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賃金向上達成指導員配置加算の算定要件・単位数・申請方法のポイントを解説【就労継続支援A型】

コラム
更新日:2026年02月19日
就労継続支援A型各種加算の取得方法人員配置基準・人員要件実地指導・監査対策記録・書類作成
目次
【概要】賃金向上達成指導員配置加算とは?賃上げと経営安定を両立する仕組み
【目的】利用者様のモチベーション向上と定着率アップを実現する
【役割】専従スタッフとして「賃金向上計画」と「販路拡大」を主導する
賃金向上達成指導員配置加算の単位数・計算方法
【単位数】定員20人以下なら1日70単位!
【ケーススタディ】加算の金額を計算してみよう
【算定要件】指導員の「常勤換算1.0人」と「計画策定」がポイント
【人員配置】常勤換算1.0人以上が必須!計算するときの注意点
【計画作成】具体的な数値目標を定めた「賃金向上計画」「経営改善計画」
【キャリアアップ】評価制度や資格支援を就業規則に明記する
【取得手順】必要書類の準備から指定権者への届出まで
1.加算取得に必要な書類を準備する
2.指定権者へ事前届出を行う
3. 算定開始までの流れ
【実地指導対策】配置基準割れや記録不備による返還リスクを防ぐ
実地指導でよくある指摘事項と対策
要件を満たさなくなったら速やかに変更手続きを
加算取得を効率化する!障がい福祉サービス記録・請求ソフト「knowbe」
賃金向上達成指導員配置加算のよくある質問Q&A
Q1: 賃金向上達成指導員に特定の資格は必要ですか?
Q2: 賃金向上達成指導員はパートでも大丈夫ですか?
Q3: 賃金向上達成指導員は兼務できますか?
Q4: 賃金向上達成指導員は処遇改善加算の対象になりますか?
記事のまとめ

※この記事は2025年12月時点の情報で作成しています

「利用者様の賃金を上げたいけど、原資の確保が難しい…」

就労継続支援A型の経営において、理想と現実の狭間で悩む経営者様は少なくありません。 このような課題を解決し、利用者様の賃金アップと事業所の収益確保を同時に叶えるのが「賃金向上達成指導員配置加算」です。

この加算は、賃金向上達成指導員を配置して賃上げに取り組む事業所を評価する加算です。

月額で数十万円単位の増収が見込まれるため、経営安定化の大きなカギとなります。

しかし、「配置コストに見合うのか?」「算定要件が複雑で不安…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、社労士の涌井好文監修のもと、元就労継続支援B型の職員である宮島桃香が、賃金向上達成指導員配置加算の単位数や計算方法、実地指導で指摘されないためのポイントを解説します。

加算を賢く活用し、利用者様も経営者も安心できる事業所を目指しましょう。

【概要】賃金向上達成指導員配置加算とは?賃上げと経営安定を両立する仕組み

【概要】賃金向上達成指導員配置加算とは?賃上げと経営安定を両立する仕組み

賃金向上達成指導員配置加算は、就労継続支援A型を対象とした加算です。

利用者様の賃金アップに向けた取り組みを評価・支援します。

この加算は、事業所が賃金向上達成指導員を配置し、賃金の引き上げに向けて専門的な支援を行っていることを評価する仕組みです。

この章では、賃金向上達成指導員配置加算が創設された背景や、賃金向上達成指導員の役割について、詳しく解説します。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金は、労働へのモチベーションに直結する重要な要素です。このことは、一般の企業に勤務するサラリーマンだけでなく、事業所の利用者にとっても同様でしょう。賃金を向上させれば、利用者の定着にもつながるため、賃上げは積極的に行っていきたいところです。しかし、無計画に賃上げを行っても高い効果は期待できません。賃金向上計画を策定し、賃金向上達成指導員を配置することで、本記事で紹介する「賃金向上達成指導員配置加算」が加算されるため、有効に活用し、利用者のキャリアアップにつなげましょう。

【目的】利用者様のモチベーション向上と定着率アップを実現する

賃金向上達成指導員配置加算は、利用者様の賃金を引き上げるための目標を設定し、達成に向けた取り組みを進める目的があります。

賃金が上がれば、利用者様の働くモチベーションも上がる可能性が高いからです。

また、事業所側にとっても、賃金の引き上げは利用者様の定着率アップにつながり、質の高い支援を提供できると考えられます。

【役割】専従スタッフとして「賃金向上計画」と「販路拡大」を主導する

就労継続支援A型に配置される「賃金向上達成指導員」は、現場の支援員とは役割が少し異なります。

賃金向上達成指導員の主な役割は、以下の3つです。

  • 賃金向上計画の策定: 現状分析に基づき、どうやって賃金を上げるか計画を立てる
  • 販路拡大・営業: 生産活動収入(利用者様が行った生産活動で得た収入)を増やすための新規開拓や新商品開発
  • 業務改善: 作業効率を上げ、利益率を高める

参照:岡崎市「就労継続支援事業における達成指導員の職務内容について(通知)」p1

実際に、厚生労働省の調査(2018年)でも、こうした取り組みを行う事業所は、行っていない事業所に比べて平均賃金が高いという結果が出ています。

参照:厚生労働省「就労移行支援及び就労継続支援サービスの提供実態に関する調査」p30

賃金向上達成指導員を配置すれば、利用者様の賃金の引き上げという課題に対して、より戦略的に取り組めるでしょう。

賃金向上達成指導員の配置は、あくまで収益向上のための「手段」の一つです。A型事業所が持続可能な経営を行うためには、加算の取得と並行して、生産活動そのものを最適化し、事業所全体の「スコア」を底上げしていく戦略が欠かせません。

2024年度(令和6年度)の報酬改定を踏まえ、どのように生産活動を効率化し、スコアアップを狙うべきかをまとめた無料のガイドブックをぜひご活用ください。

就労継続支援A型事業所 報酬改定対応とスコアアップ&生産活動最適化ガイド

賃金向上達成指導員配置加算の単位数・計算方法

賃金向上達成指導員配置加算の単位数・計算方法

新しく就労継続支援A型を開業される方にとって、加算の単位数や計算方法は複雑に感じられるかもしれません。

この章では、賃金向上達成指導員配置加算の単位数と計算方法をわかりやすく解説します。

【単位数】定員20人以下なら1日70単位!

賃金向上達成指導員配置加算の単位数は、事業所の定員規模によって決まります。

詳しくは以下の表をご参照ください。

定員

1日あたりの単位数

定員20人以下

70単位/日

定員21人以上40人以下

43単位/日

定員41人以上60人以下

26単位/日

定員61人以上80人以下

19単位/日

定員81人以上

15単位/日

参照:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」p32

なお、賃金向上達成指導員配置加算は事業所全体で算定されるため、利用者様の人数が増えるほど加算額も大きくなるでしょう。

参照:岐阜県「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」p23

【ケーススタディ】加算の金額を計算してみよう

具体的なケースを使って、賃金向上達成指導員配置加算の金額を計算してみましょう。

以下の事業所を例に計算を進めていきます。

【就労継続支援A型事業所 のうびー】

  • 地域単価:1単位=10円
  • 定員:20人
  • 平均利用者数:18人
  • 1ヵ月の開所日数:22日
  • 1日あたりの単位数:70単位/日

この事業所の賃金向上達成指導員配置加算の金額は、以下の計算で求められます。

1日あたりの単位数(70単位/日)×1ヵ月の営業日数(22日)×平均利用者数(18人)× 地域単価(10円/単位)=277,200円

このように、1ヵ月あたり約27万円の収益が見込めます。

この収益を利用者様の賃金や賃金向上達成指導員の人件費にあてることで、就労継続支援A型の健全な経営ができるでしょう。

シミュレーションの通り、加算による収益増は経営の大きな助けとなります。しかし、A型事業所の収益の柱は、あくまで「スコア」によって決定される基本報酬です。加算を積み上げても、基本報酬の区分が下がってしまえば、事業所全体の収益は改善しません。

最新の報酬体系を正しく理解し、収益を最大化するための「スコア管理」のポイントを、以下の無料の資料で詳しく解説しています。

就労継続支援A型事業所 報酬改定対応とスコアアップ&生産活動最適化ガイド

なお、A型事業所の経営の根幹となる基本報酬の仕組みについては「就労継続支援A型の報酬改定を解説【2024年度(令和6年度)のスコア方式と事業所への影響】」にて詳しく紹介しています。

労働時間や生産活動収支など、スコア評価の7項目ごとの点数配分や、減点を防ぐための対策を確認し、加算と合わせて収益の最大化を目指しましょう。

【算定要件】指導員の「常勤換算1.0人」と「計画策定」がポイント

賃金向上達成指導員配置加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 賃金向上達成指導員を常勤換算1.0人以上配置すること
  • 「賃金向上計画」または「経営改善計画」を作成すること
  • 利用者様のキャリアアップのための仕組みを作ること

参照:岐阜県「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」p23・24

それぞれのポイントや注意点について、詳しく見ていきましょう。

【人員配置】常勤換算1.0人以上が必須!計算するときの注意点

加算を取得するうえで、とくに重要な要件は「賃金向上達成指導員を常勤換算1.0人以上配置すること」です。

非常勤職員でも問題ありませんが、合計して「常勤1.0人分」の勤務時間が必要です。

常勤換算の計算方法と注意点

常勤換算とは、「もし全員がフルタイム(常勤)で働いていたとしたら、何人分の働きになるか」という人数に換算する方法です。

計算式は以下をご覧ください。

常勤換算数=非常勤職員(パート・アルバイトなど)の1週間の勤務時間 ÷ 常勤職員(フルタイム勤務の職員)の1週間の勤務時間

たとえば、常勤職員が週40時間働く事業所に、週20時間働くパート職員を2人配置した場合、以下のように計算します。

  • 非常勤職員Aさん:20時間÷40時間=0.5人
  • 非常勤職員Bさん:20時間÷40時間=0.5人
  • 0.5人+0.5人=1.0人

この配置であれば、1人の職員に業務負担が集中せず、柔軟な人員配置が可能になります。

より詳細な計算手順や、有給休暇・欠勤時の取り扱いについては「常勤換算の計算方法4STEP|欠勤や育児休暇の扱い・人員配置基準など」にて詳しく紹介しています。

計算対象となる「勤務延べ時間数」の集計ルールや、自治体指定の計算シート活用法などを参照し、配置基準割れのリスクを防ぎましょう。

ほかの職種との兼務は不可

賃金向上達成指導員は、管理者やサービス管理責任者(サビ管)、生活支援員、職業指導員など、ほかの職種との兼務は認められません。

参照:旭川市「就労継続支援A型事業所における賃金向上達成指導員の配置及び加算の算定について(お知らせ)」p1

たとえば、「管理者が空いた時間で賃金向上達成指導員の業務をやる」といった運用は認められないため、必ず専従(※)の職員を確保しましょう。

(※)「専従」と「兼務」の違いについて

  • 専従(専ら従事する)

専従とは「その事業所の、その職種の仕事だけを行うこと」です。 

勤務時間中にほかの事業所の仕事をしたり、同じ事業所内の別の職種の仕事をしたりすることはできません。

  • 具体例:

Aさんは専従の職業指導員で、勤務時間は9:00〜17:00です。

この間、Aさんは利用者様の支援以外の仕事をしてはいけません。

  • 兼務(兼ねて務める)

兼務とは「その事業所の仕事と、ほかの職種やほかの事業所の仕事を掛け持ちすること」です。

  • 具体例:

Bさんは「管理者」と「サビ管」を兼務しています。

Bさんは1人の人間でありながら、書類上は2つの役割を担っています。

参照:厚生労働省「人員配置基準等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)」p4

社労士 涌井好文のコメント:

賃金向上達成指導員配置加算が加算されるためには、賃金向上達成指導員の配置が不可欠です。賃金向上達成指導員には、特別な資格や実務経験は不要ですが、知識や経験を有する方を配置することが、計画達成のためにも理想的でしょう。また、賃金向上達成指導員は、常勤換算で1名以上であることが求められます。必ずしも常勤であることは必要なく、パートのような非常勤であっても、常勤換算で条件を満たすのであれば、問題ありません。ただし、兼務については原則認められないため、注意が必要です。

【計画作成】具体的な数値目標を定めた「賃金向上計画」「経営改善計画」

賃金向上達成指導員配置加算を算定するためには、「賃金向上計画」か「経営改善計画」のいずれかを作成する必要があります。

賃金向上計画は、利用者様の賃金をどのように上げていくか、具体的な取り組みや目標を定めた計画です。

計画には、以下のような取り組みを記載します。

  • 利用者様のスキルアップに向けた取り組み
  • 利用者様一人ひとりの適性に合わせた作業の切り分け

これらをもとに、目標収入額や利用者様の賃金総額を計算しましょう。

経営改善計画とは、事業所全体の経営状況を分析したうえで改善し、利用者様の賃金アップを目指すための計画です。

財務状況を分析し、施設外就労の単価アップや新規受注など、経営視点での改善策を記載します。

どちらの計画も作成して終わりではなく、利用者様や職員へ公表し、毎年見直す必要があります。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金向上達成指導員配置加算には、賃金向上計画または経営改善計画の策定が求められます。これらの計画は、ただ策定すればよいものではなく、利用者や事業所の実情に沿ったものでなければなりません。無謀な販路拡大や、土台無理な商品開発などを掲げても達成することは不可能であり、利用者様のキャリアアップにもつながらないでしょう。何をどこまでできるのかを見極め、適切な計画を策定することが必要です。

適切な計画を立てるためには、その根拠となる生産活動収入(売上)の確保が欠かせません。

しかし、現場業務と並行しての営業活動や販路拡大は、多くの事業所にとって大きな課題です。

そこで、効率的な「新規案件の開拓」と、仕事をこなすための「受入体制の拡大」の戦略をまとめた資料(無料)をご用意しました。実現可能な計画策定と、着実な賃金向上のためのガイドとしてご活用ください。

新規開拓ノウハウ×受入キャパ拡大 就労継続支援A型・B型の収益最大化 完全ガイド

【キャリアアップ】評価制度や資格支援を就業規則に明記する

賃金向上達成指導員配置加算の要件には、「利用者様のキャリアアップのための仕組みを整備すること」が求められます。

以下のような、利用者様が「仕事を頑張れば給料が上がる」と実感できる仕組みを整備しましょう。

  • 昇給・昇格制度:「〇〇の作業ができれば時給〇円アップ」などの明確な基準
  • 資格取得支援:受験料の補助や資格手当の支給

これらの取り組みは、必ず「就業規則(賃金規程)」に明記してください。

利用者様の意見を積極的に取り入れ、事業所の実情に合わせて柔軟に運用することが重要です。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金向上達成指導員配置加算の要件である利用者様のキャリアアップ措置は、就業規則に明記することが必要です。就業規則に明記することで、どのような措置を講じるのかも周知され、運用や利用もしやすくなります。支援者と利用者様を含めて常時10名未満の場合には、就業規則の作成義務はありませんが、作成しておくことが労務管理上望ましいでしょう。また、就業規則は、周知しなければ、その効力が生じないことに注意してください。

こうした就業規則やキャリアアップの仕組みを整えることは、この加算の算定だけでなく、A型事業所の評価指標であるスコア(労働条件など)の獲得にも大きく寄与します。

報酬改定後の新基準に対応し、減算を回避しながら確実に高得点を狙うための実践ガイド(無料)をご用意しました。規定の整備とあわせて、事業所全体の評価を高めるための参考にしてください。

【A型】報酬改定後の減算を回避しスコア高得点を狙うための実践ガイド

【取得手順】必要書類の準備から指定権者への届出まで

【取得手順】必要書類の準備から指定権者への届出まで

賃金向上達成指導員配置加算を取得するには、いくつかの手続きが必要です。

ここからは、加算取得に必要な書類や手続き方法、算定開始までの具体的な流れを分かりやすく解説します。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金向上達成指導員配置加算も他の加算同様に、自動で加算されるわけではありません。加算のためには、所定の届出が必要となりますが、その際には必要書類が正しい形で作成され、全て揃っているか届出前に必ず確認してください。必要書類が足りないために翌月からの加算が間に合わないようなことがあれば、事業所の資金繰りにも影響が出る恐れがあります。また、必要書類は指定権者によって異なることが考えられるため、必ず確認を取ることが必要です。

1.加算取得に必要な書類を準備する

賃金向上達成指導員配置加算の申請にあたり、まずは以下の書類を整える必要があります。

  • 「賃金向上計画書」または「経営改善計画書」
  • 介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出書
  • 介護給付費等の算定に係る体制等状況一覧表
  • 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
  • 組織体制図
  • 就業規則

参照:和歌山市「(別紙)報酬改定及び前年度実績等に基づき決定される報酬区分及び加算」p1
参照:鹿児島市「賃金向上達成指導員配置加算に関する届出書」p1

2.指定権者へ事前届出を行う

必要な書類がすべてそろったら、都道府県や市区町村などの指定権者へ届出を行います。

加算は、算定を開始したい月の前月15日までに届け出るのが一般的です。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1(令和6年3月 29 日)」p2

たとえば、4月1日から算定したい場合は、3月15日までに提出する必要があります。

1日でも遅れると翌々月からの算定になってしまうため、余裕を持って提出しましょう。

3. 算定開始までの流れ

届出が受理されたら、翌月1日から算定開始です。

賃金向上達成指導員の業務内容や、計画の進捗状況を業務日誌や支援記録に残してください。

【実地指導対策】配置基準割れや記録不備による返還リスクを防ぐ

【実地指導対策】配置基準割れや記録不備による返還リスクを防ぐ

「実地指導で指摘を受けたらどうしよう」「もし要件を満たせなくなったらどうすればいいのか」と不安な事業所様も多いでしょう。

この章では、賃金向上達成指導員配置加算を安心して取得できるように、実地指導でよくある指摘事項と、万が一の事態に備えるための対策を解説します。

実地指導でよくある指摘事項と対策

就労継続支援A型事業所にとって、実地指導は避けては通れないでしょう。

賃金向上達成指導員配置加算では、賃金向上達成指導員の人員配置について指摘されるケースが多いです。

【実地指導で指摘されたケースの例】

  • 賃金向上達成指導員を常勤換算で1.0人以上配置されていない
  • 賃金向上達成指導員が送迎を行っている

参照:神戸市「実 地 指 導 に お け る 指 摘 事 例 就労移行支援・就労継続支援A型・B型 編」p9
参照:札幌市「実地指導等における主な指摘事項等について」p32

賃金向上達成指導員は、常勤換算で1.0人以上配置しなければなりません。

しかし、非常勤職員を含めた複数の職員で要件を満たす場合や、施設外就労を行う場合、その計算は複雑になります。

計算に不安がある場合は、定期的に勤務実績表を見直し、人員配置基準を満たしているか確認しましょう。

また、賃金向上達成指導員は、生産活動収入および利用者様の賃金アップに特化した業務を行う必要があります。

利用者様の支援業務を行っている時間は、賃金向上達成指導員の勤務時間にはカウントできないため、人員配置基準を満たさない可能性があります。

利用者様の支援業務は、職業指導員や生活支援員などが行うようにしましょう。

なお、実地指導当日の流れや事前に準備すべき書類のチェックリストについては「実地指導とは?監査との違いや当日の流れ・必要書類・事前対策について解説【障がい福祉サービス】」にて詳しく紹介しています。

人員基準違反や記録の不備など、よくある指摘ポイントを事前に把握し、万全の対策を講じておきましょう。

要件を満たさなくなったら速やかに変更手続きを

もし職員の退職などで基準を下回ってしまった場合は、速やかに指定権者へ連絡し、加算の取り下げ手続きを行ってください。

隠して請求し続けると、実地指導で見つかった際に「不正受給」として重い処分を受ける可能性があります。

実地指導で問われるのは、単なる加算の要件だけではありません。とくにA型事業所では、「生産活動収支の健全性」や「スコア算定の根拠」が適正かどうかが厳格に審査されます。

一歩間違えれば大幅な減算になりかねない新基準をクリアし、安定した運営を続けるために。

報酬改定後の「スコア評価」を最大化し、減算リスクを確実に回避するための実践ガイド(無料)をご用意しました。実地指導対策の決定版として、ぜひお手元に置いてください。

就労継続支援A型事業所 報酬改定対応とスコアアップ&生産活動最適化ガイド

加算取得を効率化する!障がい福祉サービス記録・請求ソフト「knowbe」

賃金向上達成指導員配置加算は、収益効果が高い一方で、「毎月の常勤換算チェック」や「記録の整合性」などの管理コストがかかります。

日々の支援に追われるなかで、これらの事務作業を完璧にこなすのは至難の業です。

そこで活用したいのが、障がい福祉サービス記録・請求ソフト「knowbe(ノウビー)」です。

knowbeは、記録が実績と請求データと連動しているため、利用者様の支援記録を入力するだけで、加算の算定に必要なデータが反映されます。

また、必要な帳票類がシステム内に整理されるため、急な監査や実地指導でも慌てず対応できます。

「パソコンが苦手なスタッフが多い」という事業所様でもご安心ください。

knowbeは直感的な操作画面で、誰でも簡単に使いこなせるよう設計されています。 

事務作業を削減し、生まれた時間を賃金アップのための営業活動や、利用者様の支援に使いませんか?

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賃金向上達成指導員配置加算のよくある質問Q&A

就労継続支援A型事業所の事業者様からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

専門的な内容を分かりやすく解説していますので、賃金向上達成指導員配置加算に関する疑問の解消にお役立てください。

Q1: 賃金向上達成指導員に特定の資格は必要ですか?

賃金向上達成指導員に必須資格はありません。

ただし、賃金向上達成指導員は賃金向上計画の策定や販路拡大、キャリア面談などを行います。

一般企業での人事経験や営業経験、キャリアカウンセリングの知識がある方を配置すると、より成果が出やすいでしょう。

Q2: 賃金向上達成指導員はパートでも大丈夫ですか?

賃金向上達成指導員はパート・アルバイトなどの非常勤職員も配置可能です。

ただし、「常勤換算1.0人以上」が必要です。

週40時間換算の場合、週20時間のパート職員2人(常勤換算0.5人×2人)で1.0人とすることもできます。

社労士 涌井好文のコメント:

完全に専従の賃金向上達成指導員を常勤で雇用している場合であれば、加算の要件である1人以上の配置を満たさなくなる恐れはありません。しかし、多くの事業所ではパートのような非常勤職員が指導員を担当している例が見られます。パートであること自体に問題があるわけではありませんが、このような場合には常勤換算の計算を行わなければならず、計算ミスが起きることが考えられます。兼務の問題もあるため、出来うる限り、専従かつ常勤の指導員を配置することが望ましいでしょう。

とはいえ、実地指導において勤換算の計算ミスや兼務規定の認識違いは、最も指摘されやすく、返還金を求められる原因の一つです。

こうしたうっかりミスを含め、一見順調な事業所でも見落としがちなリスクとその予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。

複雑な人員配置や加算管理によるトラブルを未然に防ぐため、自社点検用のチェックリストとしてご活用ください。

実地指導で指摘される前に知るべき事業所の「6つのリスク」と予防策

Q3: 賃金向上達成指導員は兼務できますか?

賃金向上達成指導員は、ほかの職種との兼務は不可能です。

サービス管理責任者や職業指導員としての業務を行っている時間は、賃金向上達成指導員としての勤務時間にはカウントできません。

参照:旭川市「就労継続支援A型事業所における賃金向上達成指導員の配置及び加算の算定について(お知らせ)」p1

Q4: 賃金向上達成指導員は処遇改善加算の対象になりますか?

賃金向上達成指導員は、処遇改善加算の対象外です。

処遇改善加算は、主に福祉・介護職員(生活支援員・職業指導員など)が対象です。

賃金向上達成指導員は事務・経営寄りの職種とみなされるため、対象になりません。

参照:旭川市「就労継続支援A型事業所における賃金向上達成指導員の配置及び加算の算定について(お知らせ)」p1

福祉・介護職員を対象とした処遇改善加算の具体的な要件や計算方法については「【障害福祉サービス】令和6年度処遇改善加算の要件・申請方法を解説」にて詳しく紹介しています。

令和6年度に一本化された新制度(Ⅰ~Ⅳ区分)の加算率や、職種間の配分ルールについて整理できます。

記事のまとめ

賃金向上達成指導員の配置と計画の実行は、利用者様の人生を豊かにし、事業所の経営基盤を安定させます。

この加算は、事業所と利用者様がともに成長するための経営戦略として、最大限に活用しましょう。

もし、複雑な要件管理や日々の記録に不安を感じるなら、障がい福祉専用ソフト「knowbe(ノウビー)」が力になります。

knowbeなら、煩雑な人員配置基準のチェックや請求業務を効率化し、実地指導への備えも万全にできます。

事務作業の負担を減らし、就労継続支援A型が本当に注力すべき「利用者様の支援」と「経営」に集中できる環境を整えましょう。

社労士 涌井好文のコメント:

賃金向上達成指導員配置加算は、収益の増加による事業所運営の安定化を図れるだけでなく、利用者様のキャリアアップにもつながる加算です。多様な働き方や多様な価値観が当たり前となった昨今であれば、利用者様も多種多様なキャリアを描けるようになっています。利用者様の実情に寄り添った計画を策定し、利用者様各人がその有する能力を最大化できるような支援を行い、キャリアアップにつなげてください。

knowbe


Author
著者
宮島桃香
福祉系大学卒業と同時に社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得。障害者就労・生活支援センターや就労継続支援B型事業所にて、2年半ほど就労支援業務に携わる。2022年12月より、障害者の就労支援やメンタルヘルス系のメディアを中心に記事執筆を行っている。
Supervisor
監修者
涌井好文(わくい よしふみ)
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年に神奈川県で社会保険労務士として開業登録後、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を展開。障害福祉サービス事業所の運営や手続きに関する相談など、福祉分野での支援も行っている。退職や転職に関するトラブル相談にも応じ、労使双方が働きやすい環境作りに尽力。また、近年はWebを活用した情報発信にも注力し、記事執筆や監修を通じて幅広い知識を提供している。
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