

身体拘束廃止未実施減算を解説|令和6年度報酬改定の対応ポイントと対策
※この記事は2025年10月時点の情報で作成しています
利用者様の手足を自由に動かせなくする「身体拘束」は、福祉の現場で大きな問題となっています。
利用者様の尊厳と安全を守るため、障害福祉サービス事業所には具体的な対応と継続的な改善が求められています。
令和6年度の報酬改定では、身体拘束廃止未実施減算に関する新たな基準が設けられ、障害福祉サービス事業所の取り組みがさらに重視されるようになりました。
この記事では、令和6年度からの身体拘束未実施減算の対応ポイントと、具体的な対策について、詳しく解説します。
身体拘束廃止未実施減算とは?
身体拘束廃止未実施減算とは、事業所が身体拘束廃止に向けた取り組みを実施しなかった場合に、報酬を減額する仕組みです。
令和6年度の報酬改定では、減算の要件がさらに強化され、対象サービスの範囲が拡大されました。
身体拘束とは、利用者様が自由に身体を動かせないようにする行為を指します。
利用者様の尊厳を著しく損なう行為であり、福祉・介護現場における重要な課題の一つとされてきました。
身体拘束に該当する行為や減算の対象となるサービス、減算される単位数について、詳しく見てみましょう。
社労士 涌井好文のコメント:
日本国憲法では、第31条において法律に基づく場合でなければ、生命及び自由を奪ってはならないと定めています。そのため、自由を奪う行為である身体的拘束は原則として認められません。
障害福祉サービスを提供する事業所においては、利用者様や他の利用者様の生命や身体を保護するためにやむを得ず、身体的拘束に至る場合があります。しかし、それは必要最低限に留めなければならず、事業所は不適切な拘束を防ぐための体制作りに取り組まなければなりません。そのような取り組みを怠った場合に適用される制度が「身体拘束廃止未実施減算」です。
身体拘束に該当する行為
身体拘束に該当する行為には、次のようなものが挙げられます。
身体拘束に該当する行為の具体例
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先述したとおり、身体拘束とは「利用者様が自由に身体を動かせないようにする行為」です。
拘束ベルトやひも等を使用しない場合でも、身体拘束に該当するケースもあります。
対象サービス
身体拘束廃止未実施減算の対象となる障害福祉サービスは、以下のとおりです。
身体拘束廃止未実施減算の対象サービス
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身体拘束廃止未実施減算は、相談支援系サービスや自立生活援助、就労定着支援を除いたすべてのサービスが対象です。
【対象サービス別】減算される単位数
身体拘束廃止未実施減算では、以下の減算率が適用されます。
減算率 | サービス区分 | 対象サービス |
|---|---|---|
所定単位数の10% | 施設・居住系サービス |
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所定単位数の1% | 訪問・通所系サービス |
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参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p12
これらの減算率は、令和6年度の報酬改定にて見直されたものです。
改定前は、障害福祉サービス共通で5単位/日が減算されていましたが、施設・居住系サービスでは所定単位数の10%、訪問・通所系サービスでは所定単位数の1%に変更されました。
減算率の引き上げは、事業所の経営にとって大きなリスク要因となります。
身体拘束以外にも、実地指導で指摘されやすいポイントや運営上のリスクを網羅したガイドブック(無料)をご用意しましたので、ぜひ対策にお役立てください。

なお、令和6年度改定で義務化された別の減算リスクについては「【障がい福祉】BCP未策定減算とは?1%・3%の減算額と過去分まで減算されるリスクを回避する運用対策」にて詳しく紹介しています。
感染症・自然災害それぞれの計画策定ポイントや、減算率(1%・3%)の計算シミュレーションをご確認ください。
身体拘束廃止未実施減算の要件

身体拘束廃止未実施減算は、身体拘束の廃止に向けた取り組みが不十分な事業所に対して適用されます。
減算を避けるためには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
身体拘束廃止未実施減算の要件
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それぞれの要件について、以下より詳しく見てみましょう。
1.身体拘束をする場合は必ず記録を残す
身体拘束は基本的には行わないようにすることが前提です。
しかし、緊急やむを得ない場合に身体拘束を行う際には、以下の項目について詳しく記載しなければなりません。
- 態様(状態・様子):身体拘束の具体的な方法や状態
- 時間:身体拘束を行った時間や期間
- 利用者様の心身の状況:拘束時の身体的・精神的状態
- 緊急やむを得ない理由:身体拘束を行わざるを得なかった理由
「緊急やむを得ない場合」とは「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件を満たしている場合に限られます。
具体的には、以下のようなケースが該当するでしょう。
緊急やむを得ない場合に該当するケース |
ケース1:転倒・転落による重篤な外傷リスクがある場合 脳梗塞後で片麻痺があり、判断力が低下している利用者様が、繰り返しベッドから立ち上がろうとして転倒しそうになる状況で:
過去に転倒して骨折した既往があり、抗凝固薬を服用しているため頭部打撲による重篤な合併症のリスクが高い
センサーマットの設置、ベッドの高さ調整、頻回な見守り、家族の付き添いなどあらゆる代替手段を試したが効果がない
夜間の覚醒が激しい時間帯(22時〜2時)のみ、ベッド柵にセンサー付きベルトを使用し、反応があれば即座に対応する |
ケース2:他の利用者様への暴力行為がある場合 統合失調症の急性期で、他の利用者様に対して突発的な暴力行為を繰り返す状況で:
他の利用者様に対して突然殴りかかるなどの行為があり、他者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い
個室対応、環境調整、投薬調整、専任スタッフによる見守りなどを試みたが効果がない
薬物療法の効果が出るまでの間(数時間〜1日程度)のみ、四肢の拘束を行う |
記録には、身体拘束が入所者の心身に与える影響も記載し、拘束によって不穏や食欲低下などの症状が現れていないかを継続的に観察することが求められます。
社労士 涌井好文のコメント:
身体拘束は、逮捕罪や監禁罪など、刑法上の犯罪ともなり得る行為です。しかし、生命または身体を保護するためにやむを得ない場合等に限って、拘束を行っても違法性は問われません。行き過ぎた拘束や不必要な拘束は、犯罪ともなりかねない行為であることを常に念頭に置いて、定期的な研修などを行い、どのような場合に、拘束が許されるのかをしっかりと周知しておきましょう。
2.身体拘束適正化検討委員会を1年に1回以上定期開催する
身体拘束廃止未実施減算を避けるためには、身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(身体拘束適正化検討委員会)を年に1回以上定期開催し、その結果を全職員に周知する必要があります。
身体拘束適正化検討委員会では、事業所内での身体拘束の実態把握、原因分析、改善策の検討などを行います。
虐待防止委員会との一体的な運営や、法人単位での開催も可能です。
また、オンライン会議での開催や、既存の定例会議などで身体拘束等の適正化について取り扱っても、要件を満たすことができます。
筆者が勤務していた就労継続支援B型事業所でも、オンラインで開催されていました。
3.身体拘束等の適正化のための指針を整備する
身体拘束廃止未実施減算を避けるためには、事業所ごとに身体拘束等の適正化のための指針を整備しましょう。
この指針には、以下の項目を明記する必要があります。
- 事業所における身体拘束廃止に関する基本方針
- 身体拘束を行う際の手続き
- 身体拘束適正化検討委員会の設置・活動内容
- 研修の実施計画
指針を整備する際には、各都道府県・自治体等のサイトで公開されている事例集やテンプレートを参考にして作成し、全職員に周知徹底することが重要です。
指針の整備は単なる文書作成ではなく、事業所全体で身体拘束廃止に取り組む姿勢を示すものとして位置づけられています。
社労士 涌井好文のコメント:
各職員が、それぞれ独自の判断で拘束を行うことは非常に危険です。職員Aは拘束を行わなかったが、同様の状況で職員Bは拘束を行った、といった具合では利用者様も家族も安心して事業所を利用出来ません。また、このような状況では、不要な拘束が行われ、身体拘束廃止未実施減算が適用される場合も多くなってしまうでしょう。どのような場合に拘束を行うのかを手順とともに明確に定め、事業所全体に周知を行うことが必要です。
4.身体拘束等の適正化のための研修を1年に1回以上実施する
身体拘束廃止未実施減算を避けるためには、職員に対して身体拘束等の適正化のための研修を1年に1回以上実施することが不可欠です。
研修では、身体拘束の弊害や代替方法、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の手続きなどについて徹底的に学びます。
研修の実施方法としては、以下のようなアプローチが考えられます。
- 行政機関や基幹相談支援センター等が実施する外部研修への参加
- 域内の大規模事業所や法人等が行う合同研修への参加
- 外部研修をもとにした事業所内での伝達研修
研修に参加できなかった職員に対しては、研修の録画を視聴してもらったり、参加した職員が所内で伝達研修を行ったりするなどの対応が求められます。
研修の実施と記録は減算を防ぐための最低ラインですが、実地指導ではこれ以外にも「書類の整合性」や「運営基準の遵守」など、多くの項目が厳しくチェックされます。
一見順調な事業所でも見落としがちな「6つのリスク」とその予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。 研修体制の整備とあわせて、事業所全体のリスク管理にお役立てください。

身体拘束廃止未実施減算による影響

身体拘束廃止未実施減算が適用されると、事業所全体の報酬が減額され、収益面に大きく影響します。
令和6年度からは減算率も見直されるため、より一層注意が必要です。
減算される額と期間、要件を満たしていない場合の対応について、詳しく見てみましょう。
社労士 涌井好文のコメント:
身体拘束廃止未実施減算が適用された場合には、本来受けるはずであった報酬よりも低い報酬しか得られないことになります。報酬額の低下は、事業所の運営を危うくし、サービスの質の低下にもつながりかねません。サービスの質の低下は、利用者離れを生み、更なる報酬の減少へとつながる負の連鎖が発生します。質の高いサービスを提供し、利用者様に満足してもらうためにも、身体拘束廃止未実施減算の適用は避けなければなりません。
実際にはどのくらい減算される?
先述したとおり、令和6年度の報酬改定によって、身体拘束廃止未実施減算の減算率は大きく変更されました。
施設系・居住系サービスでは所定単位数の10%、訪問・通所系サービスでは所定単位数の1%が減算されます。
実際にどのくらいの金額が減算されるのか、以下のモデルケースを参考に見てみましょう。
共同生活援助(グループホーム)A
※今回のケースでは、各種加算は考えないものとします。 A事業所は、令和6年4月の運営指導で、以下の不備が見つかりました。
この結果、A事業所は身体拘束廃止未実施減算の対象となり、すべての利用者様について、所定単位数の10%が減算されることになりました。 |
A事業所の所定単位数は、本来であれば600単位/日 × 30日 × 5人 = 90,000単位(900,000円)です。
しかし、身体拘束廃止未実施減算の要件を満たしていなかったので、90,000単位 × 10% = 9,000単位(90,000円)が減算されます。
つまり、本来であれば900,000円の報酬を取得できるのにも関わらず、810,000円(-90,000円)に減額されるのです。
身体拘束廃止未実施減算はすべての利用者様に適用されるため、事業所全体で考えると収益に大きな影響を与えるでしょう。
このように、たった一つの要件不備が大きな減収につながります。
しかし、事業所の経営を脅かすリスクは身体拘束だけではありません。 一見順調に見える事業所でも、実地指導で指摘されやすい「見落としがちな6つのリスク」を抱えている可能性があります。
減算や返還金を未然に防ぎ、5年後も生き残るための予防策をまとめた資料(無料)をご用意しました。自社の運営体制を点検するためのガイドとしてご活用ください。

なお、身体拘束廃止未実施減算と同じく事業所全体に影響する手続きとして「情報公表未報告減算の回避と解消・報告方法【2024(令和6)年度報酬改定対応】」にて詳しく紹介しています。
WAM NET(ワムネット)への入力期限や、最大10%となる減算率について解説しています。
減算される期間
身体拘束廃止未実施減算が適用される期間は、「要件を満たしていない状況が確認された日が属する月の翌月から、改善が認められた月まで」の間です。
たとえば、令和7年11月に要件を満たしていない状況が確認された場合、令和7年12月から減算が適用されます。
また、過去に基準を満たしていない時期があったことが判明した場合、その事実が発覚した月以降、少なくとも3ヵ月は減算の対象となります。
参照:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 (令和3年3月 31 日)」p10
参照:厚生労働省「介護保険施設等 運営指導マニュアル」p48
リスク管理と現場の業務負担の軽減を両立し、安定した事業所運営を実現するためのノウハウをまとめた資料(無料)をご用意しました。本記事と合わせてぜひご活用ください。

要件を満たしていない場合に必要な対応
身体拘束廃止未実施減算の対象となった事業所は、以下の対応が必要です。
- 改善計画の提出:都道府県や市町村に対して、速やかに改善計画を提出する必要があります。
- 改善状況の報告:事実が生じた月から3ヵ月後に、改善計画に基づく改善状況を報告しなければなりません。
- 減算期間の受け入れ:事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間、すべての利用者様について減算が適用されます。
改善計画は、運営基準を満たしていない状況が確認された日から約1〜2週間以内に、速やかに都道府県や市町村に提出しましょう。
また、改善計画と併せて「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」「体制状況一覧表」も提出する必要があります。
減算によるペナルティを防ぐための対応策

身体拘束廃止未実施減算の適用を防ぐには、先述した4つの要件をすべて満たす必要があります。
要件を1つでも満たしていない場合、すべての利用者様に減算が適用され、事業所の経営に大きな影響を与えるでしょう。
減算によるペナルティを防ぐための対応策は、次の4つです。
身体拘束廃止未実施減算を避けるための対応策
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それぞれ詳しく見てみましょう。
身体拘束を行った場合の記録を徹底する
身体拘束廃止未実施減算を避けるには、やむを得ず身体拘束を行う場合の記録を徹底しましょう。
身体拘束実施記録の記入例は、以下をご覧ください。
身体拘束実施記録 ※施設入所支援事業所を想定 |
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基本情報
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身体拘束の態様と時間
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利用者の心身の状況
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緊急やむを得ない理由(3要件)
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組織的な検討と手続き
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家族等への説明
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解除に向けた取り組み
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今後の対応方針
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(施設長確認印)(看護師確認印)(記録者印) |
身体拘束を行う際には、個別支援会議等で組織として検討・決定し、記録する必要があります。
本人・ご家族への十分な説明と同意取得、行政への相談・報告も忘れずに行いましょう。
なお、身体拘束実施記録は2年間保存する必要があります。
社労士 涌井好文のコメント:
どれだけ、身体拘束を防ぐために取り組んでも、やむを得ず拘束に至ってしまう場面も出てきてしまうでしょう。緊急時など、やむを得ない場面であれば、拘束に違法性はありませんが、なぜ拘束が必要になったのかを良く調べれば、同じような状況であっても次回は拘束が避けられるかも知れません。そのためには、拘束時の状況を詳細に記録し、事業所内で情報を共有し、職員間で今後の方針等を検討することが必要です。
記録を紙ベースで管理すると、サービス担当者会議や実地指導など、記録が必要な時に見つけられない可能性があります。
また、紙の経年劣化によって必要な事項が読めなかったり、誤って破棄・紛失したりするリスクもあるでしょう。
身体拘束廃止未実施減算の場合、記録を2年保存しなければならないため、これらのリスクが高まります。
コンプライアンスを守りつつ、現場の負担を最小限に抑えるための運営ノウハウをまとめた資料(無料)をご用意しました。記事の内容とあわせて確認し、安心して働ける環境づくりにお役立てください。

会議の記録方法や計画作成のプロセスについては「個別支援計画未作成減算とは?障害福祉サービス事業者向け完全ガイド【原因・対策・予防法】」にて詳しく紹介しています。
サビ管不在時のリスクや、未作成と判断される具体的なケースを整理できます。
身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催する
身体拘束廃止未実施減算を避けるためには、身体拘束適正化検討委員会を1年に1回は定期的に開催し、その結果を全職員に周知徹底しましょう。
委員会の主な役割は、以下のとおりです。
身体拘束適正化検討委員会の役割
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身体拘束適正化検討委員会は、事業所内で発生している身体拘束等について、その状況等を分析・報告する場です。
構成員には、職員以外にも第三者や専門家(医師や看護職員など)を入れることが望ましいでしょう。
なお、身体拘束適正化検討委員会は、虐待防止委員会と一体的に設置・運営することが認められています。
身体拘束等の適正化のための指針を整備し、職員全員に周知する
身体拘束廃止未実施減算を避けるには、身体拘束等の適正化のための指針を整備し、全職員に周知しましょう。
指針に含めるべき項目は、次のとおりです。
身体拘束等の適正化のための指針に含めるべき内容
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指針の作成にあたっては、各都道府県・自治体等のサイトで公開されている事例集やテンプレートが参考になります。
作成した指針は、職員だけでなく、利用者様やご家族がいつでも自由に閲覧できるようにしておきましょう。
職員への研修を1年に1回以上実施する
身体拘束廃止未実施減算を避けるには、職員に対して身体拘束等の適正化のための研修を年に1回以上実施する必要があります。
とくに新規採用時には、新入職員に対して必ず研修を実施しましょう。
研修の形式は対面、書面、オンラインなど、さまざまな形式が認められていますが、どのような形式でも記録を残さなければなりません。
記録には「いつ誰が受講し、どのような内容が行われたか」が分かるように記載しましょう。
研修は全職員が対象となります。
職員が多数在籍しているのに、研修を受講したのが一部の職員だけということがないようにしましょう。
よくある質問Q&A
令和6年度の報酬改定により、身体拘束廃止の取り組みが不十分な場合の減算制度が大きく変更されました。
現場で支援する職員からは、新たな基準について多くの疑問が寄せられています。
以下より、身体拘束廃止未実施減算に関する質問にお答えします。
Q.実際に身体拘束を行っていなくても、適正化委員会や研修、指針の整備が未実施の場合は減算が適用されますか?
A.実際に身体拘束を行っていなくても、身体拘束廃止のための取り組みが不十分な場合は減算の対象となります。
たとえば、身体拘束適正化検討委員会を実施していなかったり、適正化のための研修を受けていない職員がいたりする場合は、減算の対象になるでしょう。
身体拘束廃止未実施減算によるペナルティを避けるには、実際に身体拘束を行った、行っていないに関わらず、以下の要件をすべて満たす必要があります。
身体拘束廃止未実施減算の要件
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適正な運営と職員の負担軽減を両立させるためのポイントをまとめた、無料の資料をご用意しました。減算リスクを回避し、安心して利用者様の支援に集中できる体制を作るために、記事とあわせてぜひご確認ください。

Q.過去に遡って減算が適用されることはありますか?
A.過去に遡って減算が適用されることはありません。
身体拘束廃止未実施減算は、過去の不備が発見された場合でも遡って減算するのではなく、発見された日が属する月の翌月から減算が適用されます。
参照:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 (令和3年3月 31 日)」p10
Q.身体拘束廃止に効果的な研修はありますか?
A.身体拘束廃止に効果的な研修として、以下のプログラムが挙げられます。
身体拘束廃止に効果的な研修の例
施設において指導的立場にある者が、身体拘束廃止に関する最新の知識及び介護現場における実践的手法を学ぶ研修。 身体拘束廃止委員会の運営方法や記録の取り方、未実施減算への対応なども詳しく学べます。
各事業所の取り組みを共有し、互いに良い刺激を与え合う研修。
「人間らしさ」を取り戻すケアとして「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つのアクションを重視する研修。 |
研修内容には、身体拘束廃止の基礎知識、具体的な拘束行為、緊急やむを得ない理由の3要件、記録の重要性などを盛り込みましょう。
研修を通じて、職員一人ひとりが身体拘束廃止に向けて、主体的に取り組む意識を持つことが重要です。
研修内容や参加者の受講報告書は、今後の行政指導監査に備えて保管しておきましょう。
研修記録以外の必須書類や当日の流れについては「実地指導とは?監査との違いや当日の流れ・必要書類・事前対策について解説【障がい福祉サービス】」にて詳しく紹介しています。
運営体制や人員基準など、身体拘束以外で指摘されやすいポイントもあわせてご確認ください。
記事のまとめ

身体拘束廃止未実施減算は、身体拘束を廃止し、利用者様の尊厳を守る役割があります。
身体拘束未実施減算の要件は、以下のとおりです。
- 身体拘束をする場合は必ず記録を残す
- 身体拘束適正化検討委員会を1年に1回以上定期開催する
- 身体拘束等の適正化のための指針を整備する
- 身体拘束等の適正化のための研修を1年に1回以上実施する
要件1については「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つを満たしていることが重要です。
実際に身体拘束を行っていない場合でも、上記の要件をすべて満たす必要があります。
障害福祉サービス事業所の職員は「ペナルティを避けるため」ではなく「支援の質を根本から見直す機会」と捉えて対応しましょう。
利用者様の一人ひとりの特性に合わせて、身体拘束の代わりとなるアプローチを追求することが重要です。
社労士 涌井好文のコメント:
身体拘束は、利用者様の身体的自由のみならず、人間としての尊厳を損なう恐れのある行為です。不必要な拘束を行えば、身体拘束廃止未実施減算の適用のみならず、犯罪として処罰される可能性もあります。出来る限り身体拘束を実施しなくても済むような体制を事業所内で構築しましょう。そのためにも、事業所内での研修だけでなく、外部機関の利用や、専門家による講義などを検討してください。





