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【記入例あり】施設外就労評価表の書き方と8つの必須項目|令和6年度改定の保存義務や要件も解説

コラム
更新日:2026年02月19日
就労継続支援B型報酬改定実地指導・監査対策記録・書類作成基本報酬
目次
令和6年度報酬改定で、施設外就労の評価表の扱いはどう変わった?
毎月の提出義務は廃止、作成・保存義務は継続
評価表がないとどうなる?運営指導での指摘事例と返還リスク
施設外就労評価表のテンプレート・様式について
【記入例あり】施設外就労の評価表に書くべき8つの項目
1.事業所のサービスの種類
2.事業所の利用定員・施設外就労を行う利用者様の人数
3.施設外就労を実施した企業名・所在地・契約期間
4.契約内容(作業日・作業時間・作業内容)
5.利用者様の氏名・受給者番号・当月分提供日数
6.施設外就労実績(実施日・実施時間・当日参加した人数)
7.配置職員・時間
8.その他(目標の達成状況・個別支援計画の見直しなど)
【重要】評価表の内容を個別支援計画書へ反映させるポイント
施設外就労で基本報酬を算定するには?評価表以外に守るべき12の要件
運用に関する要件
人員配置に関する要件
利用者様の支援に関する要件
よくある質問(Q&A)
Q1. 施設外就労加算は廃止されましたか?
Q2. 過去の評価表を作成し忘れていた場合はどうすればよいですか?
Q3. 施設外支援(企業実習)の実習日報との違いは?
Q4. 同一法人内で施設外就労はできますか?
記事のまとめ:施設外就労の評価表は忘れずに作成・保管しよう

※この記事は2025年12月時点の情報で作成しています

令和6年度の報酬改定を受け、「施設外就労評価表の提出ルールが変わったけれど、現場ではどう対応すべき?」「実地指導で指摘されない書き方が知りたい」と不安を感じていませんか?

開業間もない経営者様やサビ管の方にとって、複雑な制度変更や書類作成は大きなプレッシャーでしょう。とくに「提出不要=作成不要」と誤解してしまうと、最悪の場合、報酬返還のリスクを招きかねません。

この記事では、社労士の涌井好文監修のもと、元就労継続支援B型の職員である宮島桃香が、最新のルールに基づいた施設外就労評価表の正しい書き方を今すぐ使える記入例とともに解説します。

さらに、基本報酬を確実に算定するための8つの必須項目や、監査対策として欠かせない保存義務についてもお伝えします。

書類作成の迷いをなくし、自信を持って適正な運営を行うために、ぜひ最後までご覧ください。

令和6年度報酬改定で、施設外就労の評価表の扱いはどう変わった?

令和6年度報酬改定で、施設外就労の評価表の扱いはどう変わった?

令和6年度の報酬改定では、障がい福祉サービスの現場における事務負担の軽減が大きなテーマとなりました。その一環として、施設外就労に関する書類の取り扱いにも重要な変更が加えられています。

結論から申し上げますと、施設外就労の評価表の「提出義務」はなくなりましたが、「作成と保存」は引き続き必須です。

この変更を「作らなくてよくなった」と誤解してしまうと、運営指導(旧実地指導)で大きなリスクを負うことになりかねません。

この章では、最新の厚生労働省の通知やガイドラインに基づき、評価表の正しい取り扱いと、運営指導で指摘されないための実務ポイントを解説します。

社労士 涌井好文のコメント:

事業所の利用者様は、施設内だけでなく施設外で就労する場合もあります。そして、利用者様が施設外就労を行った場合には、その実績に関する報告書(評価表)を作成しなければなりません。この報告書には、就労先の企業名や契約期間などを記載することが必要ですが、令和6年度診療報酬改定によって、それまで求められてきた自治体への提出が不要となりました。変わった点と変わらない点をしっかりと把握しておきましょう。

毎月の提出義務は廃止、作成・保存義務は継続

令和6年度の報酬改定にともない、施設外就労の評価表を毎月自治体(市区町村)へ提出する義務は廃止されました。しかし、ここで強調しておきたいのは、あくまで「提出」が不要になっただけであり、「作成・保存」の義務は継続しているという点です。

厚生労働省の通知においても、「事業所には施設外就労の実績記録書類を作成・保存し、自治体が必要と認める場合には確認できるようにすること」と明記されています。

つまり、事業所内には必ず記録を残し、いつでも提示できる状態にしておかなければなりません。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

紙媒体での保管がかさばるようであれば、現場の業務効率化も兼ねて「knowbe(ノウビー)」のようなクラウド型業務支援ソフトを活用し、電子データとして保存・管理することをおすすめします。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度診療報酬改定によって、評価表の自治体への提出は不要となりました。しかし、あくまで提出が不要となっただけで、評価表の作成自体は改定前と同様に必要です。この点を理解せずに、作成自体が不要になったと勘違いしてしまうと、指導の対象となってしまう恐れもあります。施設外就労を行う場合には、これまでと同様に必ず評価表を作成しましょう。

評価表がないとどうなる?運営指導での指摘事例と返還リスク

「日々の支援に追われて作成を後回しにしていた」「現場のメモ書きだけで済ませていた」といったケースは、運営指導においてリスクをともないます。

もし評価表が存在しない、あるいは内容が不十分である場合、「支援の事実が確認できない」とみなされ、過去にさかのぼって報酬の返還を求められるかもしれません。

実際に、長野県松本市では、施設外就労の実績記録表を作成していなかった事業所に対し、行政指導が入った事例が報告されています。

参照:松本市「実地(運営)指導における主な指摘事項のまとめ(令和6年度)」p1

評価表は単なる事務的な記録ではなく、利用者様に適切な支援が行われたことを証明する「証拠」です。

事業所の社会的信頼と経営基盤を守るためにも、毎月確実に作成し、適切に保管する体制を整えましょう。

自治体への提出が不要になった今、最も怖いのは数年後の実地指導で初めてミスが発覚する答え合わせの瞬間です。

誰もチェックしてくれない状況下で、気づかないうちに違反を積み重ねてしまわないために。 一見順調な事業所でも見落としがちな「6つのリスク」と、その予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。

自社の運営体制を点検するガイドとしてご活用ください。

実地指導で指摘される前に知るべき事業所の「6つのリスク」と予防策

運営指導(実地指導)当日の流れや、施設外就労の契約書以外に準備すべき書類のチェックリストについては「実地指導とは?監査との違いや当日の流れ・必要書類・事前対策について解説【障がい福祉サービス】」にて詳しく紹介しています。

運営規程の更新漏れや請求内容の不整合など、よくある指摘事項を事前に確認し、対策を講じましょう。

施設外就労評価表のテンプレート・様式について

いざ評価表を作成する際、「どのフォーマットを使えばいいのか」と迷われるかもしれません。施設外就労の評価表は、自治体ごとにテンプレートや様式名が異なる場合があります。

まずは、事業所が所在する自治体の障がい福祉課のホームページを確認するか、担当窓口へ問い合わせてみましょう。もし指定様式がない場合は、任意の様式で作成しても問題ありません。

任意の様式を使用する場合は、このあと解説する「必須項目」を漏れなく記載するようにしてください。

社労士 涌井好文のコメント:

施設外就労評価表は、自治体ごとに名称が異なっており、実施報告書や実績報告書などとなっている場合も多いです。しかし、どのような名称であっても、施設外就労を行った際の記録を残すという点においては異ならず、内容も大きな差はありません。当記事では、一般的に記載を求められる事項について解説していますが、実際に作成する際には自治体が配布しているテンプレート等を確認することが必要です。

【記入例あり】施設外就労の評価表に書くべき8つの項目

【記入例あり】施設外就労の評価表に書くべき8つの項目

施設外就労の評価表(報告書)は、毎月の請求業務を行ううえで、報酬算定の根拠となる重要な書類です。

自治体によって「実績報告書」「実施状況報告書」など名称は異なりますが、記載すべき項目はおおむね共通しています。

ここでは、一般的に記載が求められる8つの必須項目について、具体的な記入例や実務上の注意点を交えて解説します。

1.事業所のサービスの種類

まず、自事業所が提供している障がい福祉サービスの種類を明記します。「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」など、どのサービス枠組みで施設外就労を実施し、報酬を算定するのかを記載してください。

2.事業所の利用定員・施設外就労を行う利用者様の人数

次に、事業所の利用定員数と、その日に施設外就労へ参加した利用者様の人数を記載します。

【記入例】

  • 利用定員:20人
  • 施設外就労を行う利用者様の人数:4人

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

これは単なる人数の記録ではなく、以下の要件を客観的に証明するために不可欠です。

  • 施設外就労に参加する利用者様の人数が、事業所の利用定員を超えていないか
  • 施設外就労の参加人数に応じた適切な職員配置ができているか

日々の人数管理は、基本報酬の算定要件に直結するため、正確な記入が求められます。

3.施設外就労を実施した企業名・所在地・契約期間

受入企業と交わした「業務請負契約書」の内容と一致するように、委託業務の実施場所や期間を記入しましょう。

【記入例】

  • 企業名:株式会社〇〇物流 埼玉支店
  • 所在地:埼玉県〇〇市〇〇町1-2-3
  • 契約期間:令和8年4月1日 ~ 令和9年3月31日

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

施設外就労は、企業から請け負った作業を「企業の現場」で行うものです。

そのため、「どこで」「いつからいつまで」実施したかという情報は欠かせません。運営指導では、評価表の記載と契約書の内容に食い違いがないかがチェックされます。

社労士 涌井好文のコメント:

評価表には、利用者様がいつどこでどのような作業を行ったのかなどを記録しなければなりません。これらの事項については、契約書の記載と食い違いが生じていないか、しっかりと確認しておきましょう。契約書の更新漏れなどによって、実際の内容と食い違いが生じていることも考えられるためです。複数回請け負った作業の場合、前回のまま更新していないケースが見られます。また、契約自体は口頭でも成立しますが、後のトラブルを避けるためにはしっかりと書面にて作成しておくことが必要です。

こうした契約書類の不備は、運営指導においてトラブルや返還金の原因となりやすいポイントです。しかし、事業所の経営を脅かすリスクは契約書だけではありません。

一見順調な事業所でも見落としがちな「6つのリスク」と、その予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。

施設外就労の契約管理とあわせて、運営体制に死角がないか点検するためのチェックリストとしてご活用ください。

実地指導で指摘される前に知るべき事業所の「6つのリスク」と予防策

4.契約内容(作業日・作業時間・作業内容)

契約書に基づき、具体的にどのような作業を行ったのかを記録します。

【記入例】

  • 作業日:月曜日~金曜日(祝日は休み)
  • 作業時間:10:00〜15:00(休憩12:00~13:00)実働4時間
  • 作業内容:成形された自動車部品のニッパーを用いたバリ取り、および目視による検品作業。良品を緩衝材とともに専用コンテナへ箱詰めし、出荷用パレットへ積載する。

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

このように、実際に現場で行っている動きが第三者に伝わるよう具体的に記載しましょう。事前の取り決めどおりに作業が進んでいるかを確認する根拠となります。

5.利用者様の氏名・受給者番号・当月分提供日数

その月に施設外就労に参加した利用者様全員の氏名、受給者証番号、そして実際に参加した日数を記載します。

事業所が所在する市町村以外にお住まいの利用者様がいる場合は、備考欄に居住地を明記しましょう。

【記入例】

利用者様の氏名

受給者証番号

当月分提供日数

備考

A

佐藤 健一

1234567890

21

B

鈴木 花子

0987654321

20

○○市

C

高橋 誠

1122334455

18

△△町

D

渡辺 優

5544332211

22

E

伊藤 直人

9988776655

15

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

「当月分提供日数」は、国保連に請求する報酬明細書の日数と完全に一致している必要があります。

「評価表には15日と書いたのに、請求データは14日分になっている」といったズレは、運営指導で指摘される可能性があります。必ず実績記録票と照合してください。

請求データの不備により差し戻される返戻(へんれい)については「返戻とは?事業所への影響・通知対応の流れ・エラーコード例や対処法など」にて詳しく紹介しています。

受給者証情報の不一致や実績の不整合など、よくあるエラーコード別の対処法や再請求のスケジュールをご確認ください。

6.施設外就労実績(実施日・実施時間・当日参加した人数)

施設外就労の日々の実績を記録します。多くの様式ではカレンダー形式が採用されています。

利用者様ごとに「施設外就労を行った日」「欠席した日」「事業所内で作業した日」を記号で区別して記録しましょう。

【記号の例】

  • 施設外就労を実施した日:「○」
  • 欠席等で利用がなかった日:「×」
  • 事業所内部で支援を行った日:「◎」

【記入例:4月の実績】

R8年 4月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

30

曜日

A

20

B

×

19

C

×

19

D

20

E

×

19

利用者様の

人数

5

4

0

0

4

5

5

5

4

0

0

4

5

5

5

5

97

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

手書きのメモからパソコンへ転記する際などにミスが起きやすいため、複数スタッフによるダブルチェックをおすすめします。

7.配置職員・時間

施設外就労に参加する利用者様に同行し、指導を行った職員の氏名と勤務時間を記録します。

【記入例】

R8年 4月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

30

曜日

配置職員・時間

鈴木 太郎

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

65.0

田中 美咲

2.0

2.0

2.0

2.0

2.0

36.0

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

基本報酬を算定するには、利用者様の人数に応じた人員配置基準(例:利用者様6人に対して職員1人など)を満たす必要があります。

「誰が」「何時間現場にいたか」を正確に記録することで、基準を満たしていることを客観的に証明できます。

また、休憩回しなどで職員が途中で交代した場合は、その旨も分かるように記載しておくと、より信頼性の高い記録となります。

8.その他(目標の達成状況・個別支援計画の見直しなど)

「その他」の欄は、上記以外の特記事項や、個別支援計画に関連する進捗状況を記載するために活用します。

【記入例】

  • 4月12日:施設外就労の実施状況および目標達成状況の確認を行った。
  • 4月28日:個別支援計画の見直し(モニタリング)を行った。

参照:山口県「施設外就労を始めるにあたって~高工賃支給に向けて~」p24

「いつ」「何を行ったか」が分かるように、日付とともに具体的な内容を簡潔に記載しましょう。

【重要】評価表の内容を個別支援計画書へ反映させるポイント

施設外就労は、単なる作業の場ではありません。

実施にあたっては、あらかじめ個別支援計画のなかに「なぜ施設外就労が必要なのか」という目的を明記しておく必要があります。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

たとえば、筆者が以前勤務していた事業所では、「いつかは一般企業で働きたいが、体力に自信がない」という利用者様がいらっしゃいました。

その方に対しては、「週に3回、施設外就労での清掃作業に参加し、基礎体力をつける」といった具体的な指標を計画に盛り込みました。

施設外就労を通して目標を達成したり、新たな課題が見つかったりした場合は、次回のモニタリングや個別支援計画に必ず反映させましょう。

「体力がついてきたので、次は作業スピードを上げる」など、ステップアップの根拠として評価表を活用することが、質の高い支援につながります。

質の高い支援で利用者の作業能力が向上したら、次はそれに見合う「新しい仕事の獲得」と「受入体制の拡大」が必要です。

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施設外就労で基本報酬を算定するには?評価表以外に守るべき12の要件

施設外就労で基本報酬を算定するには?評価表以外に守るべき12の要件

評価表を作成しただけでは、基本報酬の算定要件を満たしたことにはなりません。令和6年度の報酬改定を経ても、施設外就労には細かな運用ルールが存在します。

とくに開設して間もない事業所様は、日々の支援に追われ、運営上のルールを見落としてしまいがちです。ここでは、施設外就労を実施するために守らなければならない要件を3つのカテゴリーに分けて解説します。

運用に関する要件

施設外就労を適正に運用するためには、利用者様を企業へ連れて行くだけでは不十分です。

事業所として、ルールに基づいた契約や規程、緊急時の体制をあらかじめ整備しておく必要があります。

1. 施設外就労の実施が運営規程に定められていること

施設外就労を実施する場合、運営規程に「施設外就労を実施する」と明記することが義務付けられています。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

これから施設外就労をはじめる事業所様は、運営規程に施設外就労の実施について明記し、運営規定の変更届を自治体へ提出しましょう。

参照:前橋市「運営指導を通じての留意点について就労支援事業所」p8

施設外就労は、「とりあえずやってみよう」ではじめるのではなく、まずは書類上の位置づけを明確にしてください。

2. 施設外労働先の企業と業務請負契約を結んでいること

施設外就労は、事業所が企業から仕事を請け負う「業務請負(請負契約)」の形態をとります。

参照:盛岡市「施設外就労業務請負契約書」p2

施設外就労を開始する際は、受入先の企業と「業務請負契約」を締結しましょう。

契約書には以下の内容を盛り込むことが望ましいとされています。

  • 契約の目的と義務
  • 報酬の算定方法と支払期日
  • 設備・機械・材料などの貸借条件
  • 作業中の事故や損害賠償に関する取り決め

参照:盛岡市「施設外就労業務請負契約書」p1-2

社労士 涌井好文のコメント:

施設外就労は、雇用ではなく請負の形式を取ります。雇用はイメージしやすいですが、一般的に請負はややイメージしにくいのではないでしょうか。簡単に言えば、雇用は労働力を提供することを約束し、請負は仕事を完成させることを約束する契約となります。請負では労働の提供ではなく、仕事の完成(成果物)に対して報酬が支払われます。雇用と請負は根本的に性質の異なる契約であるため、混同しないように注意しましょう。

3. 緊急時の対応ができる体制を整えていること

事業所外での作業は、事業所内よりもリスク管理が難しくなります。

  • 緊急連絡網の作成: 引率職員、管理者、受入企業、ご家族、医療機関との連絡ルートを可視化する。
  • 対応マニュアルの携帯: 引率職員が緊急時のフローや最寄り病院の連絡先を即座に確認できるようにする。

これらを準備し、職員間で共有しておくことが、利用者様の安全と事業所の信頼を守ります。

4. 地域の関連機関と連携して取り組むこと

施設外就労は、最終的に一般就労への移行を目指すステップです。

ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関と連携し、就労に向けた包括的な支援体制を構築しましょう。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p34

各機関の主な機能・業務については、以下をご覧ください。

  • ハローワーク: 求職登録や職業紹介、雇用率未達成企業への指導など。
  • 地域障害者職業センター: 専門的な職業評価や、ジョブコーチ支援など。
  • 障害者就業・生活支援センター: 仕事と生活の両面からの相談・定着支援。

人員配置に関する要件

施設外就労において、多くの経営者様が頭を悩ませるのが「人員配置」です。

運営指導でも重点的にチェックされるポイントですので、確実に押さえておきましょう。

5. 施設外就労に行く人数が利用定員を超えていないこと

施設外就労を行う利用者様の1日あたりの人数は、「事業所の利用定員を超えてはならない」と定められています。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p32

つまり、定員20人の事業所であれば、施設外就労に行けるのも最大20人までとなります。

もし利用定員を超えて施設外就労を実施してしまった場合、その日に施設外就労を行ったすべての利用者様の基本報酬が請求できなくなる可能性があります。

参照:仙台市「施設外就労の留意事項」p4

「事業所の外で作業するのだから、定員の枠は関係ないのでは?」と誤解されがちですが、あくまで事業所が提供できるサービスの範囲内で行う必要があります。

6. 人員配置基準(常勤換算)に合った職員を配置すること

施設外就労先と本体事業所、それぞれの場所で、以下の人員配置基準を満たす必要があります。

  • 施設外就労先: 参加人数に応じた職員数を配置(例:人員配置「6:1」の場合、利用者様6人に対して、1人以上の職員を配置する)。
  • 本体事業所: 施設外へ行った利用者様を除いた残りの人数で、基準を満たす職員数を配置する。

人員配置基準を満たすには、常勤換算という計算をする必要があります。

常勤換算とは、非常勤職員(パートやアルバイトなど)の勤務時間を合計して常勤職員(フルタイムの職員)の勤務時間で割り、常勤職員何人分の働きになるかを計算する方法です。

就労継続支援B型を例に、具体的な計算シミュレーションをしてみましょう。

【前提条件:モデルケース】

  • 事業種別: 就労継続支援B型
  • 人員配置基準:7.5:1(利用者様7.5人に対し、職員1人)
  • 常勤職員の勤務時間:週40時間
  • 前年度の利用者様の人数の平均:30人
  • 施設外就労に参加する利用者様の人数:4人

人員配置基準を満たすために必要な職員数は、以下のとおりです。

必要職員数:30人÷7.5人=4.0人

つまり、事業所全体で4.0人以上の常勤換算数が必要です。

この事業所では、以下のシフトで職員を配置しているとします。

職員

勤務形態

担当場所

週勤務時間

月勤務時間

常勤換算数

備考

職員A

常勤

施設外

40時間

160時間

1.0人

利用者様4人を引率

職員B

常勤

本体

40時間

160時間

1.0人

職員C

常勤

本体

40時間

160時間

1.0人

職員D

非常勤

本体

30時間

120時間

0.75人

120÷160

職員E

非常勤

本体

20時間

80時間

0.5人

80÷160

より詳しい計算手順や、有給休暇・出張時の取り扱いについては「常勤換算の計算方法4STEP|欠勤や育児休暇の扱い・人員配置基準など」にて詳しく紹介しています。

非常勤職員の労働時間を集計する際の注意点や、自治体指定の計算シート活用法などを参照し、配置基準割れのリスクを防ぎましょう。

計算ステップ

  1. 施設外担当の確認
    職員Aは施設外就労先にいますが、事業所の職員としてカウントします。
    • 常勤換算数:1.0人
  2. 本体担当の確認
    職員B、C、D、Eの換算値を合計します。
    • 1.0人 + 1.0人 + 0.75人 + 0.5人 =3.25人
  3. 総合計(事業所全体)の判定
    • 常勤換算数の合計:1.0人+3.25人=4.25人

結果判定

  • 必要数:4.0人
  • 確保数:4.25人

確保数が4.0人を超えるため、人員基準を満たしています。

本体側に残る職員の人数が人員配置基準を下回ってしまうと、人員欠如減算が適用され、すべての利用者様が減算の対象となる可能性があります。

参照:愛知県「加算・減算に係る留意事項について」p3

参照:福岡県「令和7年度集団指導資料」p43

有給休暇や急な欠勤が発生しても人員基準を下回らないよう、余裕のある勤務体制を整えることが重要です。

常勤換算の計算は、施設外就労と本体事業所の両方のバランスを見極める必要があり、非常に複雑です。

事務作業の時間を削りながら、こうした計算ミスによる「意図しない人員基準違反」をどう防ぐべきか。現場の業務を削減するための具体的な改善ステップは、こちらの資料(無料)で詳しく解説しています。

実地指導で指摘される前に知るべき事業所の「6つのリスク」と予防策

7. 管理者・サビ管は事業所で待機すること

原則として、管理者とサビ管は事業所に常駐している必要があります。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p32

管理者やサビ管の役割は、事業所全体の管理や個別支援計画の作成、モニタリングなどの業務を遂行することです。

人手が足りないからといって、管理者やサビ管が施設外就労の引率スタッフとして現場に出てしまうと、本体側の運営体制が不十分とみなされ、指導の対象となる可能性があります。

8. 施設外就労参加者と同数の利用者を、事業所で受入可能であること

施設外就労を実施する場合、施設外就労に出ている利用者様と同じ人数の利用者様を、事業所で受け入れられる体制を整える必要があります。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

たとえば、施設外就労に10人参加している場合、本体事業所でも10人分のスペースや設備が確保されている必要があります。

利用者様の支援に関する要件

施設外就労は、あくまで障がい福祉サービスの一環です。ただの作業請負とみなされないよう、障がい福祉サービス事業所として、どのような支援体制を組むべきか、一つずつ確認していきましょう。

9. 個別支援計画の内容に施設外就労が含まれていること

施設外就労は、利用者様の意向や適性をアセスメントしたうえで、本人の希望・状況を踏まえ個別支援計画に位置付けて実施します。以下の手順を踏むようにしましょう。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

  1. アセスメント: 本人の希望や課題を把握する。
  2. 計画作成: 個別支援計画書の「サービス内容」や「支援方針」の欄に、施設外就労を実施する旨とその目的を明記する。
  3. 同意・交付: 利用者様(または代理人)に説明し、同意を得て計画書を交付する。

参照:佐賀県「令和7年度佐賀県指定障害福祉サービス事業者等集団指導」p16

10. スキルアップや賃金向上、一般就労への移行が見込まれること

施設外就労の目的は、「一般就労への移行」や「工賃・賃金の向上」です。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p32

そのため、個別支援計画上の目標や支援内容と、施設外就労で行う作業内容の関係を記録で説明できるようにしておくことが重要です。

また、定期的にモニタリングを行い、「この作業を通じて何ができるようになったか」を記録に残しておくと、要件を満たしていることの証明になります。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

要件を満たすことは大前提ですが、施設外就労の本来の目的である「賃金向上」や「経営の安定」を実現するには、さらに踏み込んだ経営戦略が必要です。

多くのA型・B型事業所が実践して成果を出している「早期黒字化の鉄則」をまとめた資料(無料)をご用意しました。施設外就労の活用とあわせて、強い経営基盤を作るためのロードマップとしてご確認ください。

【継続支援A型・B型】早期黒字化のために今すぐやるべきこと6選

11. 事業所の職員が利用者様への指導などを行うこと

施設外就労先であっても、利用者様への技術指導や生活指導は、事業所の職員が行わなければなりません。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p33

企業が利用者様へ直接指揮命令を行う実態があると、契約が請負でも「偽装請負」と判断され、法令上の問題に発展するおそれがあります。

参照:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」p4

企業の方には、仕事の依頼や品質のチェックをお願いし、利用者様への具体的な作業指示や、体調面・精神面のサポートは、必ず事業所の職員が行いましょう。

12. 利用者様と事業所の関係は、事業所内での作業と同じであること

利用者様は企業の従業員ではなく、あくまで福祉サービスを利用している方です。勤怠管理や契約関係は、すべて事業所とのあいだで行われます。

利用者様を守り、適切な福祉サービスを提供するためにも、事業所が責任を持って主体的に運営に関わることが求められます。

社労士 涌井好文のコメント:

施設外就労を行う場合であっても、事業所と利用者様の関係は変わりません。あくまで就労先企業と請負契約を締結しているだけあり、事業所との契約を打ち切って雇用されたわけではないからです。この点を理解せず、管理や記録を就労先企業に委ねてしまっては、適切なサービスの提供ができないだけでなく、偽装請負となる危険性も生じます。就労先企業が利用者様に直接指揮命令を行っていないかなど、事業所としての確認を怠ってはなりません。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)

施設外就労をはじめると、制度の細かいルールや書類作成の場面で迷う瞬間が訪れます。現場の経営者様やサービス管理責任者の方から実際によくいただく質問をまとめました。

Q1. 施設外就労加算は廃止されましたか?

令和3年度の報酬改定で「施設外就労加算」自体は廃止されました。

参照:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p41

現在はより高い基本報酬や、地域協働加算・就労定着支援体制加算の要件として組み込まれています。高い収益を維持するための手段として、その重要性は変わっていません。

参照:厚生労働省「就労系障害福祉サービスに係る横断的事項について≪論点等≫」p8

Q2. 過去の評価表を作成し忘れていた場合はどうすればよいですか?

作成し忘れていた期間の評価表を事実と異なる日付で作成したり、記憶を頼りに適当に作成したりすることは避けましょう。

これらは「文書偽造」にあたり、運営指導で発覚した場合、虚偽記録・改ざんとして不正請求に該当する可能性があります。

参照:青森県「障害福祉サービス等の提供における不適正事例について」p6

まずは事業所内で正確な状況を確認し、指定権者である自治体に相談しましょう。

一般的には、記録が欠落している期間分の報酬を自主的に返還する「過誤調整」の手続きが必要です。

参照:豊橋市「運営指導における自主返還が生じた場合の流れ」p1

参照:京都府国民健康保険団体連合会「障害福祉サービスの過誤処理方法」p1

今後は、毎月の請求フローに「評価表の確認」を組み込み、同じミスが起きない体制を作りましょう。

Q3. 施設外支援(企業実習)の実習日報との違いは?

「施設外就労」と「施設外支援」は名前が似ていますが、目的と必要な記録は異なります。混同しないように整理しておきましょう。

施設外就労は、事業所が企業と請負契約を結び、職員の指導のもとで作業を行います。ここで必要になるのが、今回解説している「評価表」です。評価表には、利用者様の就労能力や目標達成度を記載します。

施設外支援は、利用者様が一般就労への移行に向けた企業実習などに参加し、実際の職場環境を体験します。

このとき作成する書類が「実習日報(施設外支援日報)」です。実習日報には、その日の作業内容や本人の様子などを記録します。

参照:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」p31

Q4. 同一法人内で施設外就労はできますか?

原則として、同一法人内の別事業所や関連部署での作業は、施設外就労として認められません。

同一法人内での請負契約は成立しないため、施設外就労の要件を満たさないためです。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8」p2

参照:岐阜市「事業所等運営に関する基本的な事項について」p13

施設外就労の管理はもちろん重要ですが、実地指導で指摘され、返還金を求められるリスクは事業所の至る所に潜んでいます。

「自分たちは大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに運営基準違反とならないために。

一見順調な事業所でも見落としがちな「6つのリスク」とその予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。自社の運営体制を総点検するガイドとしてご確認ください。

実地指導で指摘される前に知るべき事業所の「6つのリスク」と予防策

記事のまとめ:施設外就労の評価表は忘れずに作成・保管しよう

記事のまとめ:施設外就労の評価表は忘れずに作成・保管しよう

今回は、令和6年度改定に対応した「施設外就労評価表」の書き方と、適正運用のための必須要件について解説しました。

記事のポイントは以下のとおりです。

  • 評価表の自治体への毎月の提出は不要だが、作成と保存は義務である。
  • 評価内容は個別支援計画と連動させ、実態に即した記録を残す必要がある。
  • 要件不備は実地指導(運営指導)での報酬返還リスクにつながる。

評価表の運用は、単なる事務作業ではありません。利用者様のスキルアップを可視化し、一般就労への移行や工賃アップにつなげるための重要なステップです。

記録管理を徹底して、監査への不安を払拭し、より質の高い支援に注力できる体制を整えましょう。

「日々の記録業務が追いつかない」「自社の書式が要件を満たしているか不安」という方は、ぜひ一度knowbeの資料をご覧ください

運営指導にも対応した記録管理を、もっと簡単・確実に実現する方法が見つかるはずです。

社労士 涌井好文のコメント:

施設外就労は、利用者様が一般就労に近い形で働くことで、能力や意欲の向上につなげ、賃金向上

やキャリアアップを図る制度です。施設外就労を行うことで、利用者様も自分が活躍できる場を見つけることができるでしょう。施設外就労は、最終的に利用者様を一般就労に移行させることが目的となりますが、そのためには日々の記録が欠かせません。施設外就労を行う際には、評価表を適切に作成・保管し、次のステップへつなげましょう。

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Author
著者
宮島桃香
福祉系大学卒業と同時に社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得。障害者就労・生活支援センターや就労継続支援B型事業所にて、2年半ほど就労支援業務に携わる。2022年12月より、障害者の就労支援やメンタルヘルス系のメディアを中心に記事執筆を行っている。
Supervisor
監修者
涌井好文(わくい よしふみ)
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年に神奈川県で社会保険労務士として開業登録後、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を展開。障害福祉サービス事業所の運営や手続きに関する相談など、福祉分野での支援も行っている。退職や転職に関するトラブル相談にも応じ、労使双方が働きやすい環境作りに尽力。また、近年はWebを活用した情報発信にも注力し、記事執筆や監修を通じて幅広い知識を提供している。
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