
就労継続支援B型の工賃とは?平均工賃や計算方法、工賃ルールをわかりやすく解説
※この記事は2025年10月時点の情報で作成しています
「工賃」とは、就労継続支援B型で行う生産活動の対価として、利用者様へ支払う報酬です。
多くの事業所では、利用者様のやりがいと経済的自立を願い、工賃アップを目指してさまざまな取り組みを行っています。
しかし、開所直後の事業所様からは、「適切な工賃設定で利用者様を増やせるか不安」「複雑な計算と報告業務で現場が疲弊してしまう」など、運営面での悩みをよくお聞きします。
また、令和6年度(2024年度)の報酬改定では、平均工賃月額が高い事業所には、より高い基本報酬が支払われる仕組みが強化されました。
この改定により、工賃アップは事業所の収益と安定運営に直結する重要課題となったのです。
この記事では、就労継続支援B型の工賃の概要、基本報酬との関係性、工賃の計算方法、収益と支援の質を高める戦略について、元就労継続支援B型の職員である宮島桃香が詳しく解説します。
監修は社労士の涌井好文です。
工賃計算の負担を減らし、利用者様の支援に集中できる体制づくりに役立つ情報もお届けします。
就労継続支援B型の工賃とは?
就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい障がいのある方に働く場を提供する福祉サービスです。
就労継続支援B型では、利用者様が生産活動を通して得た成果に対する対価として「工賃」を支払います。
工賃とは、雇用契約に基づかない報酬です。
一般企業で受け取る「給料」とは異なります。
工賃の額は事業所によって大きく異なり、地域格差も存在しています。
社労士 涌井好文のコメント: 通常の企業に勤める方に対しては、労働の対価として給与が支払われることが通常です。また、給与と同様に、就労継続支援B型の利用者様が行う生産活動に対しても、対価が支払われています。この対価は「工賃」と呼ばれ、適切な額を設定することが、利用者様のモチベーションや、事業所の運営にも大きく関わることになります。 |
工賃と給料の違い
就労継続支援B型の工賃と、一般企業で支給される給料にはいくつか違いがあります。
最も決定的な違いは、「雇用契約の有無」です。
就労継続支援B型は、あくまでも「福祉サービスの利用」という位置づけのため、利用者様と事業所の間で雇用契約を結びません。
このため、労働基準法に基づく賃金ではなく「工賃」が支払われます。
社労士 涌井好文のコメント: 工賃と給与は、作業や活動への対価という意味では同様ですが、大きく異なる点があります。それは、工賃を受け取る利用者様は、労働者と異なり事業所と雇用契約を結んでいないという点です。あくまで利用者様は、事業者が提供するサービスを受ける側であり、従業員ではありません。しかし、事業所が利用者様の生産活動から収益を上げていることも事実であり、成果の分配ともいえる形で工賃が支払われているわけです。 |
【最新データ】工賃の全国平均はいくら?
厚生労働省によると、令和5年度の工賃の全国平均は、月額23,053円です。
前年度(令和4年度)と比較して、6,022円上がっています。
参照:厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」p1
一方で、利用者様と雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型」の平均賃金は、月額86,752円です。
参照:厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」p1
就労継続支援B型と比較すると、約6万円もの差があります。
就労継続支援B型の工賃と基本報酬の関係

平均工賃月額は、国からの基本報酬にも大きく影響します。
2024年度(令和6年度)の報酬改定では、平均工賃月額が高い事業所は、より高い基本報酬が支給される仕組みになりました。
一方で、平均工賃月額ではなく、利用者様の就労や生産活動等を評価する報酬体系も整備されています。
就労継続支援B型は、利用者様のニーズや支援内容に応じて、各事業所に合った報酬体系を選ぶ必要があります。
就労継続支援B型の工賃と基本報酬の関係について、以下より詳しく見てみましょう。
平均工賃月額に応じた報酬体系
「平均工賃月額に応じた報酬体系」では、平均工賃月額が高いほど基本報酬の単位数も高くなります。
たとえば、人員配置基準が6:1(職員6人に対して利用者様1人)、定員20人以下の事業所の場合、平均工賃月額に応じて以下の8区分が設定されています。
人員配置基準6:1、定員20人以下の就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)
区分 | 単位数 |
|---|---|
(一) 平均工賃月額が4万円5千円以上 | 837単位 |
(二) 平均工賃月額が3万5千円以上4万5千円未満 | 805単位 |
(三) 平均工賃月額が3万円以上3万5千円未満 | 758単位 |
(四) 平均工賃月額が2万5千円以上3万円未満 | 738単位 |
(五) 平均工賃月額が2万円以上2万5千円未満 | 726単位 |
(六) 平均工賃月額が1万5千円以上2万円未満 | 703単位 |
(七) 平均工賃月額が1万円以上1万5千円未満 | 673単位 |
(八) 平均工賃月額が1万円未満 | 590単位 |
参照:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造 イ 就労継続支 援B型サービス 費(Ⅰ) (6:1) (1) 定員20人 以下」p34
ご覧のとおり、事業所の人員配置基準や定員数が同じであっても、区分(一)と(八)は237単位(約2,370円)もの差があるのです。
さらに、2024年度(令和6年度)の報酬改定では、平均工賃月額が高い区分の報酬単価が引き上げられ、低い区分の単価は引き下げられました。
工賃アップに積極的に取り組む事業所が、今まで以上に評価されています。
利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系
「利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系」では、平均工賃月額は評価の対象にはなりません。
この報酬体系は、高い工賃を目指すことが難しい重度の障がいや特性を持つ利用者様が多い事業所向けに作られました。
利用者様の状況や特性に合わせた支援を行う事業所でも、適切な評価が受けられるよう配慮されています。
参照:厚生労働省「就労継続支援B型の工賃向上と効果的な取組の評価 「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系」p31
【注意】平均工賃月額には報告義務がある
就労継続支援B型は、平均工賃月額を算出し、指定権者(都道府県または市区町村)へ報告するように義務付けられています。
参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第十三章第四節第二百一条第4項」
2024年度(令和6年度)の報酬改定では、平均工賃月額の計算方法が以下のように見直されました。
平均工賃月額の計算方法
前年度(4月〜翌3月)にすべての利用者様に支払った工賃の合計額を計算します。
前年度の年間延べ利用者数を年間開所日数で割ります。
年間工賃支払総額を開所1日あたりの平均利用者数で割り、さらにその数を12ヵ月で割ります。 |
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容 平均工賃月額の算定方法の見直し」p31
たとえば、前年度の延べ利用者数3,600人、年間開所日数240日の場合、開所1日あたりの平均利用者数は、3,600人÷240日=15人です。
年間工賃支払総額が360万円の場合、平均工賃月額は360万円÷15人÷12ヵ月=20,000円となります。
なお、レクリエーションや行事など、生産活動を目的としていない日は開所日数に含まれません。
ただし、地域のバザーなどで利用者様が作成した生産品を販売した場合は、開所日として算定できます。
就労継続支援B型の工賃支払いに関するルール

就労継続支援B型は、厚生労働省が定めるルールに従って工賃を支払うことが義務付けられています。
就労継続支援B型の工賃に関する主要なルールについて、以下より詳しく見てみましょう。
社労士 涌井好文のコメント: 就労継続支援B型の利用者様は、事業所に雇用される労働者ではないことから、労基法上の労働者ではなく、最低賃金法の適用もありません。しかし、工賃の支払いにもルールが設けられており、事業所には遵守が義務付けられています。たとえば、工賃は生産活動の収益から支払うことが必要であり、国保連から支給される自立支援給付費から賄うことはできません。そのため、事業所は工賃を支払うに足りる売上が発生する作業を用意し、サポートする必要があるわけです。 |
工賃は生産活動収入から支払う
就労継続支援B型の工賃は、生産活動によって得られた収入から支払わなければなりません。
参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第十三章第四節第二百一条第1項」
つまり、事業所が実施する物品製造や受託作業、サービス提供などの活動で得た収入から利用者様へ工賃を支払う必要があります。
生産活動収入が増えると利用者様に支給できる工賃額も増えるため、多くの事業所では収益向上の取り組みが積極的に行われています。
事業所全体の平均工賃月額が3,000円を下回ってはならない
厚生労働省の規定では、事業所の平均工賃月額が3,000円を下回ってはならないとされています。
参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第十三章第四節第二百一条第2項」
ただし、ここでいう平均工賃月額は、あくまで「事業所全体の平均工賃月額」です。
一部の利用者様の工賃月額が3,000円を下回るのは問題ありません。
筆者の経験としても、体調が悪くて休みが続いている利用者様に対しては、どうしても工賃を下げざるを得ないケースもありました。
工賃規程を定める必要がある
就労継続支援B型は「工賃規程」を定める必要があります。
工賃規程は、一般企業でいう就業規則にあたるもので、すべての利用者様に対して公平公正に工賃が支払われるように定められたルールです。
工賃規程には主に以下のような内容が記載されています。
工賃規定の内容
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事業所は工賃規程を利用者様やご家族に提示し、理解を得たうえで運用しなければなりません。
具体的な工賃形態については、次の章で解説します。
社労士 涌井好文のコメント: 企業には就業規則中に給与の支払いに関する個々の規定や、独立した給与規程が設けられていることが一般的です。これは法の求めによるものでもありますが、給与の支払いに関して明確なルールを定め、透明性や公平性を担保するという意味合いも大きくなっています。工賃に関しても同様に、支払いの関するルールを定めた「工賃規程」を定めることが求められます。工賃規程は、支払いに関するトラブルを防止し、利用者様との信頼関係を構築するために、極めて重要な要素となるため、利用者様の意見を聴いたうえで作成することが重要です。 |
【工賃形態別】工賃の計算方法

就労継続支援B型の工賃形態は、時給制、日給制、月給制など、事業所によって異なります。
また、すべての工賃形態に共通して、事業所の生産活動による収益から必要経費を差し引いた金額が工賃の財源となります。
就労継続支援B型における工賃の計算方法について、詳しく見てみましょう。
【共通】工賃に使える金額の求め方
就労継続支援B型の工賃に使える金額(財源)は、以下の計算式で求められます。
工賃に使える金額(工賃財源)=生産活動収入-生産活動に係る経費
参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第十三章第四節第二百五条第1項」
たとえば、生産活動で1万円の収益があり、必要経費が4,000円であれば、残りの6,000円が工賃として利用者様に分配されるでしょう。
ケース1. 時給制の場合
時給制の場合、工賃財源を利用者様全体の作業時間で割って時給単価を設定します。
たとえば、工賃財源60,000円、総作業時間300時間の場合、60,000円÷300時間=時給200円となります。
個人の工賃額は、時給単価×個人の作業時間で計算します。
時給制は、作業時間に比例して工賃が支払われるため、利用者様自身も「どれだけ働けばどれだけもらえるか」がわかりやすいでしょう。
ケース2. 日給制の場合
日給制の場合、日給単価は以下の方法で算出される場合が多いです。
日給単価の計算方法
年間の予想工賃財源額÷年間の予想延べ利用者数=1日あたりの日給単価
前月の工賃財源÷前月の延べ利用者数=当月の日給単価 |
予測方式とは、年間の工賃財源額と延べ利用者数をあらかじめ予想して計算する方法です。
たとえば、年間予想工賃財源額120万円、予想延べ利用者数2,000人の場合、120万円÷ 2,000人=日給600円となります。
実績方式とは、前月の工賃財源額と延べ利用者数をもとに日給単価を計算する方法です。
たとえば、前月の工賃財源15万円、延べ利用者数150人の場合、15万円÷150人=日給1,000円となります。
日給制は、その日の作業時間に関わらず、利用者様の出勤日数に応じて工賃が支払われます。
安定した通所を目的とした事業所に適しているでしょう。
ケース3. 月給制の場合
月給制の場合、以下の流れで工賃支払い方法が決まります。
月給制の工賃支払い方法
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たとえば、月の工賃財源15万円、利用者様15人の場合、基本月給は一人あたり10,000円が目安となりますが、実際は利用者様の技能レベルを考慮して、以下のように設定されるでしょう。
- 基本月給:8,000円
- 能力給:0円~3,000円(段階別評価)
- 皆勤手当:1,000円
月給制は安定した収入が見込める一方で、工賃額が作業時間とリンクしないため、公平性の担保が課題となる場合もあります。
工賃の分配ルールは各事業所によって異なりますが、利用者様にとって大事な収入源であることに変わりはありません。
また、先述したとおり、平均工賃月額は報告義務があります。
利用者様にお渡しした工賃額はもちろんですが、その根拠となる作業時間も記録しなければなりません。
工賃を計算するには日々利用者様の作業時間を記録・管理する必要がありますが、利用者様の人数によっては膨大な時間がかかってしまう場合もあります。
障がい福祉サービスに特化した記録・請求ソフト「knowbe(ノウビー)」は、事業所様独自の休憩時間や計算単位を設定でき、そのまま工賃計算にご利用いただけます。
複雑な工賃計算の時間を大幅に削減することで、利用者様一人ひとりに向き合う時間を増やせるでしょう。
knowbeは、日々の記録から請求、工賃計算、経営改善に必要なデータ分析までを一元管理し、事業所の安定運営を長期的にサポートするパートナーとして設計されています。

就労継続支援B型の工賃を上げるには?
就労継続支援B型において、工賃アップは重要な課題の一つです。
工賃アップは利用者様のモチベーションを高め、経済的自立にもつながります。
また、工賃月額は基本報酬にも直結するため、事業所側にとっても工賃アップを目指すメリットがあります。
工賃を上げるためには、生産活動収入を増やしたり、経費を減らしたりする必要があります。
就労継続支援B型における工賃アップ戦略について、詳しく見てみましょう。
生産活動収入を増やす
就労継続支援B型の工賃を上げるには、生産活動による収入を増やす必要があります。
収入増加は直接工賃に反映されるため、積極的な取り組みが求められるでしょう。
工賃アップに向けた具体的な取り組み例として、以下の3つが挙げられます。
- 販路の拡大・多様化
- インターネット販売、イベント販売、小売店販売などの複数の販売チャネルを活用する
- 幼稚園や介護施設などの大口販路を開拓する
- 地域の企業や商工会議所、商店街と連携して取引先を増やす
- 商品・サービスの付加価値向上
- 利用者様の適性に合った、生産性の高い事業を始める
- 利益率の高い事業を見極め、拡大する
- 日持ちする商品の開発や付加価値の高い商品作りに取り組む
- 単価と取引条件の見直し
- 請負・受託先の企業との価格交渉を行う
- 競合状況を調査したうえで適切な価格改定を実施する
- 低単価な案件は取引先との交渉や場合によっては辞退する
筆者が以前勤めていた就労継続支援B型では、受託先企業と単価交渉を行い、実際に作業単価が上がったことがあります。
また、収益を増やす方法として、施設外就労を取り入れている事業所もあります。
施設外就労とは、就労継続支援B型が企業と業務請負契約を結び、その企業内で生産活動を行う支援です。
筆者が以前勤務していた事業所でも施設外就労を実施していましたが、施設外就労のほかにもやるべき業務が多く、記録を書くときに「あの利用者様は今日何をしていたっけ?」となる日もよくありました。
knowbeは複数のタブレットやスマートフォンからアクセスでき、施設外就労の実績を即時記録できます。
タブレット1台あればいつでも記録でき、すぐに記録を呼び出せるため、外出先でも役に立つでしょう。

経費を減らす
就労継続支援B型の工賃を上げるには、収入を増やすだけでなく、経費を適切に管理しましょう。
経費削減によって生まれた余剰資金は、利用者様の工賃に還元できます。
たとえば、廃棄が多い商品は工賃を圧迫する大きな要因となるため、販売状況を分析し、生産量の調整や商品ラインナップの見直しを行いましょう。
材料や包材の仕入れ先も比較検討し、より安価で品質の良い調達先を開拓するのをおすすめします。
また、固定費の見直しも経費削減につながります。
家賃は自治体の補助金や減免制度を活用し、光熱費はLED照明への切り替えやエアコンの適切な温度設定で節約できるでしょう。
通信費に関しても、契約プランを見直し、不要なサービスは解約しましょう。
ほかにも、機材等のリース・レンタル契約の見直しやペーパーレス化によって、不要な経費を削減できます。
工賃向上計画を策定・実行する
就労継続支援B型が工賃アップを実現するためには、工賃向上計画の策定・実行が求められます。
効果的な工賃向上計画には、以下の要素を含めるとよいでしょう。
- 現状分析と課題の洗い出し
- 数値目標の設定(短期・中期・長期)
- 具体的な取り組み内容と実施スケジュール
- 担当者と役割分担
- 進捗管理の方法
まず、事業所の現状分析から始めます。
現在の平均工賃、生産活動の内容、利用者様の特性、強みと弱みを客観的に分析しましょう。
同地域にあるほかの就労継続支援B型との比較も参考になります。
次に、具体的な数値目標を設定しましょう。
たとえば、「3年後に平均工賃○○円を達成する」といった明確な目標があると、取り組みの方向性が定まります。
計画を実行する際には、定期的な進捗確認とPDCAサイクルの実践が求められます。
月次や四半期ごとに計画の進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行いましょう。
よくある質問Q&A
就労継続支援B型の工賃について、よくいただく質問にお答えします。
事業所の運営や将来の見通しを立てるうえで参考にしていただければ幸いです。
Q. 利用者様に支払う工賃に税金はかかりますか?
A.就労継続支援B型の利用者様に支払う工賃も、原則として所得税の課税対象となります。
ただし、利用者様の年間工賃収入が103万円未満であれば、基礎控除の範囲内となり、所得税はかかりません。
現在の就労継続支援B型の平均工賃を考えると、実質的に所得税が発生しない方が多いでしょう。
参照:松山市「就労継続支援事業で得た収入の申告について 2. 就労継続支援事業(B型)のサービスを利用して得た収入」p1
参照:国税庁「No.1810 家内労働者等の必要経費の特例 注意事項(2)(注)」
Q. 工賃の支払い方法は現金手渡しですか?
A.就労継続支援B型における工賃の支払い方法は、事業所によって異なります。
主な支払い方法として、以下の方法があります。
- 現金での直接手渡し
- 利用者様ご本人名義の銀行口座への振込
- ご家族や成年後見人が管理する口座への振込
就労継続支援B型は、工賃規程に支払日・方法を明記し、利用者様の同意を得ることが望ましいです。
振込手数料の負担者も事前に決めておきましょう。
まとめ

就労継続支援B型を利用する障がい者の方にとって、工賃は大切な収入源です。
しかし、令和5年度の工賃の平均額は月額23,053円と、まだまだ低い水準にあります。
工賃の金額を上げると、利用者様の働くモチベーションアップにつながるでしょう。
工賃アップを目指す事業所では、生産活動の見直しや販路拡大、ウェルフェアトレードの活用、施設外就労の推進など、さまざまな取り組みが行われています。
厚生労働省も、平均工賃月額の高い事業所を評価する仕組みを整備しています。
利用者様と事業所がともに成長できる環境づくりが今後も重要とされるでしょう。
社労士 涌井好文のコメント: 工賃は、利用者様のモチベーションに大きく関わる重要な要素です。工賃が高ければ、利用者様の就労への意欲もより増すことになるでしょう。工賃を高めるためには、収益を増やすことが必要です。そのためには、品質向上による付加価値の増大や、作業工程の見直し、販路の拡大などが必要となってきます。どのようにすれば、生産活動をより効率化できるかを考えたうえで、現在の体制や作業を見直してみてはいかがでしょうか。 |

