

【障がい福祉】BCP未策定減算とは?1%・3%の減算額と過去分まで減算されるリスクを回避する運用対策
※この記事は2025年12月時点の情報で作成しています
「日々の支援や請求業務に追われ、BCP(業務継続計画)の策定まで手が回らない…」
多くの経営者様や管理者様が、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。
しかし、2024年度(令和6年度)の報酬改定において、障がい福祉サービスにおけるBCPの策定が義務化されました。ここで注意したいのが「BCP未策定減算」の適用です。
この減算の怖いところは、単に計画を作成すればよいわけではないという点です。
「BCPの内容に沿った備えや対策が講じられていない」と判断されれば、通所・訪問系サービスでは基本報酬の1%、入所・居住系サービスでは3%が減算されます。
「わずか数%」と軽く見てはいけません。万が一、運営指導で不備を指摘されれば、過去にさかのぼって返還を求められるケースもあり、経営に関わるリスクとなる可能性があります。
この記事では、BCP未策定減算の仕組みと要件、そして確実に減算を回避するための運用対策についてわかりやすく解説します。制度の落とし穴を未然に防ぎ、安定した事業運営を実現するためのポイントを確認しましょう。
障がい福祉サービスの「BCP未策定減算」とは?

BCP未策定減算とは、BCPが未策定、または機能していないと判断される場合に、基本報酬が減算される仕組みです。
この減算の目的は、感染症の拡大や大規模災害といった非常時においても、必要な支援を継続できる体制を作ることにあります。
減算を回避するうえでとくに重要なポイントは、以下の2点です。
- 感染症および自然災害、双方のBCPが策定されているか
- BCPに従い、必要な措置が講じられているか(計画と実態にズレがないか)
以下より、BCP未策定減算のポイントと、事業所のリスクを見極めるための基準を解説します。
社労士 涌井好文のコメント:
自然災害の多い我が国では、災害発生時であっても重要な事業を継続、または速やかに復旧させることが必要となります。また、感染症の発生も事業継続の大きなリスクであり、その備えも必要となるでしょう。緊急事態にあっても事業を継続させるためには、事業継続計画(BCP)の策定が重要です。BCP策定の重要性は、障害福祉サービスにあっても変わりはなく、未策定には減算の適用が予定されています。どのような減算なのかを把握し、減算の適用を防ぎましょう。
【1分チェック】あなたの事業所は減算対象?
以下の項目のうち、一つでも該当する場合、あなたの事業所はBCP未策定減算の対象となるリスクが高いといえます。現状の体制と照らし合わせてご確認ください。
- 感染症BCPが未策定である
- 自然災害BCPが未策定である
- 感染症BCP、自然災害BCPがどちらも未策定である
- BCPは策定しているが、記載内容と実際の運用・設備との間にズレがある
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
とくに誤解が生じやすいのが、感染症BCPと自然災害BCPの両方が必要という点です。どちらか一方でも欠けていれば「未策定」とみなされ、減算対象となります。
そもそもBCP(業務継続計画)とは
BCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)とは、感染症の流行や自然災害などの緊急事態に直面した際、損害を最小限に抑えつつ、事業を継続、または早期復旧させるために事前に取り決めておく計画です。
障がい福祉サービスにおけるBCPでは、利用者様の安全確保と生活維持に必要なサービスの継続が優先されます。
いつもと違う混乱した状況下で、「誰が」「何を優先し」「どのような手順で動くのか」を具体的に定め、全職員に共有しましょう。
参照:八尾市「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」p6
社労士 涌井好文のコメント:
製造業や飲食業、運輸交通業など、どのような事業であっても、BCPの策定は重要です。BCPを策定し、緊急事態であってもサービスの提供を継続することは、顧客の信頼獲得につながります。また、早期に復旧できれば、損害の発生も最小限に抑えられるでしょう。これは業種の違いによって変わるものではありません。しかし、障害福祉サービスにおいては、利用者の避難や安全確保が必要となるため、よりBCP策定の重要性が高くなっています。BCPが適切に策定され、緊急事態発生時であっても、サービスの提供を継続する事業所は、利用者や家族にとって、心強い存在となるでしょう。
なぜ今、障がい福祉サービスにBCPが求められているのか
近年、新型コロナウイルス感染症の流行や風水害、大規模地震が頻発しています。
福祉の現場において、非常時に支援が停止することは、利用者様の生活に大きな影響を及ぼします。
そのため国は、令和6年度の報酬改定でBCP未策定減算を導入しました。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p15
行政が求めているのは書類としてのBCPではなく、非常時でも機能する支援体制です。
BCPを策定するのはもちろん、いざというときに職員が動けるよう訓練を行い、その記録を整備しましょう。
参照:埼玉県「運営指導における主な指導事項~障害福祉サービス事業者等向け~」p4
【最重要】BCP未策定減算の適用要件

BCP未策定減算を回避するためには、感染症BCPと自然災害BCPをどちらも策定し、計画に沿った備えを用意する必要があります。
ここからは、行政指導の現場等で「未策定」と判断されやすいケースや、誤解しやすいポイントを見ていきましょう。
社労士 涌井好文のコメント:
障害福祉サービスにおけるBCPでは、「自然災害への対策」と「感染症への対策」の2つが必要となります。ひとたび自然災害の発生や、感染症の拡大といったことが起きれば、事業所はサービスの停止を余儀なくされる場合が多いでしょう。そのような事態にあっても、事業を継続、または早期復旧を行うことが事業所に求められているわけです。なお、企業のBCP策定時においては、サイバー攻撃に対する対策が盛り込まれることも多いですが、BCP未策定減算の適用にあたっては、必要な対策とされていません。
「未策定」と判断される3つのパターン
厚生労働省が定義する「未策定」には、主に以下の3パターンが該当します。
- BCPそのものが存在しない
感染症や自然災害に備えたBCPが書面として整備されていない状態は、当然ながら「未策定」と判断されます。
- 「感染症BCP」または「自然災害BCP」のどちらかが作成されていない
感染症BCP、または自然災害BCPのどちらかが未策定であれば、要件を満たしません。両方そろっている必要があります。
- BCPはあるが、必要な措置が行われていない
BCPが存在していても、その内容に基づいた備蓄や体制整備など、必要な措置が講じられていない場合も減算リスクが生じます。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
なお、厚生労働省は「BCPの職員周知、研修、訓練、見直しの実施の有無は、BCP未策定減算の算定要件ではない」としています。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
しかし、運営指導においては「緊急時に実際に稼働する体制か」という観点で厳しく確認されるでしょう。
BCP策定に加えて、職員への周知・研修・訓練・見直しを継続的に行い、記録として残しておくことが重要です。
参照:鹿児島県「令和5年度指定障害福祉サービス事業者等集団指導【資料2】令和6年度から義務化される事項について」p1
運営指導(旧:実地指導)で問われるのは、BCPの有無だけではありません。
実は、一見順調に運営している事業所でも、知らず知らずのうちに運営基準違反や減算対象となるリスクを抱えているものです。
運営指導で指摘されやすい「見落としがちな6つのリスク」と、その予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。 BCPの整備とあわせて、運営体制に死角がないか総点検するためのチェックリストとしてご活用ください。

事務的な手続きの遅れだけで減算対象となる情報公表未報告減算についても確認が必要です。
「情報公表未報告減算の回避と解消・報告方法【2024(令和6)年度報酬改定対応】」では、WAM NET(ワムネット)への報告期限や、最大10%となる減算率について解説しています。
感染症BCPと自然災害BCPは「両方」必須
前述のとおり、BCP未策定減算を回避するには、感染症BCPと自然災害BCPの両方を策定しなければなりません。それぞれのBCPで求められる視点について、詳しく見てみましょう。
感染症BCPで求められる内容の概要
感染症BCPでは、施設内や地域で感染症が発生した際でも支援を継続できるよう、以下の点が重視されます。
- 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止策、備蓄品の確保など)
- 初動対応
- 感染拡大防止策(保健所連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有など)
- 身体の安全確保(避難方法、発生後の生活の場の確保など)
BCP対策は義務化されましたが、限られた人員の中で実効性のある体制を整え、維持し続けるのは現場の大きな負担となります。
制度を遵守しつつ、いかにして運営リスクを抑え、日々の業務効率を上げるかをまとめた資料(無料)をご用意しました。この記事とあわせて確認し、より安心で効率的な事業所運営にお役立てください。

社労士 涌井好文のコメント:
減算の適用を避けるためには、「自然災害への対策」と「感染症への対策」のいずれかひとつの計画を策定するだけでは足りません。必ず両者の計画を策定することが求められます。自然災害の多い我が国では、災害対策が重要となることはもちろんですが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのような事態が再び起きることも考えられます。多くの事業所がパンデミックによって、サービス提供が困難となったことは記憶に新しいでしょう。BCPを策定し、事業継続や早期復旧を可能とし、利用者と職員双方を守ることが必要です。
自然災害BCPで求められる内容の概要
自然災害BCPでは、利用者様と職員の安全を優先しつつ、早期復旧を目指す手順を定めます。
- 平常時の対応(建物・設備の安全対策、ライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄など)
- 緊急時の対応(BCP発動基準、対応体制など)
- ほかの施設・地域との連携
自然災害は突発的に発生するため、事前の備えが大切です。地域の特性を踏まえた、現場で実際に使える計画を策定することが求められます。
BCP未策定減算の減算率と計算方法【1%・3%】

BCPが未策定、または実態とズレがあると判断された場合、基本報酬の「1%」または「3%」が減算されます。影響額を試算する際は、基本報酬の単位数をベースに計算を行いましょう。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p15
BCP未策定減算のほかにも、日々の業務の中にも見落としがちな「経営リスク」は潜んでいます。
今回の減算対策とあわせて、事業所全体のリスクを点検できる資料(無料)も活用し、運営体制を一段と強化していきましょう。

同じく指針の整備や研修の実施が要件となっている身体拘束廃止未実施減算についても注意が必要です。
「身体拘束廃止未実施減算を解説|令和6年度報酬改定の対応ポイントと対策」では、令和6年度改定で厳格化された要件や、記録に残すべき必須項目について解説しています。
社労士 涌井好文のコメント:
BCP未策定減算は、1%または3%の減算率が適用されます。いずれであっても高い減算率とはいえませんが、長期にわたり減算が適用されれば、事業所の運営を危うくすることも考えられます。また、BCPの策定は、業務の効率化や最適化のヒントを見つける機会にもなるでしょう。緊急時における効率的な連絡体制の整備は、平時であっても活かせるはずです。適切にBCPを策定し、減算の適用を避けるだけでなく、業務の効率化にもつなげましょう。
通所・訪問系サービスは「基本報酬の1%減算」
以下のサービスにおいて「BCP未策定」と判断された場合、基本報酬が1%減算されます。
- 居宅介護
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
- 重度障害者等包括支援
- 短期入所(ショートステイ)
- 生活介護
- 自立生活援助
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 就労定着支援
- 計画相談支援
- 地域移行支援
- 地域定着支援
- 就労選択支援(※令和9年3月31日まで減算適用なし)
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p16
入所・居住系サービスは「3%減算」
以下のサービスは、基本報酬の3%が減算されます。
- 療養介護
- 施設入所支援
- 共同生活援助(グループホーム)
- 宿泊型自立訓練
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p16
入所・居住系のサービスは、利用者様の生活を24時間体制で支えるため、通所・訪問系サービスよりも厳しい減算率が設定されているのです。
とくにグループホームの場合、3%の減算は経営に大きな打撃となります。逆に言えば、人員配置や運営体制を最適化することで、リスクを抑えつつ高収益な体質を作ることも可能です。
業界平均を大きく上回る「利益率15%」を実現するための、適正な配置ルールとユニット展開のノウハウをまとめた資料(無料)をご用意しました。
減算リスクに備えつつ、さらに事業を成長させるための運営ガイドとしてお役立てください。

減算シミュレーション【月額・年額で見る影響】
具体的な経営への影響を把握するため、基本報酬が月間300,000単位(約300万円)の事業所をモデルケースとして計算します。(1単位=10円と仮定)
【1%減算(例:就労継続支援B型など)の場合】
- 月額:約3万円の減収
- 年額:約36万円の減収
【3%減算(例:グループホームなど)の場合】
- 月額:約9万円の減収
- 年額:約108万円の減収
BCP未策定の状態が長引けば、多額の収益が失われるリスクがあります。経営者としては一刻も早く体制を整えたいところです。
しかし、「BCP策定に時間を取られ、日々の請求業務がおろそかになってしまうのでは?」という悩みもあるでしょう。
こうしたリスクを抑えるには、業務支援システムの導入が有効です。
knowbeは日々の支援記録と請求情報が連動するため、ヒューマンエラーによる減収リスクを軽減できます。煩雑な業務はシステムに任せ、安定した経営基盤の構築とBCP対策に注力しましょう。

減算はいつから?どこまでさかのぼる?【時系列で理解】

「いつから減算が適用されるのか」「過去の分まで減算されるのか」気になる経営者様もいらっしゃるでしょう。
BCP未策定減算は「要件を満たさない状態が生じていた期間」が対象です。場合によっては、過去にさかのぼって減算が適用されるリスクがあります。
減算が適用されるタイミングの原則
厚生労働省は、減算の適用時期について「BCPが未策定である、または要件を満たしていない事実が生じた時点」としています。
つまり、BCPに不備がある状態でサービス提供を行っていた期間があれば、その期間は減算対象となる可能性があるのです。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
運営指導で発覚した場合、さかのぼって減算が適用される
BCPの未策定や運用不備が運営指導(旧:実地指導)で発覚した場合、とくに注意したいのが「遡及(そきゅう)適用」です。
たとえば、令和8年10月の運営指導でBCP未策定が確認された場合、令和8年4月までさかのぼり、それ以降の報酬について減算が適用される可能性があります。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
数年分の報酬を返還する事態となれば、資金繰りに与える影響は決して小さくないでしょう。
このような予期せぬ返還金やトラブルにも動じないためには、創業期から盤石な「経営基盤」を築いておくことが重要です。
複雑な制度や実地指導のリスクを乗り越え、最短で事業を軌道に乗せるために。
多くの成功事業所が実践している「早期黒字化の鉄則」をまとめた資料(無料)をご用意しました。リスク管理とあわせて、安定した経営を実現するための手引書としてご確認ください。

万が一、報酬の返還が必要になった場合の手続き(過誤申立)については「返戻とは?事業所への影響・通知対応の流れ・エラーコード例や対処法など」にて詳しく紹介しています。
支払い確定後の修正である過誤と、審査段階で差し戻される返戻の違いや、具体的な対応フローをご確認いただけます。
改善した場合、減算はいつから止まる?
万が一、減算対象となってしまった場合でも、感染症BCPと自然災害BCPの両方を策定し、適切な改善を行えば減算を解消することは可能です。
ただし、実際に減算が解除されるタイミングは、指定権者(自治体)への届出状況や運用ルールによって異なります。
改善作業に着手すると同時に、提出期限や必要書類を確認し、速やかに通常の報酬額に戻せるよう手配することが重要です。
BCP未策定減算を回避する運用対策【年間スケジュール付】

減算を回避するには、感染症BCPと自然災害BCPを整備するだけでなく、計画に沿った必要な措置を講じる必要があります。
ここからは、減算リスクを下げるために押さえたいポイントと、現場で無理なく続けるための運用のコツ、年間スケジュール例を解説します。
社労士 涌井好文のコメント:
どれだけ優れた計画を策定できても、運用する職員が計画に沿った行動を取れなければ意味がありません。そのため、まずは策定した計画を職員へ周知することが絶対条件となります。計画の周知徹底を図ったうえで、平時から訓練等を行えば、非常事態であってもパニックになることなく、計画に沿った適切な行動が取れるようになります。計画を絵に描いた餅にしないためにも、計画の周知徹底と、平時からの備えを心掛けましょう。
策定だけでは不十分!運用3点セット
BCPを形だけにさせないためには、周知・研修・訓練・定期的な見直しといった運用が必要です。
一般的に取り入れやすい運用の進め方については、以下をご覧ください。
- BCPに関する話し合いの場を設ける
定期的に役割分担や連絡体制を確認します。既存の職員会議やミーティングの一部をBCP検討の時間にあてるなど、効率的な運用を心がけましょう。
- 職員への周知・研修を行う
計画を作っても、職員が知らなければ意味がありません。定期的な研修で共通認識を持つことが重要です。
- 訓練・シミュレーション(机上訓練を含む)を行う
実地での避難訓練に加え、机上でのシミュレーションも有効です。「実際にこの手順で動けるか」「現場で混乱が生じないか」といった点を検証し、計画の不備を洗い出しましょう。
実地指導で確認される書類チェックリスト
運営指導では、以下の書類をいつでも提示できるよう整備してください。
☐ 感染症BCP ☐ 自然災害BCP
☐ 備蓄リスト ☐ 利用者様・職員の緊急連絡網 ☐ 協力医療機関や関係機関との協定書
☐ 「いつ」「誰が」「どのような内容で」実施したか ☐ 振り返りや改善点が含まれているか |
参照:神戸市「第 6 回 非常災害対策と業務継続計画」p5-6
こうした運用の不備は、運営指導(実地指導)において「運営基準違反」として厳しく指摘されるポイントです。
しかし、事業所の存続を脅かすリスクはBCPだけではありません。
一見順調な事業所でも見落としがちな「6つのリスク」と、その予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。 BCPの整備とあわせて、運営体制に死角がないか総点検するためのチェックリストとしてご活用ください。

BCP関連以外の必須書類や当日の流れについては「実地指導とは?監査との違いや当日の流れ・必要書類・事前対策について解説【障がい福祉サービス】」にて詳しく紹介しています。
人員基準違反や個別支援計画の不備など、指導員が重点的に確認するポイントを事前に把握し、万全の対策を講じましょう。
年間運用スケジュールの例
最後に、無理なく継続するための年間スケジュール例を提示します。研修や訓練は「年1回以上」が目安ですが、分散させることで職員の負担を減らせます。
参照:群馬県「令和7年度 障害福祉サービス事業所等の運営上の留意事項について」p6
参照:名古屋市「1 適正な事業所運営に向けた取り組みについて~令和7年度に向けて~」p3
時期 | 実施内容 | ポイント |
|---|---|---|
4月 | 前年度の振り返りと見直し | 新体制に合わせて連絡網などを更新します。新入職員がいる場合は、あわせて研修を行うと効果的です。 |
7月 | 職員研修の実施 | 台風や冬の感染症シーズンに備えて確認しましょう。 |
10月 | 訓練・シミュレーション | 訓練やシミュレーションを通じて課題を洗い出し、必要に応じてBCPの見直しを行います。 |
1月 | 次年度計画の策定 | 来年度の研修・訓練計画を立てましょう。 |
減算回避のための「失敗しない」BCP作成のポイント

BCP策定は専門的な知識が必要と思われがちですが、要点を押さえれば事業所内でも策定できます。現場の実態に合った「使える計画」を作りましょう。
厚生労働省「障がい福祉サービス事業所等向け」ひな形を使う
BCP作成の第一歩として、厚生労働省や各自治体が公開している「ひな形(ガイドライン)」を活用しましょう。
行政が求める必須項目の抜け漏れを防ぎやすいメリットがあります。
参照:厚生労働省「BCP作成(入所系)ひな形(例示入り)を活用したBCP(業務継続計画)の作り方を解説」p5-7
参照:台東区「新型コロナウイルス感染症発生時における業務継続計画」p3-12
ただし、ひな形はあくまで「枠組み」です。必要に応じて、あなたの事業所の立地条件や職員体制に合わせて、実際に運用できるレベルまで具体化しましょう。
BCP作成の現実的な所要時間と体制
最初から完璧な計画を目指す必要はありません。まずは以下の重要項目を優先的に整理しましょう。
- 緊急時の連絡体制
- 優先業務の整理
- 職員の確保
- 必要な物資・設備
- 避難や安全確保の動き
- 感染症拡大時の対応
参照:台東区「新型コロナウイルス感染症発生時における業務継続計画」p3-5
BCPは一度作ったら終わりではありません。連絡先や体制に変更があったときや、訓練を通じて課題が見つかったときは、随時更新しましょう。
参照:台東区「新型コロナウイルス感染症発生時における業務継続計画」p5
経営者だけで作らない「職員参加型」の進め方
災害時、現場で判断するのは職員一人ひとりです。そのため、現場職員を巻き込んだ「職員参加型」で策定することをおすすめします。
たとえば、「この避難経路は狭すぎる」「夜間はこの手順では連絡がつかない」といった現場ならではの意見を取り入れることで、計画の実効性が高まります。
よくある質問(Q&A)

ここからは、BCP未策定減算についてよくある質問をQ&A形式でまとめました。疑問を解消し、自信を持って運営に取り組めるようにしましょう。
Q1. 感染症BCPはあるが、自然災害BCPがない場合は減算になりますか?
A.減算対象となる可能性が高いです。BCP未策定減算を避けるには、感染症BCPと自然災害BCPの両方が策定され、かつ必要な措置が講じられている必要があります。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」p15
Q2. 研修や訓練を実施していないとただちに減算になりますか?
A. 研修や訓練を実施していないからといって、ただちに減算されるわけではありません。
厚生労働省によると、「BCPの周知、研修、訓練、見直しは、BCP未策定減算の要件ではない」とされているためです。
しかし、運営指導において「必要な措置が講じられていない」と判断される可能性があります。年1回程度からで構いませんので、研修や訓練を実施し、記録を残すことをおすすめします。
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」p7
参照:鹿児島県「令和5年度指定障害福祉サービス事業者等集団指導【資料2】令和6年度から義務化される事項について」p1
Q3. ひな形を使えば必ず減算は回避できますか?
A.ひな形を使用すること自体は問題ありませんが、必ず減算を回避できるとは限りません。
地域のハザードマップや職員体制を反映させ、内容を全職員に周知することで、減算回避の要件を満たすとお考えください。
参照:厚生労働省「BCP作成(入所系)ひな形(例示入り)を活用したBCP(業務継続計画)の作り方を解説」p5
Q4. 外部コンサルに依頼しないとBCPは作れませんか?
A. 自社作成でも問題ありません。厚生労働省のガイドラインを参考にすれば、事業所内での作成は十分可能です。
参照:厚生労働省「BCP作成(入所系)ひな形(例示入り)を活用したBCP(業務継続計画)の作り方を解説」p5-7
業務負担や費用が気になる場合は、knowbeのような業務効率化システムを活用し、職員がBCP策定に取り組める時間を作る方法もおすすめです。

Q5. BCP未策定減算は今後も続きますか?
A. BCP未策定減算が今後も継続するかどうかは不明です。障がい福祉サービスの報酬は、今後の改定によって見直される可能性があります。
ただし、「いずれ自然になくなるだろう」と考えて対応を先送りにすることは、リスクが高いでしょう。
現時点では感染症BCPと自然災害BCPの両方を整備し、運用まで含めた体制を構築しておくことが、長期的に見て安定した事業運営につながります。
記事のまとめ
この記事では、BCP未策定減算のリスクと、減算を回避するための運用実務について解説しました。
減算を防ぐためには、計画書の作成だけでなく、定期的な見直しや訓練を実施するための「時間」と「人手」が不可欠です。
しかし、限られた人員のなかで、日々の支援業務と並行しながら対策を行うのは難しいでしょう。
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knowbeの活用で生まれた時間をBCP対策や利用者様への支援にあてることで、減算リスクのない、災害に強い事業所作りが可能となります。
BCP策定はゴールではなく、利用者様と職員を守り抜くためのスタートラインです。
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社労士 涌井好文のコメント:
平時よりも対応が困難となる災害発生時等の緊急事態だからこそ、サービスを利用したいという利用者や家族は多いでしょう。そのような需要に答えるためには、適切なBCPの策定が不可欠です。BCPの策定は、単なる減算適用の回避ではなく、効率的で質の高いサービスの提供にもつながります。また、障害福祉サービスに特化した請求ソフト等のツールを計画と組み合わせることで、一層の効率化も図れるようになるでしょう。計画策定と併せて導入を検討してください。




