和7年度の要件緩和措置

令和7年度中(令和8年3月31日まで)に取得要件を整備することを誓約した場合は、令和7年度当初(令和7年4月1日)から要件を満たしたものと取り扱われる

参照:キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)
参照:厚生労働省「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!」p1

障害者グループホーム 事業拡大の手引き

キャリアパス要件Ⅱ

キャリアパス要件Ⅱは、福祉・介護職員の資質向上に関する計画策定と研修機会の確保について定めたものです。

福祉・介護職員の知識・スキルアップを目指した計画を策定し、すべての職員に周知する必要があります。

利用者様の特性に合わせた研修内容(例:自閉症支援、強度行動障害への対応など)を計画するとよいでしょう。

キャリアパス要件Ⅱ

内容

要件内容

  1. 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び以下のいずれかに関する具体的な計画を策定すること
  2. 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等(OJT、OFF-JTなど)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと
  3. 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること
  4. 上記の内容について全ての介護職員に周知すること

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ

令和7年度の要件緩和措置

処遇改善計画書において令和8年3月末までに計画を策定し、研修の実施または研修機会の確保を行うことを誓約した場合は、令和7年度当初(令和7年4月1日)から要件を満たしたものと取り扱われる

参照:p2 キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
参照:厚生労働省「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!」p1

キャリアパス要件Ⅲ

キャリアパス要件Ⅲは、福祉・介護職員の昇給の仕組みに関する要件です。

勤続年数や資格取得状況、人事評価結果などを基準とした昇給制度を整備し、職員のモチベーション向上につなげましょう。

キャリアパス要件Ⅲ

内容

要件内容

  1. 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
  2. 具体的には、以下のいずれかに該当する仕組みであること
    • 経験に応じて昇給する仕組み(「勤続年数」や「経験年数」などに応じて毎年定期昇給する方法)
  3. 保有資格に応じて昇給する仕組み(資格手当を設けるなど)
  4. 能力評価による昇給の仕組み(職員個々の能力評価を行い、昇給する方法)

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅲ

令和7年度の緩和措置

令和7年度中(令和8年3月31日まで)に取得要件を整備することを誓約した場合は、令和7年度当初(令和7年4月1日)から要件を満たしたものと取り扱われる

参照:p2 キャリアパス要件Ⅳ(昇給の仕組み)
参照:厚生労働省「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!」p1

キャリアパス要件Ⅳ

キャリアパス要件Ⅳは、経験・技能のある障害福祉人材の処遇改善に関する要件です。

社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの資格を有する職員や勤続年数10年以上の職員の賃金を年額440万円以上に改善することが求められます。

ただし、年額440万円以上の賃上げが困難な場合は、この要件は免除されます。

キャリアパス要件Ⅳ

内容

要件内容

経験・技能のある障害福祉人材のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅱ

令和7年度の緩和措置

年額440万円以上の賃金改善が困難な場合は免除される

参照:p2 キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)
参照:厚生労働省「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!」p1

キャリアパス要件Ⅴ

キャリアパス要件Ⅴを満たすには、福祉専門職員配置等加算の届出が必要です。

福祉専門職員配置等加算は、以下の要件を満たした場合に算定できます。

加算区分

要件

※単位数

福祉専門職員配置等加算Ⅰ

常勤の世話人または生活支援員のうち、有資格者(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理士)が35%以上配置されていること

10単位/日

福祉専門職員配置等加算Ⅱ

常勤の世話人または生活支援員のうち、有資格者(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理士)が25%以上配置されていること

7単位/日

福祉専門職員配置等加算Ⅲ

以下のいずれかの要件を満たすこと

①世話人または生活支援員の非常勤を含む全職員のうち、常勤職員の割合が75%以上

②世話人または生活支援員の全常勤職員のうち、勤続3年以上の常勤職員が30%以上

4単位/日

※障害者グループホーム・療養介護における単位数です。

参照:厚生労働省「生活介護に係る報酬・基準について②≪論点等≫」p5 福祉専門職員配置等加算

キャリアパス要件Ⅳ

内容

要件内容

一定割合以上の介護福祉士等を配置すること

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ

令和7年度の緩和措置

なし

参照:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(福祉・介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」p2 キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)
参照:厚生労働省「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!」p1

月額賃金改善要件Ⅰ

月額賃金改善要件Ⅰは、令和7年度(2025年度)から始まった新しい要件です。

新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、基本給や毎月支払われる手当の改善にあてることが求められます。

例えば、1ヶ月の総報酬単位数が50,000単位(約500,000円)、地域単価が10円の障害者グループホームの場合、少なくとも以下の金額を月額賃金の改善に利用する必要があります。

  • 介護サービス包括型・日中サービス支援型

    50,000単位×10.5%(新加算Ⅳの加算率)×10円×1/2=2,625,000円

  • 外部サービス利用型

    50,000単位×15.2%(新加算Ⅳの加算率)×10円×1/2=3,800,000円

また、加算による賃金改善の多くを一時金(ボーナスなど)で行っている事業所は、一時金の一部を基本給や毎月の手当に付け替える対応が必要になる場合があります。

月額賃金改善要件Ⅰ

内容

要件内容

新加算Ⅳの加算額の1/2以上を基本給等(基本給または決まって毎月支払われる手当)で配分すること

適用される加算区分

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ

参照:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(福祉・介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」p2月額賃金改善要件Ⅱ

月額賃金改善要件Ⅱ

月額賃金改善要件Ⅱは、新加算に含まれている旧福祉・介護職員ベースアップ等加算額の3分の2以上を新たな基本給等の改善(月給の引上げ)にあてる要件です。

具体的な金額は、処遇改善計画に必要事項を記入すると自動的に算出されます。

月額賃金改善要件Ⅱ

内容

要件内容

旧ベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新規の基本給等の引上げを実施すること

適用対象事業所

以下のすべての条件を満たす事業所:

①令和6年5月31日時点で旧処遇改善加算を算定していた

②旧ベースアップ等加算を算定していなかった

③令和8年3月31日までの間に新加算Ⅰ~Ⅳのいずれかを新規に算定する

適用される加算区分

新加算Ⅰ~Ⅳ(新規算定のみ)

参照:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(福祉・介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」p2月額賃金改善要件Ⅱ

職場環境等要件

職場環境等要件は、賃金改善を除いた職場環境などの改善を推進することを目的とした要件です。

令和7年度(2025年度)からは取組の数が増え、以下の6区分28項目が設定されました。

区分

項目

1. 入職促進に向けた取組

①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化

②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築

③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)

④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

2. 資質の向上やキャリアアップに向けた支援

⑤働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等

⑥研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入

⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保

3. 両立支援・多様な働き方の推進

⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備

⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備

⑪有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている

⑫有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている

4. 腰痛を含む心身の健康管理

⑬業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

⑭短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施

⑮介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施

⑯事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

5. 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組

⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている

⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている

⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている

㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入

㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入

㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備する。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う

㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

6. やりがい・働きがいの醸成

㉕ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善

㉖地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施

㉗利用者様本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供

㉘ケアの好事例や、利用者様やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

参照:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算の職場環境等要件(令和7年度以降)」p2

新加算Ⅲ・Ⅳを取得する場合、上記の区分ごとにそれぞれ1つ以上の取組(「生産性向上のための取組」は2つ以上)を実施する必要があります。

新加算Ⅰ・Ⅱを取得するには、上記の区分ごとにそれぞれ2つ以上の取組(「生産性向上のための取組」は3つ以上、うち⑰か⑱は必須)を実施しなければなりません。

表にまとめると、以下のようになります。

加算区分

必要な取組数

公表義務

新加算Ⅰ・Ⅱ

  1. 各区分ごとに2つ以上の取組を実施する
  2. 5.生産性向上のための取組は3つ以上実施する
  3. 5.生産性向上のための取組のうち、以下の2つのいずれかは必ず実施する

    ⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)

    ⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)

ホームページ等を通じた見える化が必要(情報公表システム等を活用)

新加算Ⅲ・Ⅳ

  1. 各区分ごとに1つ以上の取組を実施する
  2. 5.生産性向上のための取組は2つ以上実施する

公表義務なし

これらの取組は、各事業所の特性に合わせた取組を選択し、実施することが重要です。

人員配置体制加算など他の加算にも関連する場合があるため、総合的な視点で検討しましょう。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金は、労働条件のなかでも最重要の項目です。しかし、賃金を上げたとしても、それだけで職員の定着率が向上するわけではありません。職員が実際に働くことになる職場環境の整備改善を行わなければ、家庭と仕事の両立やキャリアップが図れず、離職を選んでしまう職員が出る恐れもあります。処遇改善加算には、職場環境等要件として、キャリアップや両立支援につながる取り組みが定められています。事業所と職員の実情に合った取り組みを行いましょう。

【令和6年度(2024年度)】処遇改善加算の申請方法

【令和6年度(2024年度)】処遇改善加算の申請方法

処遇改善加算を取得するためには、計画書の作成から実績報告書の提出まで、一連の手続きを適切に行いましょう。

申請の流れは、以下のとおりです。

  1. 処遇改善計画書を作成する
  2. 必要に応じて体制届を作成する
  3. 書類を提出する
  4. 計画書に沿って施策を実行する
  5. 実績報告書を作成する
  6. 実績報告書を提出する

以下より詳しく見てみましょう。

1.処遇改善計画書を作成する

処遇改善加算の申請にあたり、まず処遇改善計画書を作成する必要があります。

この計画書には、障害者グループホーム(共同生活援助)における職員の賃金改善計画や賃金改善の見込額、賃金改善を行う賃金項目などを記載していきます。

計画書の様式は事業所の規模や状況によって異なり、一般的には「様式2」「様式6」「様式7」のいずれかを使用するのが通例です。

事業規模に応じた適切な様式を選択しましょう。

また、処遇改善計画書の内容は、障害者グループホームの全職員に周知しなければなりません。

職員全員が処遇改善の内容を理解し、モチベーション向上につながるよう、丁寧な説明を心がけましょう。

処遇改善加算の手続きは職員の定着に直結する重要な業務ですが、適切な様式の選択や計画書の作成など、実務面の負担は決して小さくありません。

制度を正しく活用し、円滑な運営と事業の拡大を両立させるためのポイントをまとめた資料(無料)をご用意しました。本記事と合わせて、今後の経営にお役立てください。

障害者グループホーム 事業拡大の手引き

2.必要に応じて体制届を作成する 

処遇改善加算を算定するためには、計画書だけでなく「体制届(介護給付費算定に係る体制等に関する届出)」の提出も必要です。

体制届とは、障害者グループホームの人員配置や設備などの体制を届け出るための書類です。

3.書類を提出する

作成した処遇改善計画書と体制届は、定められた期限までに指定権者(都道府県や指定都市、中核市など)に提出します。

障害者グループホームの所在地によって提出先や提出方法が異なるため、必ず事前に自治体の最新案内を確認しましょう。

令和8年度(2026年度)の提出期限は、例年通りなら2026年4月15日(水曜日)前後となる見込みです。

なお、6月以降の年度途中から処遇改善加算を新たに算定する場合は、加算を取得しようとする月の前々月末までに届出を行う必要があります。

※提出期限は自治体によって前後する場合があります。施設区分(居宅系・施設系・地域密着型サービスなど)によっても異なるため、必ず所在地の自治体からの通知内容をご確認ください。

提出方法は指定権者によって異なりますが、電子メールやオンラインフォームでの提出が求められるケースが多いです。

各自治体によって細かい提出要件や様式が異なりますので、事業所の所在地を管轄する自治体の公式ウェブサイトや通知をご確認ください。

4.計画書に沿って施策を実行する

処遇改善計画書が承認されたら、計画書に記載した内容に沿って、障害者グループホームの職員に対する賃金改善施策を実行しましょう。

処遇改善加算は職員の賃金改善を目的としているため、計画通りに賃金改善が行われているかを定期的に確認することが重要です。

5.実績報告書を作成する

年度終了後、処遇改善計画書に基づいて実際に行った賃金改善の実績を報告するための「実績報告書」を作成しましょう。

実績報告書には、障害者グループホームの職員に対して実際に支払った賃金改善額や、賃金改善に充てた加算金の総額などを記載します。

計画書と実績に大きな乖離がある場合は、その理由を明確に説明できるようにしましょう。

6.実績報告書を提出する

作成した実績報告書は、翌年度の7月31日までに指定権者に提出します。

令和7年度(2025年度)の処遇改善加算に関する実績報告書の提出期限は、2026年7月31日(金曜日)となる見込みです。

提出が遅れると、加算額の返還を求められる場合がありますので、スケジュール管理には十分ご注意ください。

※正式な提出期限は、厚生労働省または各自治体からの通知で必ずご確認ください。

【注意】処遇改善加算の書類・資料は2年間の保存義務がある

処遇改善加算に関連する書類や資料には、2年間の保存義務があるのをご存知でしょうか?

関連書類・資料には、処遇改善計画書や実績報告書だけでなく、賃金台帳や勤務実績、賃金改善に関する内部資料ども含まれます。

監査や実地指導の際に提示を求められることがありますので、適切に保管しておきましょう。

このようなお困りごとはありませんか?

  • 「実地指導に必要な書類がどこにあるか分からない…」
  • 「書類やファイルが多すぎて重要書類を探すのに時間がかかる…」
  • 「紙ベースで管理しているから情報共有がうまくいかない…」

knowbeなら、1つのソフトに書類や記録、帳票などをまとめて管理できるため、データを紛失したり、誤って破棄したりする心配はありません。

監査や実地指導、職員会議など、必要なときに必要な情報をすぐに出力できるため、スムーズに情報共有ができるでしょう。

さらに、事務作業が削減された時間は、利用者様への支援の質を高める時間にあてられます。

職員のゆとりを生み、利用者様と向き合う時間を増やせるでしょう。

また、複数のユニットを運営している障害者グループホームの場合、各ユニットごとにパソコンやタブレット端末を配置することで、時間や場所を問わずに情報共有ができます。

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【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの基本報酬

【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの基本報酬

令和6年度(2024年度)報酬改定の影響を受けたのは、処遇改善加算だけではありません。障害者グループホーム(共同生活援助)の運営基盤となる「基本報酬」の区分も大きく変更されました。

改定前は、世話人の配置基準に応じて複数の報酬区分が設けられていました。
しかし、報酬改定によって世話人配置による報酬区分は廃止され、手厚い人員配置は新設された「人員配置体制加算」で評価される仕組みへと移行したのです。

この改定は、重度障害者の受入れなど、障害者グループホームの支援内容や経営の実態等を踏まえたものです。

以下より詳しく見てみましょう。

世話人の配置による区分の廃止

令和6年度(2024年度)の報酬改定において、これまで世話人の配置基準に応じて分かれていた基本報酬区分が廃止され、以下の区分に統一されました。

サービス類型

改定前の世話人配置基準

令和6年4月以降の世話人配置基準

介護サービス包括型

4:1、5:1、6:1

6:1

日中サービス支援型

3:1、4:1、5:1

5:1

外部サービス利用型

4:1、5:1、6:1

6:1

(一定の条件を満たせば10:1でも算定可)

参照:p16 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」

この変更により、従来の世話人配置基準を採用していた事業者は大きな影響を受けることになりました。

例えば、介護サービス包括型の障害者グループホームで、世話人4:1の区分6の利用者様の場合、

【改定前】667単位/日→【改定後】600単位/日(67単位/日の報酬減)

となり、月間で約2,010単位(約20,100円)の報酬減となるでしょう。

こうした基本報酬の減少に対応するため、新たに「人員配置体制加算」が創設されました。
手厚い人員配置を行う事業所は、この加算を取得することで収入を確保する仕組みとなったのです。

【介護サービス包括型】報酬改定後の基本報酬の単位数

介護サービス包括型は、事業所の従業者が相談や家事等の日常生活上の援助と入浴・排泄・食事などの介護を一体的に提供する形態です。

一般的に「障害者グループホーム(共同生活援助)」というと、介護サービス包括型を指す場合が多く、事業所数・利用者様の数ともに最多となっています。

介護サービス包括型の基本報酬は、令和6年4月の報酬改定により、世話人配置4:1と5:1が廃止され、6:1(利用者様6人:世話人1人)の報酬区分に統一されました。

障害支援区分ごとの単位数は、以下のようになっています。

障害支援区分

単位数

共同生活援助サービス費Ⅰ(6:1)

区分6

600単位

区分5

456単位

区分4

372単位

区分3

297単位

区分2

188単位

区分1以下

171単位

共同生活援助サービス費Ⅱ(体験利用)

区分6

717単位

区分5

569単位

区分4

481単位

区分3

410単位

区分2

290単位

区分1以下

273単位

参照:p16 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」

【日中サービス支援型】報酬改定後の基本報酬の単位数

日中サービス支援型は、障害の程度が重い利用者様に対して、日中も含めた支援を提供する形態です。

世話人配置3:1と4:1が廃止され、5:1に統一されました。

障害支援区分ごとの単位数は、以下のとおりです。

障害支援区分

単位数

日中サービス支援型共同生活援助サービス費Ⅰ(5:1)

区分6

997単位/日

区分5

860単位/日

区分4

771単位/日

区分3

524単位/日

日中サービス支援型共同生活援助サービス費Ⅱ(体験利用)

区分6

1,168単位/日

区分5

1,028単位/日

区分4

938単位/日

区分3

672単位/日

参照:p16 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」

【外部サービス利用型】報酬改定後の基本報酬の単位数

外部サービス利用型は、世話人などによる基本的な支援と外部の居宅介護事業所等による介護サービスを組み合わせて提供する形態です。

外部サービス利用型は、世話人配置4:1と5:1が廃止され、6:1の報酬区分に統一されています。
ただし、2014年4月1日時点で指定を受けていた事業所については、世話人配置10:1が適用される場合があります。

障害支援区分ごとの単位数は、以下のとおりです。

単位数

外部サービス利用型共同生活援助サービス費Ⅰ(6:1)

171単位/日

外部サービス利用型共同生活援助サービス費Ⅱ(10:1)

115単位/日

外部サービス利用型共同生活援助サービス費Ⅲ(体験利用)

273単位/日

参照:p16 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」

外部サービス利用型は、介護サービス包括型や日中サービス支援型と異なり、障害支援区分ごとに単位数が設定されていません。

【新設】退居後共同生活援助サービス費・退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、「退居後共同生活援助サービス費」と「退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費」が新設されました。

いずれも退居日の属する月から3ヶ月を限度として2,000単位/月算定されます。

この報酬区分は、一人暮らしや夫婦での暮らしを支える「退居後の支援」に対するものです。

グループホームを退居した方々が、地域で自立した生活を送れるように支援することを目的としています。

障害者グループホームは、退居後の地域生活への移行支援や定着支援についても評価され、加算を取得できるようになったのです。

参照:p16 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」

【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの加算

令和6年度(2024年度)の報酬改定により、処遇改善加算以外の加算の内容も変更されました。

特に世話人配置区分の廃止によって新設された「人員配置体制加算」は、障害者グループホームを経営する事業所にとって必見の加算です。

ここからは、令和6年度(2024年度)報酬改定で新設・拡充された加算について、詳しく解説します。

【新設】人員配置体制加算

人員配置体制加算は、世話人配置区分の廃止にともなって新設された加算です。

基準となる世話人・生活支援員に加えて、特定従業者数換算方法(※)で算定した数以上の世話人または生活支援員を配置した場合に算定できます。

(※)特定従業者数換算方法とは?
職員の勤務延べ時間数を「40時間」で割り、加算算定のための従業者数に換算する方法

計算方法

  1. 基準上置くべき従業者数の計算
    • 世話人(6:1配置)と生活支援員の必要数を算出する
    • これらに40時間をかけて必要時間数を求める
  2. 加配職員の計算
    • 人員配置体制加算I(12:1)または加算II(30:1)に必要な加配職員数を算出する
    • 40時間をかけて必要時間数を求める
  3. 合計必要時間数の確認
    • 基準上必要な時間数と加配に必要な時間数を合計する

人員配置体制加算は、以下の単位数が設定されています。

加算区分

配置要件

障害支援区分

単位数(1日につき)

人員配置体制加算Ⅰ

12:1以上の世話人または生活支援員を配置

区分4以上

83単位

区分3以下

77単位

人員配置体制加算Ⅱ

30:1以上の世話人または生活支援員を配置

区分4以上

33単位

区分3以下

31単位

人員配置体制加算Ⅲ

12:1個人単位特例

-

84単位

人員配置体制加算Ⅳ

30:1個人単位特例

-

33単位

人員配置体制加算Ⅴ

7.5:1

区分4以上

138単位

区分3

121単位

人員配置体制加算Ⅵ

20:1

区分4以上

53単位

区分3

45単位

人員配置体制加算Ⅶ

7.5:1、日中住居以外

区分4以上

131単位

区分3以下

112単位

人員配置体制加算Ⅷ

20:1、日中住居以外

区分4以上

50単位

区分3以下

42単位

人員配置体制加算Ⅸ

7.5:1、個人単位特例

-

134単位

人員配置体制加算Ⅹ

20:1、個人単位特例

-

50単位

人員配置体制加算Ⅺ

7.5:1、個人単位特例、日中住居以外

-

128単位

人員配置体制加算Ⅻ

20:1、個人単位特例、日中住居以外

-

49単位

人員配置体制加算XⅢ

12:1

-

73単位

人員配置体制加算XⅣ

30:1

-

28単位

参照:p16 人員配置体制加算

人員配置体制加算を取得しないと大幅な減収が予想されるため、障害者グループホームを経営する事業所は、加算の取得を検討しましょう。

【新設】ピアサポート実施加算・退去後ピアサポート実施加算

「ピアサポート実施加算」と「退去後ピアサポート実施加算」は、ピアサポート(利用者様と同じ病気や障害のある方による支援)を実施する事業所を評価する加算です。

障害者グループホームの利用者様に対して、地域生活や就労を続けるうえでの不安を解消したり、生産活動への意欲を向上させたりするのが目的です。

それぞれの加算の算定要件・単位数は、以下のとおりです。

【ピアサポート実施加算】

  • 単位数: 100単位/月
  • 算定要件:
    • 障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2名以上配置していること(うち1名は障害者等であること)
    • 障害者ピアサポート研修修了者により、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること
    • 障害者または障害者であったと都道府県知事が認める従業者で、かつ障害者ピアサポート研修を修了した者が利用者様に対して、その経験に基づき相談援助を行うこと

【退去後ピアサポート実施加算】

  • 単位数: 100単位/月
  • 算定要件:
    • 退居後共同生活援助サービス費または退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費を算定していること
    • 障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2名以上配置していること(うち1名は障害者等であること)
    • 障害者ピアサポート研修修了者により、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること
    • 障害者または障害者であったと都道府県知事が認める従業者で、かつ障害者ピアサポート研修を修了した者が利用者様に対して、その経験に基づき相談援助を行うこと

参照:厚生労働省 p3 ピアサポートの専門性の評価③(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定)
参照:p24 ②グループホーム退居後における支援の評価 

これらの加算は、障害者グループホーム退居後の利用者様の地域生活を支える重要な役割を果たします。

【新設】集中的支援加算

「集中的支援加算」は、強度行動障害(※)が悪化した利用者様に対して、集中的な支援を行った場合に算定できる加算です。

(※)強度行動障害とは?
自傷、他害、こだわり、ものを壊す行為、睡眠の乱れ、異食、多動などの行動が著しく高い頻度で起こり、本人や周囲の人の暮らしに大きな影響を及ぼすため、特別に配慮された支援が必要になっている状態

集中的支援加算の算定要件・単位数は、以下をご覧ください。

単位数

算定上限

算定要件

集中的支援加算(Ⅰ)

1,000単位/回

3ヶ月以内の期間に限り月4回まで

・強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、高度な専門性を有する広域的支援人材が事業所を訪問またはオンラインを活用して支援を行うこと

・広域的支援人材が、加算の対象となる児童及び事業所のアセスメントを行うこと

・広域的支援人材と事業所の従業者が共同して、集中的支援実施計画を作成すること(概ね1月に1回以上の頻度で見直しを行うこと)

・加算の算定は、対象児童に支援を行う時間帯に、広域的支援人材から訪問またはオンライン等を活用して助言援助等を受けた日に行われること

集中的支援加算(Ⅱ)

500単位/日

3ヶ月以内の期間

・強度行動障害を有する者への集中的な支援を提供できる体制を確保しているものとして都道府県知事が認めた事業所であること

・集中的な支援が必要な利用者様を他の指定障害福祉サービス事業所または指定障害者支援施設等から受け入れること

・当該利用者様に対して集中的な支援を実施すること

・支援を開始した日の属する月から起算して3月以内の期間に限り算定可能

参考:こども家庭庁支援局障害児支援課 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 「状態の悪化した強度行動障害を有する児者への集中的支援の実施に係る事務手続等について」 p3 2.加算の概要

この加算は、強度行動障害のある利用者様に専門性の高いサービスを提供できるうえに、障害者グループホームにとって、重要な収入源となるでしょう。

【新設】障害者支援施設等感染対策向上加算

「障害者支援施設等感染対策向上加算」は、障害者グループホームなどの施設が感染症対策を強化し、発生時に迅速かつ適切な対応を取れる体制を評価する加算です。

加算区分と算定要件、単位数は以下をご覧ください。

区分

単位数

算定要件

障害者支援施設等感染対策向上加算(Ⅰ)

10単位/月

1. 第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること

2. 協力医療機関等との間で、感染症の発生時の対応を取り決め、発生時に連携し適切に対応できること

3. 医科診療報酬点数表の感染対策向上加算または外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関が行う院内感染対策に関する研修または訓練に年1回以上参加していること

障害者支援施設等感染対策向上加算(Ⅱ)

5単位/月

1. 医科診療報酬点数表の感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から3年に1回以上、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けていること

2. 実地指導は、感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関において設置された感染制御チームの専任の医師または看護師等が行うこと

3. 都道府県知事に届け出をしていること

加算を取得することで、障害者グループホームでの感染症対策の質を向上させ、利用者様の安全確保を目指す取り組みが促進されます。

【新設】新興感染症等施設療養加算

「新興感染症等施設療養加算」とは、障害者グループホームが新興感染症など(例:新型コロナウイルス感染症)の発生時に、施設内療養を行う場合に算定される加算です。

感染拡大にともなう病床ひっ迫時の対応として、必要な体制を確保したうえで施設内療養を行ったことを評価します。

算定要件と単位数は、以下をご覧ください。

【新興感染症等施設療養加算】

  • 単位数:240単位/日
  • 算定上限:1ヵ月に5日を限度とする
  • 算定条件:
    • 入所者が別に厚生労働大臣が定める感染症に感染した場合であること
    • 相談対応、診療、入院調整等を行う医療機関を確保している施設において、当該入所者に対し適切な感染対策を行うこと
    • 対策等を行ったうえで、障害福祉サービス等を提供すること

参考:障害福祉サービス費等の報酬算定構造

【新設】高次脳機能障害者支援体制加算 

「高次脳機能障害支援体制加算」は、高次脳機能障害(※)のある利用者様に支援を行い、生活の質を向上させるために設けられた加算です。

(※)高次脳機能障害とは?

  • 脳の損傷によって、記憶・注意・言語・感情のコントロールなどの機能がうまく働かなくなり、日常生活や社会生活に支障をきたす状態
  • 脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害や、交通事故などによる脳外傷、心肺停止による低酸素脳症などによって、脳がダメージを受けたことにより生じる

加算の算定要件と単位数は以下のとおりです。

【高次脳機能障害者支援体制加算】

  • 単位数:41単位/日
  • 対象サービス:
    生活介護、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型
  • 算定要件:
    • 高次脳機能障害を有する利用者様が全体の利用者様数の100分の30以上であること
    • 高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を事業所に50:1以上配置していること
    • 上記の旨を公表していること

この加算によって、障害者グループホームは高次脳機能障害のある利用者様に対して、より専門的な支援を提供できます。

日中支援加算(Ⅱ)の初日算定

令和6年度(2024年度)の報酬改定により、日中支援加算(Ⅱ)について、現行では支援の3日目から算定可能だったものが、初日からの算定が可能となりました。

この改定によって、障害者グループホームの利用者様が体調不良等により日中活動系サービス等を利用できない場合に、初日から適切な支援に対する評価が行われます。

ただし、日中サービス支援型グループホームは対象外となるため注意が必要です。

自立生活支援加算の拡充

障害者グループホームの「自立生活支援加算」は、令和6年度(2024年度)から以下の3つの区分に拡充されます。

単位数

支給期間

支援内容

自立生活支援加算(I)

1,000単位/月

6ヶ月間

個別支援計画を見直し住居確保等の支援を行う場合

自立生活支援加算(II)

500単位/回

入居中2回/退去後1回

住宅確保並びに転居後見守り支援を行う場合

自立生活支援加算(III)

80単位/日

3年間

移行支援を前提として日常的に住宅確保等を行う場合

これらの加算を活用することで、障害者グループホームから一人暮らしへの移行を支援する体制が強化されるでしょう。

重度障害者支援加算の拡充

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、重度障害者支援加算も拡充されます。

改定前は障害支援区分6以上の利用者様への支援に対する評価のみでした。

改定後は、障害支援区分4・5の利用者様に対する報酬区分が新設されます。

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充

令和6年度(2024年度)の報酬改定によって、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算も拡充されています。

加算区分と単位数については、下記をご覧ください。

【視覚・聴覚言語障害者支援体制加算】

  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)
    • 単位数:51単位/日
    • 算定要件:
      • 視覚または聴覚・言語機能に重度の障害のある利用者様の数が、100分の50以上であること
      • 意思疎通に関する専門的な知識・技能を持つ職員を、利用者様の数を40で割った数以上配置すること
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅱ)
    • 単位数:41単位/日
    • 算定要件:
      • 視覚または聴覚・言語機能に重度の障害のある利用者様の数が、100分の30以上であること
      • 意思疎通に関する専門的な知識・技能を持つ職員を、利用者様の数を50で割った数以上配置すること

「意思疎通に関する専門的な知識・技能を持つ職員」とは、点字の指導・点訳・歩行支援・手話通訳などができる職員を指します。

この加算の拡充により、視覚・聴覚・言語機能に障害のある利用者様に対する支援の充実が図られるでしょう。

【令和6年度(2024年度)報酬改定】障害者グループホームの減算

令和6年度(2024年度)の報酬改定により、障害者グループホーム(共同生活援助)では複数の減算が新設・強化されました。

これらの減算は、サービスの質の向上と適切な運営体制の確保を目的としています。

特に施設・居住系サービスは減算率が高く設定されているため、報酬への影響が大きくなる可能性があります。

障害者グループホームを経営する事業所は、減算を回避するために必要な体制を整えましょう。

【新設】業務継続計画未策定減算

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、障害者グループホームを含む障害福祉サービス事業所において、業務継続計画(BCP)の策定が義務化されました。

BCP未策定の場合、障害者グループホームなどの施設・居住系サービスでは、所定単位数の3%が減算されます。

BCPとは、感染症や自然災害発生時においても、利用者様へのサービス提供を継続するための計画です。

この計画には以下の内容を含める必要があります。

  • 感染症発生時のBCP(感染防止対策、職員確保体制など)
  • 自然災害発生時のBCP(避難経路、優先業務の選定など)

また、策定したBCPに基づいた研修と訓練を年1回以上実施し、記録を保存しなければなりません。

これらの対応を実施しない場合、4月からさかのぼって減算が適用されるため、グループホーム事業者は早急な対応が求められます。

【新設】情報公表未報告減算

障害者グループホームを含む障害福祉サービス事業所は「障害福祉サービス等情報公表システム」を通じて、サービス内容等を都道府県知事等に報告しなければなりません。

この報告を実施しなかった場合、所定単位数(基本報酬と加算の単位数を足した数)の10%が減算されます。

運営指導や指定更新の際に未報告が判明した場合、4月からさかのぼって減算が適用されます。

また、特に注意すべき点として、以下の4つが挙げられます。

【情報公表未報告減算の注意点】

  • 情報公表システムへの報告内容には、事業所の基本情報だけでなく、サービスの詳細情報も含まれる
  • 新規指定を受けた場合は、ID・パスワードを受け取った約1か月以内に報告が必要
  • 既存事業所も年1回の更新報告が必須
  • 基本情報に変更があった場合はその都度報告が必要

この減算は減算率が高く設定されているため、障害者グループホームにとって大きな影響が出るでしょう。

【新設】虐待防止措置未実施減算 

「虐待防止措置未実施減算」では、障害者グループホームを含むすべての障害福祉サービス事業所において、虐待防止措置を実施していない場合、所定単位数の1%が減算されます。

虐待防止措置の基準として、以下の3点をすべて満たす必要があります。

  • 虐待防止委員会を定期的(年1回以上)に開催し、その結果を全職員に周知徹底する
  • 虐待防止のための研修を定期的(年1回以上)に、すべての職員を対象として実施する
  • 上記の措置を適切に実施するための担当者を設置する

虐待防止委員会は法人単位での設置も可能で、身体拘束適正化委員会との一体的な運営も認められています。

身体拘束未実施減算の見直し

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、身体拘束廃止未実施減算の減算率が見直されました。

改定前は1日につき5単位の減算でしたが、令和6年度以降は所定単位数の10%が減算されます。

身体拘束廃止未実施減算は、以下のすべての基準を満たさない場合、減算が適用されます。

  1. 身体拘束等を行う場合の必要事項(態様、時間、利用者様の状況、緊急やむを得ない理由等)を記録する
  2. 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底する
  3. 身体拘束等の適正化のための指針を整備する
  4. 従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施する

上記のうち「緊急やむを得ない理由」は、以下の三原則をすべて満たす場合にのみ認められます。

  • 切迫性:利用者様の生命や身体が危険にさらされる可能性が著しく高い状況
  • 非代替性:ほかに代替手段がない状況
  • 一時性:行動制限が一時的であること

社労士 涌井好文のコメント:

報酬は、加算されるだけでなく減算される場合もありますが、令和6年の改定では減算が強化されています。今後は、業務継続計画の未策定や情報公表システムへの未報告の場合などにも減算される恐れがあるため、注意が必要です。また、昨今入所者等への虐待が問題視されていますが、虐待防止措置を怠った場合にも減算が行われるようになっています。いずれも継続的なサービス提供やコンプライアンスの観点から重要な部分であり、単純な報酬の減額に留まるものではありません。そのため、減算を避けることは、事業所にとって義務であると考え、取り組まなければならないでしょう。

記事のまとめ

障害者グループホーム(共同生活援助)における処遇改善加算の取得は、利用者様への質の高いサービス提供と福祉・介護職員の待遇向上に不可欠です。

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、加算体系の一本化により、人員配置や専門的支援(強度行動障がい、医療的ケア、ピアサポート等)の充実にも目が向けられています。
地域生活支援と自立支援の質を高めるためにも、職場環境の整備と処遇改善加算の積極的な活用を検討し、看護職員を含めた支援体制の強化に取り組みましょう。

ここまで令和6年度(2024年度)の報酬改定ポイントについて説明しましたが、これらの知識をすべて理解するのには時間がかかるでしょう。

また、加算を請求した後に、実は取れていない加算が発覚したり、知らないうちに減算の対象となったりする場合もあります。

障害福祉に特化した記録・請求ソフト「knowbe(ノウビー)」なら、3年に1度の報酬改定にも対応しており、追加料金なしで自動的にアップデートします。

常に最新の加算項目に基づいて加算が取得できるため、加算の取り忘れや記録の不備などを未然に防げるでしょう。

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社労士 涌井好文のコメント:

事業所を運営し、利用者様にサービスを提供し続けるためには、安定した経営が不可欠です。安定した経営には、運営のための資金が必要であり、処遇改善加算をはじめとした加算の活用が重要となります。また、処遇改善加算を取得し、職員の待遇改善を図れば、職員のモチベーションやエンゲージメントも向上し、提供するサービスの質の向上や離職率の低下にもつながるでしょう。ぜひ、当記事を参考に処遇改善加算への理解を深め、事業所の安定経営につなげてください。

Author
著者
宮島桃香
福祉系大学卒業と同時に社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得。障害者就労・生活支援センターや就労継続支援B型事業所にて、2年半ほど就労支援業務に携わる。2022年12月より、障害者の就労支援やメンタルヘルス系のメディアを中心に記事執筆を行っている。
Supervisor
監修者
涌井好文(わくい よしふみ)
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年に神奈川県で社会保険労務士として開業登録後、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を展開。障害福祉サービス事業所の運営や手続きに関する相談など、福祉分野での支援も行っている。退職や転職に関するトラブル相談にも応じ、労使双方が働きやすい環境作りに尽力。また、近年はWebを活用した情報発信にも注力し、記事執筆や監修を通じて幅広い知識を提供している。
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