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就労継続支援A型の報酬改定を解説【2024年度(令和6年度)のスコア方式と事業所への影響】

コラム
更新日:2026年02月19日
報酬改定就労継続支援A型制度解説・法令理解減算の回避・対策基本報酬
目次
就労継続支援A型の報酬改定、経営への影響は?
【2024年報酬改定】基本報酬の単位数
【シミュレーション】スコア別・改定後の事業収入の変化と対策
【基本報酬】新スコア方式の7項目と点数アップの対策
Ⅰ.労働時間:平均労働時間の延長がスコアアップの近道
Ⅱ.生産活動:3期連続赤字は大幅減点!収支改善と減点防止のポイント
Ⅲ.多様な働き方:在宅・フレックスも評価対象!多様な働き方の導入メリット
Ⅳ.支援力向上【新設】:研修・外部連携で「組織力」を高める
Ⅴ.地域連携活動:商品開発や施設外就労で地域とつながる
Ⅵ.経営改善計画【新設】:未提出は50点減点!対象となる条件
Ⅶ.利用者の知識及び能力向上【新規】:利用者様の一般就労への移行支援を評価
【加算】サービスの質と収益を上げる!新設・拡充された注目加算
福祉・介護職員処遇改善加算の見直し:一本化で事務負担減&加算率アップ
集中的支援加算の新設
高次脳機能障害者支援体制加算の新設
緊急時受入加算の新設
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充
送迎加算の拡充
食事提供体制加算の経過措置の延長
【減算】知らないと損をする!新設・見直しがあった減算と回避策
業務継続計画(BCP)未策定減算:早急なBCP策定が必須
情報公表未報告減算の新設
虐待防止措置未実施減算の新設
身体拘束廃止未実施減算の見直し
【重要】就労継続支援A型の運営・人員配置に関する変更ルール
就労選択支援の利用の原則化
休職中の就労系サービス利用について
個別支援会議の本人参加の原則化
相談支援事業所への個別支援計画の共有の義務化
同性介助に関する通知
管理者の責務・兼務範囲
職員のテレワークの取り扱い
報酬改定後の手続き方法
届出書類の準備・提出
実地指導・監査への対応
knowbeなら最新の報酬改定ルールに沿って請求できる
記事のまとめ

※この記事は2025年12月時点の情報で作成しています

2024年度(令和6年度)の報酬改定は、就労継続支援A型の経営に大きな影響を与える可能性があります。

とくに「スコア方式」の大幅な見直しにより、「うちの事業所は減収になるのでは?」「新しい加算や減算が複雑で把握しきれない…」と不安を感じている経営者様も多いのではないでしょうか?

しかし、制度を正しく理解し、適切な対策を講じれば、基本報酬を上げ、より安定した事業所運営を実現することも十分に可能です。

この記事では、社会保険労務士・涌井好文の監修のもと、元就労継続支援B型の職員である宮島桃香が、複雑な改定内容を「経営への影響」と「今やるべき対策」に絞ってわかりやすく解説します。

基本報酬や加算、減算の変更点から、新たなスコア方式、手続き方法などを、最新のデータを交えながら、皆様の疑問にお答えします。

まずは、自社の収益に直結する変更点から確認していきましょう。

就労継続支援A型の報酬改定、経営への影響は?

就労継続支援A型の報酬改定、経営への影響は?

就労継続支援A型における報酬改定では、就労継続支援A型のスコア方式の評価項目が大幅に見直されました。

改定後のスコア方式では、利用者様への質の高い支援や地域連携活動、経営改善への取り組みがこれまで以上に高く評価されるでしょう。

この章では、就労継続支援A型の基本報酬における評価項目や単位数を、シミュレーションを交えながら詳しく解説します。

社労士 涌井好文のコメント:

障害福祉サービスの診療報酬は固定ではなく、一定期間ごとに見直しが行われます。これは、費用の適正化やサービスの質向上のために欠かせない手続きであり、2024年度(令和6年度)にも診療報酬の改定が行われました。障害福祉サービスにおいては、特に基本報酬におけるスコア方式の見直しが大きな影響を与えるものとなっています。令和6年度改定のポイントを押さえ、安定した事業所運営につなげましょう。

【2024年報酬改定】基本報酬の単位数

2024年度以降の就労継続支援A型の基本報酬は、人員配置基準(※)とスコアに応じて、「就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)」または「就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)」を算定します。

具体的な単位数について、以下より詳しく見てみましょう。

(※)人員配置基準とは?

人員配置基準とは、事業所でサービスを適切に提供するために最低限必要とされる職員の数や資格に関するルールのことです。

就労継続支援A型の場合、利用者様10人に対して、職員1人以上の配置が求められます。

なお、ここでいう「職員の数」とは、職業指導員と生活指導員を足した数です。

参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」p3

就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)

就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)は、人員配置基準が7.5:1(利用者様7.5人に対して職員1人を配置)の事業所が算定できます。

具体的な単位数は、以下のとおりです。

■就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)※定員20人の場合

評価点(合計スコア)

単位数

(一) 評価点が170点以上の場合

791単位

(二) 評価点が150点以上170点未満の場合

733単位

(三) 評価点が130点以上150点未満の場合

701単位

(四) 評価点が105点以上130点未満の場合

666単位

(五) 評価点が80点以上105点未満の場合

533単位

(六) 評価点が60点以上80点未満の場合

419単位

(七) 評価点が60点未満の場合

325単位

参照:厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部こども家庭庁 支援局 障害児支援課「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」p31

就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)

就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)は、人員配置基準が10:1(利用者様10人に対して職員1人を配置)の事業所が算定できます。

具体的な単位数は、以下をご覧ください。

■就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)※定員20人の場合

評価点(合計スコア)

単位数

(一) 評価点が170点以上の場合

727単位

(二) 評価点が150点以上170点未満の場合

671単位

(三) 評価点が130点以上150点未満の場合

641単位

(四) 評価点が105点以上130点未満の場合

608単位

(五) 評価点が80点以上105点未満の場合

486単位

(六) 評価点が60点以上80点未満の場合

382単位

(七) 評価点が60点未満の場合

296単位

参照:厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部こども家庭庁 支援局 障害児支援課「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」p31

就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)の単位数も、事業所のスコアに応じて細かく設定されます。

サービス費(Ⅱ)の事業所でも、スコアを上げると基本報酬の増額を目指せるでしょう。

【シミュレーション】スコア別・改定後の事業収入の変化と対策

2024年度の報酬改定によって、就労継続支援A型の事業収入は大きく変動する可能性があります。

とくにスコア方式の変更は、基本報酬の単位数に直接影響を与えるため、事業所の現状を把握し、今後の対策を検討する必要があります。

ここからは、スコアの状況別に事業収入がどのように変化するかをシミュレーションしてみましょう。

あくまで一般的な傾向ですが、皆様の事業所の状況に当てはめて考えてみてください。

スコア上位事業所の場合

すでに高いスコアを維持している事業所は、報酬改定で事業収入が増加するでしょう。

スコアが高い事業所は、利用者様の平均工賃が高く、安定した労働時間を提供し、地域連携も密に行っているためです。

2024年度から新たに評価項目に加わった取り組みを積極的に行っていれば、基本報酬の単位数が増加し、事業全体の収入アップにつながるでしょう。

スコア中位事業所の場合

スコア中位の事業所は、事業収入が横ばいか、やや減少するかもしれません。

しかし見方を変えれば、改善の余地が大きいともいえるでしょう。

点数が低いスコア項目を改善すれば、事業収入の増加を目指せます。

中位の事業所は、報酬改定を機により高いスコアを目指すためのアクションプランを策定しましょう。

スコア下位事業所の場合

現在スコアが低く、あまり改善策を講じていない事業所の場合、報酬改定によって事業収入が減少するリスクがあります。

対策せずに放置していると、事業運営そのものが困難になるかもしれません。

まずは現状のスコアを詳細に分析し、どの評価項目のスコアが低いのかを特定しましょう。

そのうえで、利用者様の時差出勤制度を就労規則に盛り込んだり、職員の外部研修を実施したりなど、改善しやすい項目から取り組むと、少しずつスコアアップを図れます。

スコア下位の事業所にとって、報酬改定は運営体制を根本から見直す機会となるでしょう。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度改定によるスコア方式の変更は、事業所の運営に大きな影響を与える恐れがあります。新設された評価項目はもちろんこと、既存の評価項目にも変更が加えられているため、これまでと同様の運営体制では、減収となる事業所も出てくるでしょう。新設項目だけでなく、既存の項目にも注意し、スコアを上げることを心掛けましょう。また、低いスコアの項目は、それだけ伸びしろがあるということでもあるため、特に重点的な改善が必要です。

体制を見直すと言っても、何から手をつけるべきか迷われるかもしれません。

まずは全国の多くの事業所が直面する「3期連続の収支不足による減算(-20点)」を確実に回避し、その上で着実に点数を積み上げる戦略が必要です。

最新のスコア基準に対応した改善策をまとめた実践ガイド(無料)をご用意しました。減収リスクを排し、地域で選ばれる事業所になるための指針としてご活用ください。

【A型】報酬改定後の減算を回避しスコア高得点を狙うための実践ガイド

【基本報酬】新スコア方式の7項目と点数アップの対策

【基本報酬】新スコア方式の7項目と点数アップの対策

2024年度の改定で、最も事業所への影響が大きいのが、基本報酬を決める「スコア方式」の見直しです。

評価項目が5項目から7項目に増え、より質の高い支援と経営の健全性が問われるようになりました。

ここでは、各項目のポイントと、高得点を狙うための対策を解説します。

Ⅰ.労働時間:平均労働時間の延長がスコアアップの近道

「労働時間」は、利用者様の1日の平均労働時間が長いほど高得点になります。

長時間労働が可能ということは、それだけ安定した就労支援ができていると評価されるためです。

評価基準(利用者様の1日の平均労働時間)

評価点(スコア)

①1日の平均労働時間が7時間以上

90点

②1日の平均労働時間が6時間以上7時間未満

80点

③1日の平均労働時間が5時間以上6時間未満

65点

④1日の平均労働時間が4時間30分以上5時間未満

55点

⑤1日の平均労働時間が4時間以上4時間30分未満

40点

⑥1日の平均労働時間が3時間以上4時間未満

30点

⑦1日の平均労働時間が2時間以上3時間未満

20点

⑧1日の平均労働時間が2時間未満

5点

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p8

1日の平均労働時間は、次の方法で計算されます。

  1. 評価対象となる期間:スコアを算定する年度の前年度の実績を用います。(例:2026年度にスコアを算定する場合、2025年度の実績を用いる)
  2. 計算の対象者:前年度に就労継続支援A型と雇用契約を結んでいた利用者様が対象です。
  3. 計算式:利用者様の労働時間の合計÷利用者様の合計人数

なお、労働時間とは、利用者様が実際に労働した時間を指します。

休憩時間、遅刻、早退、欠勤の時間など、賃金が発生しない時間は含まれません。

反対に、労働時間とみなされ、賃金が支払われている時間帯(有給休暇を含む)は、すべて労働時間に含まれます。

スコアアップを目指すには、無理のない範囲で平均労働時間を底上げする工夫が必要です。

利用者様の体調に合わせて徐々に労働時間を延ばす提案を行ったり、施設外就労を活用して作業時間を確保したりしましょう。

Ⅱ.生産活動:3期連続赤字は大幅減点!収支改善と減点防止のポイント

「生産活動」は、利用者様に支払う賃金総額を、生産活動収支で賄えているかを評価します。

生産活動収支とは、利用者様が行った生産活動で得た収入から、生産活動を行ううえで必要な経費を差し引いた金額です。

たとえば、生産活動で得た収入が100万円で、経費が30万円だった場合、100万円-30万円=70万円が生産活動収支にあたります。

2024年の報酬改定では、3期連続で生産活動収支が賃金総額を下回ると、スコア20点が減点されることが決定しました。

評価基準(生産活動収支が賃金総額以上であるか)

評価点(スコア)

①過去3年間すべて(前年度・前々年度・前々々年度)当てはまる

60点

②過去3年のうち、前年度と前々年度の2年間のみ当てはまる(①の場合を除く)

50点

③過去3年のうち、前々年度のみ当てはまる

40点

④過去3年のうち、前々年度のみ当てはまる

20点

⑤前年度と前々年度の両方において、生産活動収支が賃金総額未満である(⑥の場合を除く)

-10点

⑥過去3年間すべて、生産活動収支が賃金総額未満である

-20点

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p9-10

なお、ここでいう「年度」とは、各事業所が設定している1年間の会計期間のことです。

たとえば、会計年度の終了日が9月30日である場合、令和7年度のスコアは、令和5年10月1日〜令和6年9月30日までの生産活動収支をもとに算定します。

新しく開業した事業所は実績がない年度があるため、以下のように評価されます。

  • 2年度目の算定:初年度の実績によって評価され、表の③または④の区分に応じたスコアが算定されます。
  • 3年度目の算定:初年度の実績と2年度目の実績によって評価され、表の②から⑤までの区分に応じスコアが算定されます。

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p10

スコアを改善するには、まず生産活動の見直しが求められます。

利用者様の賃金アップにつながるような、質の高い生産活動を行いましょう。

たとえば、ITスキルを要するデータ入力やWebサイト制作補助、専門的な手作業を要するクラフト製品の製造などが考えられます。

また、外部の企業と連携し、新たな事業機会を創出するのも有効です。

新たな事業機会(案件)を獲得することは、生産活動収支の改善だけでなく、事業所全体の収益アップに直結します。しかし、現場業務と並行しての営業活動は容易ではありません。

そこで、効率的な「新規開拓」のノウハウと、案件をこなすための「受入キャパシティ拡大」の戦略をまとめた資料(無料)をご用意しました。

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新規開拓ノウハウ×受入キャパ拡大 就労継続支援A型・B型の収益最大化 完全ガイド

なお、A型事業所特有の加算として、賃上げに取り組むことで算定できる「賃金向上達成指導員配置加算の算定要件・単位数・申請方法のポイントを解説【就労継続支援A型】」もあわせてご覧ください。

専従職員の配置要件や、賃金向上計画の作成手順など、収益と賃金を同時に上げるための具体的な仕組みを解説しています。

Ⅲ.多様な働き方:在宅・フレックスも評価対象!多様な働き方の導入メリット

「多様な働き方」は、利用者様が希望する働き方を選べる制度が、就業規則などに整備されているかを評価する項目です。

以下の8項目のうち、5項目以上を整備すれば満点の15点が獲得できます。

【評価対象となる8つの項目】

  1. 資格取得支援:免許・検定の取得費用補助や休暇制度など
  2. 職員登用制度:利用者様の職員登用ルール
  3. 在宅勤務(テレワーク):ルールや労働条件の明記
  4. フレックスタイム制:始業・終業時刻を自分で決められる制度
  5. 短時間勤務制度:障がい特性に応じた時短勤務
  6. 時差出勤制度:通院や混雑回避のための出退勤時間調整
  7. 時間単位での有給休暇の取得:1時間単位での有休取得など
  8. 傷病休暇制度:業務外での病気・ケガによる長期療養休暇

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p11-13

各項目は、それぞれ就業規則に整備されていれば1点として評価され、8項目の合計点に応じて、以下のスコアが算定されます。

8項目の合計点

評価点(スコア)

5点以上(5項目以上就業規則に定めている場合)

15点

3点または4点(3~4項目就業規則に定めている場合)

5点

2点以下(2項目以下のみ就業規則に定めている場合)

0点

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p11

規模が小さい事業所であっても、時差出勤制度や傷病休暇制度は就業規則に盛り込みやすい項目です。

まずは現在の就業規則を確認し、足りない条項を追加・改定することからはじめましょう。

生産活動の黒字化(減点回避)と、多様な働き方の整備(加点取得)を両立させるには、これまでの延長線上ではない「生産活動の最適化」が不可欠です。限られた時間でいかに付加価値を生み出し、スコアに繋げるか。

A型事業所が取り組むべき「生産活動のブラッシュアップ」と「働き方改革」の具体例を、以下の資料(無料)で詳しく解説しています。

就労継続支援A型事業所 報酬改定対応とスコアアップ&生産活動最適化ガイド

Ⅳ.支援力向上【新設】:研修・外部連携で「組織力」を高める

新設された「支援力向上」は、職員のスキルアップや組織としての透明性を評価する項目です。

以下の8項目のうち、5項目以上の実施で15点獲得となります。

【主な評価項目と対策】

  1. 研修計画と受講:すべての職員の研修計画を作成し、外部研修などに年1回以上参加させる
  2. 外部発表:学会や支援会議などで実践内容を発表する
  3. 視察・実習:先進的な他事業所への視察や実習生の受け入れを行う
  4. 販路拡大の商談:展示会や商談会に参加し、販路拡大による工賃アップを狙う
  5. 人事評価制度:昇給条件などを明文化し、全職員に周知・運用する
  6. ピアサポート:研修を受けた「障害者ピアサポーター」を配置する
  7. 第三者評価:3年に1回、第三者評価を受け結果を公表する
  8. 国際規格認証:ISO認証などを取得する

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p13-18

上記のうち、実施した項目があればそれぞれ1点が与えられ、合計点に応じて以下のスコアが算定されます。

8項目の合計点

評価点(スコア)

5点以上(5項目以上実施している場合)

15点

3点または4点(3~4項目実施している場合)

5点

2点以下(2項目以下のみ実施している場合)

0点

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p13

すべての評価項目を一度に達成するのは難しいため、まずは実行しやすい研修受講や展示会・商談への参加、人事評価制度の整備から着手しましょう。

Ⅴ.地域連携活動:商品開発や施設外就労で地域とつながる

「地域連携活動」は、地域社会と協力して付加価値を生み出す活動を評価します。

この項目は、実施要件を満たせば一律10点が加算されます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等 報酬改定における主な改定内容」p30

単なるボランティアではなく、原則として収益をともない、約3ヵ月以上継続して行っている活動であることが重要です。

【認められる活動の具体例】

  • 連携による商品開発:地元のカフェと共同で焼き菓子を開発・販売する
  • 施設外就労(企業内就労):一般企業の中で清掃や軽作業を請け負う
  • 地域課題の解決:高齢者向けの宅配サービスを行う
  • ICT活用:地元企業からホームページ作成やデータ入力を受託する

【必須要件】

  • 活動内容と連携先の意見を記載した報告書を作成すること
  • 報告書をインターネットなどで公表すること

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p19

とくに施設外就労は、利用者様の労働時間を延ばしやすいため、「労働時間」のスコアアップの効果も期待できます。

施設外就労を実施する際に必須となる書類については「【記入例あり】施設外就労評価表の書き方と8つの必須項目|令和6年度改定の保存義務や要件も解説」にて詳しく紹介しています。

評価表の具体的な書き方や、請負契約締結時の注意点など、基本報酬算定の根拠となる実務ポイントを整理できます。

Ⅵ.経営改善計画【新設】:未提出は50点減点!対象となる条件

「経営改善計画」は加点ではなく、減点を避けるための項目です。

就労継続支援A型の生産活動収支は、「利用者様へ支払う賃金の総額以上でなければならない」と法律で定められています。

参照:厚生労働省「○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」p3

この基準が守られていない場合、自治体から経営改善計画の提出を求められます。

経営改善計画を指定された期日までに提出しなかった場合、スコア50点が減点されます。

評価基準

得点(スコア)

経営改善計画の提出が求められたが、指定期日までに提出されていない場合

-50点

指定期日までに提出した場合

0点(減点なし)

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p19

もし赤字になってしまい経営改善計画の提出を求められたとしても、期限内に提出すればスコアは減点されません。

自治体からの通知を見落とさないようにしましょう。

Ⅶ.利用者の知識及び能力向上【新規】:利用者様の一般就労への移行支援を評価

「利用者の知識及び能力向上」は、利用者様が将来的に一般企業へ就職できるよう、具体的な教育・訓練を行っているかを評価する項目です。

取り組みに関する報告書を作成し、インターネットなどで公表することで10点が加算されます。

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p20

具体的な取り組みの例は、以下をご覧ください。

【取り組みの具体例】

  • ビジネスマナー研修:挨拶、身だしなみ、電話応対などの練習
  • 企業見学・実習:ハローワークなどと連携した職場見学
  • 金銭管理・生活スキル講座:給与の使い方や生活リズムに関する勉強会

【必須要件】

 取り組み内容をまとめた報告書を作成し、インターネットなどで公表すること

参照:厚生労働省「「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について」p20

訓練や研修は、ハローワークや地域障害者職業センターなど、専門機関の職員が講師となって実施する場合が一般的です。

しかし、これらの機関と就労継続支援A型の職員が連携し、講義内容を十分に理解した場合においては、就労継続支援A型の職員が講師となることも可能です。

こうした就労支援の取り組みは、利用者様の一般就労への移行を促すだけでなく、結果として事業所の「就労移行支援体制」の評価向上にもつながります。

就労移行率を高めるための具体的な連携手法や、スコアアップに繋がる実践的なノウハウをまとめた資料(無料)も公開しています。新設項目の対策とあわせて、より質の高い支援体制を構築するためにご活用ください。

【A型】報酬改定後の減算を回避しスコア高得点を狙うための実践ガイド

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度報酬改定では、基本報酬におけるスコア方式の評価項目が見直されました。平均労働時間の長い事業所を高く評価することや、生産活動収支による加点・減点などの変更のほかに、「経営改善計画」「利用者の知識及び能力向上」などの項目が新設されています。事業所運営のために不可欠な収益において、根幹をなす基本報酬に関する改定であるため、正確な内容を把握することが必要となります。

【加算】サービスの質と収益を上げる!新設・拡充された注目加算

【加算】サービスの質と収益を上げる!新設・拡充された注目加算

2024年度の報酬改定では、加算(基本報酬に上乗せされる追加報酬)についても変更がありました。

とくに人材確保や質の高いサービス提供を推進する加算が見直され、事業所の収入に大きく影響する可能性があります。

加算を取得すると、経営の安定化はもちろん、サービスの質の向上にもつながるでしょう。

ここからは、就労継続支援A型の加算に関する改定内容を詳しく解説し、事業所運営に役立つ情報をお届けします。

福祉・介護職員処遇改善加算の見直し:一本化で事務負担減&加算率アップ

2024年度の報酬改定では、福祉・介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算が一本化され、「福祉・介護職員等処遇改善加算」として再編されました。

一本化によって手続きが簡素化され、加算率も上がったので、より多くの加算額を取得できる可能性があります。

また、福祉・介護職員等処遇改善加算では、職員の賃金改善の実施状況に応じて、より細かく評価されます。

キャリアパス要件や職場環境等要件の達成度が加算率に影響するため、職員のスキルアップ支援や働きやすい職場環境づくりへの取り組みが重要です。

新制度の4区分(Ⅰ〜Ⅳ)ごとの具体的な要件や手続きについては「【障害福祉サービス】令和6年度処遇改善加算の要件・申請方法を解説」にて詳しく紹介しています。

計画書の作成から実績報告までのフローや、加算額の計算シミュレーションを確認し、スムーズな移行にお役立てください。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度の報酬改定では、基本報酬だけでなく、加算についても見直しが行われています。特に処遇改善加算は、これまでの「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、加算率も引き上げられています。複雑であった制度体系が簡素化され、事務処理の負担も軽減しているため、これまで以上に積極的な活用を行い、職員の待遇改善を図るとともに、事業所の収益向上につなげましょう。

集中的支援加算の新設

「集中的支援加算」は、強度行動障害が悪化した利用者様に対して、専門性の高い支援人材(広域的支援人材)が集中的な支援を行う場合に算定できる加算です。

1回につき1,000単位を取得でき、月4回まで算定できます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p10

集中的支援加算は、強度行動障害の状態が悪化した利用者様に対して、一定期間集中した支援を提供し、状態の改善や生活の安定化を図る目的があります。

専門性の高い支援提供を評価し、事業所内外のネットワーク強化が期待されるでしょう。

高次脳機能障害者支援体制加算の新設

「高次脳機能障害者支援体制加算」は、高次脳機能障害のある利用者様に対する専門的な支援体制を評価する加算として新設され、1日につき41単位を算定できます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p28

加算の対象となるには、高次脳機能障害に関する専門的な知識を持つ職員の配置や、関係機関との連携体制の構築などが求められます。

緊急時受入加算の新設

「緊急時受入加算」は、障がいの特性に起因する緊急事態によって、夜間に利用者様の支援を行った際に、1日につき100単位を算定できる加算です。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p7

加算を算定するためには、緊急時対応や平時の情報共有を担う連携担当者を配置し、日中の支援に続いて夜間支援を提供できる体制を整える必要があります。

緊急時受入加算は、利用者様の急変やご家族の緊急事態に対し、事業所が迅速に対応できるようにし、地域での安心した生活を支える重要な役割を担っています。

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充

2024年度の報酬改定によって、点訳・手話通訳などができる職員をより手厚く配置している事業所は、「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)」を取得できます。

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)

  • 単位数:51単位
  • 要件
    • 視覚、聴覚、または言語機能に重度の障がいのある方が、利用者様の50%以上を占めていること
    • 利用者様40人に対し、点訳・手話通訳などができる職員を1人以上配置すること

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅱ)

  • 単位数:41単位
  • 要件
    • 視覚、聴覚、または言語機能に重度の障がいのある方が、利用者様の30%以上を占めること
    • 利用者様50人に対し、点訳・手話通訳などができる職員を1人以上配置すること

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p11

視覚障がいや聴覚・言語障がいのある利用者様へのきめ細やかな支援は、QOL(生活の質)向上に直結します。

加算の拡充は、事業所がより包括的なサービスを提供するための後押しとなるでしょう。

送迎加算の拡充

2024年度の報酬改定によって、施設に入所している利用者様の送迎についても、「送迎加算」が算定できるようになりました。

ただし、同じ敷地内にある事業所や、隣接している事業所への送迎は、これまでどおり加算の対象外となります。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p20

送迎加算の拡充により、事業所は送迎サービスをより柔軟に提供できるため、利用者様の利便性向上につながるでしょう。

食事提供体制加算の経過措置の延長

「食事提供体制加算」は、令和6年3月31日までの経過措置とされていましたが、令和9年(2027年)3月31日まで延長されることになりました。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p19

障がい福祉サービスにおける食費は、原則として利用者様が支払う必要があります。

しかし、この原則をそのまま適用すると、所得が低い利用者様にとって、日々の食費の負担が重くなる可能性があります。

そのため、利用者様の経済的な負担を軽減することを目的として、食事提供体制加算が例外的に残されているのです。

参照:厚生労働省「食事提供体制加算等に関する実態調査報告書」p6

また、2024年度から食事提供体制加算を取得するには、以下の条件をすべて満たす必要があり、改定前と比べて要件が厳しくなっています。

  • 原則として事業所内の調理室を使用すること(※改定前と同じ)
  • 管理栄養士または栄養士が献立作成に関与していること【新設】
    • 以下のいずれかの体制を整えていること
      • 管理栄養士または栄養士を事業所の職員として配置する
      • 栄養ケア・ステーション、保健所等の管理栄養士・栄養士に献立を確認してもらう
  • 利用者様ごとの摂食量を記録していること【新設】
  • 利用者様ごとの体重またはBMIを約6ヵ月に1回記録していること【新設】

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p19

障がい福祉サービスに特化した記録・請求ソフト「knowbe(ノウビー)」は、事業所や利用者様に関する情報、実績、支援記録などを一元管理し、集計・計算作業をサポートします。

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【減算】知らないと損をする!新設・見直しがあった減算と回避策

【減算】知らないと損をする!新設・見直しがあった減算と回避策

2024年度の報酬改定では、減算(ルールを満たさなかった場合に基本報酬が減額される制度)の新設・見直しが行われました。

減算は事業所の運営に直接影響するため、内容を正確に把握し、適切な対応を取りましょう。

この章では、とくに重要な減算項目に焦点を当て、各項目の詳細と事業所が講じるべき対策について詳しく解説します。

減算を防ぎ、事業収入の安定化と健全な事業運営を目指しましょう。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度の報酬改定では、事業所にとってプラスとなる加算の見直しだけでなく、マイナスの影響を与えうる減算についても見直しが行われています。減産の適用は、事業所の収益悪化に直結し、サービスの品質低下をもたらすだけでなく、給与の遅配や未払いといった従業員の待遇悪化から生じる離職の連鎖にもつながりかねません。そのような事態に陥れば、事業所の運営自体が危うくなってしまうでしょう。どのような場合に減算が行われるのかを把握し、改善できる点があれば、改善に努めましょう。

業務継続計画(BCP)未策定減算:早急なBCP策定が必須

2024年度の報酬改定によって、すべての障がい福祉サービス事業所において「業務継続計画(以下、BCP)」の策定・運用が義務付けられました。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p15

BCPとは、自然災害や感染症などが発生したときでも、継続してサービスを提供する体制を確保するための計画です。

BCPを策定していない事業所は「業務継続支援計画未策定減算」の対象となり、就労継続支援A型の場合、基本報酬の1%が減算されます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p16

BCPを策定するには、まず自然災害、感染症、システム障害など、事業所に想定されるリスクを洗い出し、事業に与える影響を評価しましょう。

災害発生時や緊急時の初動対応を定め、安否確認の方法や避難経路、緊急連絡網の整備などを事前に決めておくと、混乱を最小限に抑えられます。

代替事業所や非常食・備蓄品の確保、情報システムのバックアップ体制など、事業を継続するために必要な資源を確保する方法を検討しましょう。

また、策定したBCPは定期的に訓練を実施し、効果を検証する必要があります。

訓練を通じて見つかった課題をもとに計画を見直し、改善していきましょう。

BCPの策定は重要ですが、事業所の経営を脅かすリスクは災害だけではありません。法改正への対応漏れや実地指導での指摘など、一見順調な事業所でも見落としがちな落とし穴があります。

運営リスクを未然に防ぎ、創業期から最短で事業を軌道に乗せるための「成功の鉄則」とチェックリストをまとめた資料(無料)をご用意しました。

BCPとあわせて、強固な経営基盤を作るためにお役立てください。

【継続支援A型・B型】早期黒字化のために今すぐやるべきこと6選

減算を回避するために必要な具体的な対策については「【障がい福祉】BCP未策定減算とは?1%・3%の減算額と過去分まで減算されるリスクを回避する運用対策」にて詳しく紹介しています。

感染症・自然災害それぞれのBCP策定ポイントや、必須となる研修・訓練の実施方法について解説しています。

情報公表未報告減算の新設

2024年度の報酬改定では、「情報公表未報告減算」が新設されました。

障がい福祉サービス事業所は、事業所に関する情報を情報公表システム(以下、WAM NET)に公表し、都道府県や指定都市、中核市に報告する義務があります。

この義務を怠った場合に減算が適用され、就労継続支援A型の場合、基本報酬の5%が減算されます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p18

情報公表未報告減算を避けるには、まずWAM NETの操作方法や、必要となる情報項目について十分に理解しましょう

厚生労働省のWebサイトや、各自治体が発行する手引きなどが参考になります。

また、事業所の状況やサービス内容に変更があった場合は、速やかに情報を更新しなければなりません。

担当者を決め、定期的なチェックリストを作成し、更新し忘れを防ぎましょう。

虐待防止措置未実施減算の新設

2024年度の報酬改定では、「虐待防止措置未実施減算」も新設されました。

虐待防止措置とは、利用者様への虐待を防ぐために行う取り組みです。

減算を避けるためには、以下の取り組みをすべて実施する必要があります。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果をすべての職員に周知すること
  2. 職員に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること
  3. 上記の1・2の措置を適切に実施するための担当者を置くこと

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p12

上記の取り組みを1つでも行わなかった場合、基本報酬の1%が減算されます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p12

虐待防止は、利用者様の尊厳を守り、安心してサービスを利用できる環境を提供するうえで重要です。

就労継続支援A型においても、定期的な研修の実施や虐待防止マニュアルの整備、相談窓口の周知など、虐待を防止するための具体的な取り組みを行うことが求められます。

身体拘束廃止未実施減算の見直し

2024年度の報酬改定では、「身体拘束廃止未実施減算」の減算率が引き上げられました。

身体拘束とは、利用者様の手足をひもなどで縛ったり、睡眠薬などを飲ませたりして、自分の意思で身動きができない状態にする行為を指します。

身体拘束は利用者様の尊厳を損なう行為であり、基本的には避けるべきです。

この減算を防ぐには、以下の取り組みをすべて実施する必要があります。

  1. やむを得ず身体拘束を行う場合、以下の事項について記録を取ること
    1. 利用者様の様子
    2. 身体拘束を行った時間
    3. 利用者様の心身の状況
    4. 身体拘束を行うに至った、緊急やむを得ない理由
    5. その他必要な事項
  2. 身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催し、その結果についてすべての職員に周知すること
  3. 「身体拘束等の適正化のための指針」を整備すること
  4. 職員に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p12

身体拘束廃止未実施減算は、上記の取り組みを1つでも実施していない場合に適用されます。

改定前は基本報酬の単位数から1日につき5単位が減算されていましたが、改定後は基本報酬の1%が減算されます。(※就労継続支援A型の場合)

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p13

就労継続支援A型では、身体拘束が必要となる場面は比較的少ないかもしれません。

しかし、万が一の状況に備えて適切な記録様式を準備し、すべての職員が記録の重要性を理解しておく必要があります。

加算の取得や減算の回避は、制度の表面をなぞるだけでは不十分です。実地指導をクリアしつつ、着実に利益を残すためには、年間を通じた計画的な「運営体制のアップデート」が求められます。

報酬改定の全体像を俯瞰し、自社が今すぐ着手すべき優先順位を整理したガイドを、ぜひ日々の経営の指針としてお役立てください。

就労継続支援A型事業所 報酬改定対応とスコアアップ&生産活動最適化ガイド

【重要】就労継続支援A型の運営・人員配置に関する変更ルール

【重要】就労継続支援A型の運営・人員配置に関する変更ルール

2024年度の報酬改定では、就労継続支援A型の運営やサービス提供に関わるいくつかの重要な変更点があります。

変更点をしっかりと理解し、適切な対応を取れば、事業所のサービスの質を向上させ、利用者様の満足度を高められるでしょう。

それぞれの改定事項について、事業所が取るべき対応策を解説します。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度の改定では、より利用者本位のサービスを提供するための変更も行われています。原則的な「就労選択支援」の選択や、「個別支援会議の本人参加」など、これまで以上に利用者の目線に立った計画の策定やサービスの提供が求められるようになっています。変更点を踏まえたうえで、職員研修を行うことなどを通じて、より良いサービスが提供できる環境を整備し、他事業所と差別化することが必要となってくるでしょう。

就労選択支援の利用の原則化

令和7年10月より、就労継続支援A型・B型を利用する前には、原則として「就労選択支援」を利用するよう通知されました。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p59

就労選択支援とは、2024年度の報酬改定によって新設された障がい福祉サービスです。

就労に関するアセスメント(情報収集・分析)を行ったり、関係機関と連携して支援を行ったりします。

今後は利用者様の希望をそのまま鵜呑みにするのではなく、潜在的なニーズやほかのサービスが適している可能性など、さまざまな視点から検討しましょう。

休職中の就労系サービス利用について

2024年の報酬改定では、一般企業に勤めている方が休職中に就労系サービスを利用する際、以下の対応が求められています。

  • 以下の事項について、事務連絡で通知すること
    • 休職中に障がい福祉サービスを利用する際の条件

(例:休職している方を雇用する企業や、かかりつけの医療機関による復職支援が見込めない場合など)

  • 一般就労中の障がいのある方が、休職中の復職支援として、生活介護や自立訓練を利用する際の条件
  • 障がい福祉サービスの利用を申請するときに、休職している方を雇用している企業や主治医の意見書などの提出を求めること

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p57

主治医の意見書や職場復帰支援プランなどを踏まえ、就労系サービスが職場復帰の助けとなると判断される場合に利用可能です。

個別支援会議の本人参加の原則化

2024年の報酬改定では、サービス担当者会議や個別支援会議に、原則として利用者様も参加し、ご本人の意向を確認することが求められています。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p12

サービス担当者会議と個別支援会議については、以下をご覧ください。

  • サービス担当者会議

サービス担当者会議は、複数のサービスの関係者が集まる、外部との連携を重視した会議です。

利用者様の希望や生活の目標を達成するために、「どのサービスをどのくらいの頻度で利用するか」などを話し合います。

  • 個別支援会議

個別支援会議は、事業所内部の関係者が集まり、内部での支援内容を深める会議です。

事業所内で提供する支援内容(例:日中の活動、作業の進め方、声かけの方法など)について、より詳しく話し合います。

ただし、利用者様の状況によっては、会議への参加が難しい場合もあるかもしれません。

その際には、ご家族や代理人などが事前に本人の意見をていねいに聴き取り、支援内容に十分に反映させるなどの対応が求められます。

相談支援事業所への個別支援計画の共有の義務化

2024年の報酬改定で、相談支援事業所への個別支援計画の共有が義務化されました。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p13

個別支援計画とは、事業所が利用者様へ提供する具体的な支援内容を定めた計画です。

個別支援計画を相談支援事業所に共有することによって、相談支援支援事業所も利用者様の就労に関する目標や支援内容を確認でき、連携を取りやすくなるでしょう。

同性介助に関する通知

2024年の報酬改定では、就労継続支援A型を含むほぼすべての障がい福祉サービスに対し、厚生労働省から「同性介助」に関する通知が出されました。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p12

とくに身体介護をともなう場面や、デリケートな内容の相談を受けた際には、同性の職員が対応することで、利用者様の安心感や信頼感に大きく影響するでしょう。

管理者の責務・兼務範囲

2024年度の報酬改定では、管理者の責務・兼務範囲が明確化されました。

管理者とは、事業所全体の業務を管理し、サービス全体の質と安全を守る責任がある

管理者の責務として、以下の3つが挙げられます。

  1. 利用者様がサービスを受けている最中や、事業所内で起こるすべての出来事を、タイミングよく正確に理解しておくこと
  2. すべての職員と業務を管理者が中心となって一つにまとめ、指示を出すこと
  3. 事故や病気、災害などの緊急事態のときの対応の流れを事前に決めておき、必要に応じて管理者が速やかに出勤できるようにしておくこと

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p13

上記の責務を果たすのであれば、管理者の兼務が認められます。

職員のテレワークの取り扱い

2024年度の報酬改定では、障がい福祉サービス事業所の職員のテレワークが、一定の条件下で認められました。

以下の条件を満たしている場合に、職員のテレワークが認められます。

  • 利用者様と職員、管理者のあいだで連絡が取れる体制を確保していること
  • 事故が発生したときや、利用者様の体調が急変したとき、災害が発生したときなどの対応の流れをあらかじめ決めておき、必要に応じて管理者が速やかに出勤できるようにしておくこと
  • 管理者以外の職種・業務について、テレワークに関する具体的な考え方を示すこと

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p15

たとえば、事務作業や記録業務など、事業所外でも実施可能な業務については、テレワークを活用すれば、職員の通勤負担を軽減し、柔軟な働き方の実現につながるでしょう。

ただし、テレワークを導入する際には、適切なICT環境の整備や情報セキュリティ対策を徹底する必要があります。

報酬改定後の手続き方法

報酬改定後の手続き方法

就労継続支援A型にとって、2024年度の報酬改定はさまざまな変更がありました。

報酬改定は3年に1回実施され、適切に対応しなければ事業収入の減少にもつながりかねません。

この章では、改定後に事業所が適切にサービスを提供し、報酬を請求していくために必要な手続きについて解説していきます。

届出書類の準備から提出、実地指導・監査への対応など、事業所運営者が知っておくべきポイントを幅広くご紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。

届出書類の準備・提出

最新のルールに沿ってサービスを提供し、報酬を請求するためには、体制届などの書類を提出する必要があります。

体制届には、事業所の人員配置や加算の算定状況など、報酬算定の基礎となる情報を記載します。

新しく加算を算定する場合には、要件を満たしていることを示す根拠書類を準備しましょう。

また、既存の加算であっても、要件が変更されている場合があります。

これまでの算定状況を再評価し、必要であれば計画書を修正して提出しなければなりません。

届出書類は、指定権者である都道府県または市町村に提出します。

提出期限は指定権者によって異なりますが、毎月15日までに設定している自治体が多いです。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p2

不備があった場合の修正期間を考慮し、余裕をもって準備を進めましょう。

実地指導・監査への対応

報酬改定後の手続きは、届出書類を提出して終わりではありません。

内容が適切であるかを確認するため、定期的に実地指導が行われます。

実地指導では、主に以下の項目が確認されます。

  • 提出した体制届の内容と実際の運営状況に相違がないか
  • 個別支援計画に基づいた適切な支援が行われているか
  • 記録が正確に残されているか

万が一不備が見つかった場合には、指導、報酬の返還、指定取り消しといった厳しい処分が下される可能性もあります。

実地指導に引っかからないためには、日頃から内部研修を実施し、全員が同じ認識で業務に取り組むことが重要です。

なお、実地指導当日の流れや事前に準備すべき書類については「実地指導とは?監査との違いや当日の流れ・必要書類・事前対策について解説【障がい福祉サービス】」にて詳しく紹介しています。

運営規程の更新漏れや人員配置基準など、指摘されやすいポイントをチェックリスト形式で確認し、万全の対策を講じましょう。

knowbeなら最新の報酬改定ルールに沿って請求できる

knowbeなら最新の報酬改定ルールに沿って請求できる

2024年度の報酬改定の内容を正しく把握し、適切な請求を行えば、事業所の安定経営に直結します。

しかし、ここまで解説したとおり、2024年の報酬改定は変更点が多いため、手作業での管理には限界があります。

とくに実地指導への対策や、日々の実績記録と請求の突合は、職員にとって大きな負担となりかねません。

新ルールに対応した請求業務をミスなく行うためには、報酬改定にも対応している記録・請求ソフトの活用が不可欠です。

knowbeは、3年に1度ある報酬改定にも対応しており、最新の報酬改定ルールに沿った、正確かつ効率的な請求を実現できます。

日々の支援記録がそのまま請求データに連動するため、転記ミスによる返戻リスクも防げます。

記録に不備があったとしても、knowbeのアラート機能やエラー通知がいち早く教えてくれるため、日々の業務負担を減らしつつ、実地指導にも自信を持って対応できるでしょう。

「制度対応で手一杯で、利用者様の支援に時間が割けない」とお悩みの経営者様は、ぜひknowbeの導入をご検討ください。

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記事のまとめ

2024年度の報酬改定は、就労継続支援A型の経営に大きな変革をもたらします。

スコア改善による基本報酬アップや加算の取得、減算対策は、事業所の安定運営と利用者様に対するサービスの質の向上に直結するでしょう。

報酬改定は、就労継続支援A型にとって厳しい側面もありますが、質の高い支援をする事業所が正当に評価される仕組みになったともいえます。

まずは労働時間の見直しやBCPの策定など、できることから一つずつ着手し、変化をチャンスに変えていきましょう。

この記事で解説した対応策や加算取得のヒントを参考に、ぜひ皆様の事業所に合った最適な戦略を立ててください。

社労士 涌井好文のコメント:

令和6年度の報酬改定は、事業所の運営に大きな影響を与えるものとなっています。新たなスコア方式に則り、高スコアとなるような体制構築を行うことはもちろんこと、より利用者の目線に立ったサービスを提供することも必要となってきます。職員が変更点を理解し、正しい運用や手続きができるように研修や勉強会を行ったり、減算につながるような点があれば、適用を受ける前に未然に改善したりするといったことが必要となるでしょう。変更点が多く、対応は困難となりますが、今回の改定を他事業所との差別化を図るチャンスと捉え、収益力向上につなげる姿勢が大切となります。


Author
著者
宮島桃香
福祉系大学卒業と同時に社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得。障害者就労・生活支援センターや就労継続支援B型事業所にて、2年半ほど就労支援業務に携わる。2022年12月より、障害者の就労支援やメンタルヘルス系のメディアを中心に記事執筆を行っている。
Supervisor
監修者
涌井好文(わくい よしふみ)
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年に神奈川県で社会保険労務士として開業登録後、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を展開。障害福祉サービス事業所の運営や手続きに関する相談など、福祉分野での支援も行っている。退職や転職に関するトラブル相談にも応じ、労使双方が働きやすい環境作りに尽力。また、近年はWebを活用した情報発信にも注力し、記事執筆や監修を通じて幅広い知識を提供している。
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